Niyatsukuのあなろぐゲーム探検隊

ドイツ発信、電源不要な傑作ゲームの数々。
遊びやすくて抜群の面白さ、その謎を追え!

ラトルスネーク

2008年03月20日 | ボードゲーム
バランスゲームに新たな傑作が誕生しましたよ。
その名も『ラトル・スネーク』。ガラガラヘビのことです。

箱を開けると、ゲームボード1枚、サイコロ1個、ガラガラヘビの卵12個、それに1枚ぺらのルール。そんだけしか入っていません。ものすごい上げ底。べつに文句を言ってるわけではないですよ。なんせ、かなり面白いですから。

ボードには5色のヘビがうねうねと描かれていて、またサイコロにもそれぞれの目に5色のヘビが描かれていています。12個の卵をプレイヤーで同じ数ずつ分け合って、ゲーム開始。手番ではサイコロを振って、それに対応するボード上のヘビの上に卵を置きます。これを交代々々に繰り返し、いち早く手持ちの卵を置ききったプレイヤーの勝ちです。

で、その卵が凄いんです。
ラグビーボールをもっと細長くした形で、これが磁石で出来ています。
卵を置くとき、他の卵と近すぎると引っ付き合ったり、あるいは反発してボード外に転がり出てしまうのですが、そうなるとそれらの卵を全部引き取らなければなりません。手持ちの卵を無くすことが目的ですから、すでに置かれた卵の“見えざる磁場” の圏内に入らないように、慎重に卵を置くことが求められます。

ですが、置く場所はサイコロで限定されるし、ボードも結構手狭なので、みるみるうちに危機的状況に陥ります。磁石は恐ろしく強力で、置こうとする卵に影響されて盤上の卵がふるふるとざわめき立ちます。この瞬間が実にスリリングなんですねえ。で、磁場圏内に入ってしまったら、ガラガラヘビの威嚇音さながら「ギュビィィィン!」という音を立てて、卵どうしが引っ付き合います。それにより磁場の均衡が崩れて、「ギュビィィィン!」の連鎖が発生することもしばしば。反面、「こら、絶対あかんわ」とあきらめて置いたところ、意外にもセーフだったりして、「うっしゃっー!」と思わずガッツポーズすることも。

重力系ではなく磁力を利用したバランスゲームの新機軸。
ただただ磁石の力に翻弄されっぱなし。
まさにギミックの勝利、アイデアの勝利。
ハラハラドキドキ度はかなりのものです。

1つ欠点を上げるならば、手番で失敗して卵を引き取ることになったプレイヤーは、まず勝ち目がなくなってしまいます。それを避けるため、我が家では次のようなルールで遊んでいます。お試しあれ。

<ハウスルール>
(1)罰チップを十数枚ほど準備する。(なければ紙と鉛筆でも可)
(2)ゲーム開始時、12個の卵はボードの外にまとめてストックしておき、プレイヤー同士で卵を分け合うことはしない。
(3)手番の際、ストックから卵を1個取って、元のルールどおりサイコロを振って、卵をボードに置く。
 失敗したら罰チップを1枚受け取る。(引っ付き合った卵の数は関係ありません。卵が2個でも3個でも4個でも、受け取る罰チップは1枚です)
(4)くっ付き合った卵やボード外に転がり出た卵はストックに返し、次のプレイヤーからゲームを続行する。
(5)罰チップが3枚溜まったプレイヤーの負け。


[data:Rattle Snake 2~4人用、Roberto Di Meglio作]

おい、それはオレの魚だぜ!

2008年03月15日 | ボードゲーム
「おい、それはオレの魚だぜ!」
って、なんちゅう邦題やねん。
「ペンギン」というスマートな邦題で売っているところもあるが、でも、なんだか「おい、それはオレの魚だぜ!」という不細工なタイトルのほうが味があるよなあ。

というわけで、今回は「おい、それはオレの魚だぜ!」をオレは探検するぜ、ベイビィ!

ルールはむっちゃ簡単。
まず、魚が1匹から3匹書かれたタイルを並べて、その上にペンギン駒を配置する。手番では、自分のペンギン駒1個を6方向のいずれかに向かって移動させる。好きなだけ移動してよいが、タイルのない場所や別のペンギンがいる場所を飛び越えることはできない。そして、移動を終えたら、もともと乗っていたタイルを点数として受け取る。これだけ。
これを変わりばんこに行って、全員がこれ以上手番を行うことができなくなったらゲーム終了。一番多くの魚を獲得した人が勝ち。

こんな簡単なのに、おもしろいんだわ、これが。

まず、自分の乗っていたタイルを取ることで相手のペンギンを孤立させていく、という戦術がとってもユニーク。脳みそのうち、普段あんまり使っていない部分が刺激されるような、なんとも独特な思考法が必要。

ゲームは完全情報型で運の要素は一切なし。ただの1手も無駄にはできないシビアさ。そして、このゲームは何をどうすればよいのか分かりやすいが故に、自分の手番が回ってくるまでに心中「頼むからそれは止めてくれよ」と、じつにヤキモキする。プレイヤーをヤッキーモッキーさせること、これ重要。これがゲームに没入させる秘訣さ、ウッキー!

完全情報型とはいえ、あまたいる敵ペンギンのうちのどれが、6方向のうちのいずれに向かって移動するのか、なかなか読めるものではない。敵の1手で孤立に追いやられて、思わず「あっ」と切なく情けない声を上げてしまう。この意外性がミソで、必要以上に考え込む重さをうまく緩和させている。

ゲームの序盤ではどのあたりの狩場を確保するか牽制しあい、中盤では1手を争う激しい攻防が繰り広げられるが、終盤では打つ手もはっきりするためテンポアップし、そしてゲームはさくっと収束する。ペンギン駒のかわいらしさと相まって、このライトな感覚がとってもいい塩梅。

結論。
きっちり考えどころがありながら、ライトに楽しめる良作です。
「もう一回!」と繰り返し遊びたくなること請け合いです。


[Data:HEY!THAT’S MY FISH! 2~4人用、Alvydas Jakeliunas & Gunter Cornett]