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ダイヤモンド開発裏話

2006年03月20日 | トランスレーション
『ダイヤモンド』のデザイナーであるBruno Faidutti(本作はAran R.Moonとの共作)が、『The Games Journal』誌の中で「Themes & Mechanics 2.0」と題して、『ダイヤモンド』の開発模様をいろいろと語っています。デザイナー自身が語る開発裏話はやっぱり興味深いですね。

~以下「Themes & Mechanics 2.0」より抜粋~

初めのバージョンでは、同数ずつ分配した後の残りの宝石は、ゲームから単に除外する取扱いとしていた。テストプレイヤーたちは、残った宝石が消えてなくなるのは話の筋からするとおかしいと考えた。彼らは、端数はその場に残したままにして、最初に逃げ帰るプレイヤーがそれを拾い集めることにしてはどうかと提案した。このちょっとした簡単なルールは、ゲームに新たな局面を与えることになった。坑道を去る理由として、恐れと貪欲さという2つの理由ができたのだ。そして、プレイヤー同士であざけり、侮辱する機会を生み出した。

アメリカ人のテストプレイヤーたちはゲームが少し粗すぎると思い、いくつかのアクションカード(危険から身を守る武器、行き先を照らす懐中電灯、何に使うんだったか忘れてしまったロープ、など)を追加することを提案した。私たちはこのアイデアをテストしてみたが、プレイヤーのおかれた状況に対する対処方法をいろいろ導入しすぎて、かえってテンションが下がってしまい、結局この提案は採用しなかった。

最初のプロトタイプでは、17枚の坑道カードにはそれぞれ1~17個の宝石の数を載せていた。アラン・ムーンは、はやく坑道から逃げ帰ろうとする誘惑を高めるべく、最適な数値となるように修正を加えた。(訳者注釈:製品版では1,2,3,4,5,5,7,7,9,11,11,13,14,15,17の15枚であり、端数が出やすい値に修正された模様。)

テストプレイヤーの中ではフリードマン・フリーゼがベストだった。彼は、ラウンド終了後に危険カードを抜き取ることを考えた。これによって、後のラウンドになるほどプレイヤーはリスクを冒して坑道深くまで進むようになるので、テンションを増しながらゲームを継続させることになる。(訳者注釈:製品版では、同じ危険カード2枚をめくって探検が終了した場合、それらの危険カードのうち1枚を箱の中に戻し、次の探検には使用しないルールであり、その点を指している。)

また、坑道を進むか去るかを示すためにトークンは2種類も必要ない、つまりトークンを握り込むかそうでないか、というようにすればトークンは1つで充分だ、と指摘したのもこの緑髪の男(フリーゼのこと)だった。ほかの誰も思いつかなかったことだ。そして、この些細な指摘によってトークンは8個減り、それは間違いなく出版社を助けることになったはずだ。


《引用文献》
The Games Journal:Themes & Mechanics 2.0


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