ボードゲームで、果たしてホラーは表現できるのでしょうか? それを考える前に、怖い話を怖く語る技法を知る必要がありそうです。
***
【中山】怪談というのは芸だと思うんです。みんなで膝を突き合わせて、みんなでひとつの空間を共にして、自分の「怪」を提示する。それで反応を見るというのが「談」なんですよ。
【京極】そうそう。ただ「怖かったよう」と言われても、話すほうが怖がっているだけでは聞くほうはまるで怖かない。聞き手が怖くなるように語るのが怪談ですよ。だから、ネタではなくて語る技法にこそ怪談の秘密は隠されている。単に時系列の順番を入替えて語るだけでも不安や恐怖感を喚起することは可能ですからね。
~中略~
【京極】怪談は情報ではなくて表現だ、ということですね。それも自己表現ではなくて、聞き手や読み手の心情になんらかの変化をもたらす技巧。データではなく効果的なデータ開示のテクニックね。小説でもエンターテイメントの場合は、泣かせるとか、笑わせるとか、全部テクニックですよ。主義主張とかストーリーとか全然ない(笑)。怖がらせる場合は泣かせるより遥かに難易度が高いですよ。それをクリアしないと怖くならない。
***
情報を効果的な順番で開示していかないと怖くならない、と。書き物であれば、もっとも怖くなるようにストーリーラインを組み立てることができますが、ボードゲームではそうはいきません。ゲームがどのようなストーリーを紡ぐかはプレイヤー達の意思決定にゆだねられます。そうした結果が、物書きのプロが考え抜いたストーリーラインより怖い物語になることはまず有り得ないでしょうから。ボードゲームでホラーを表現できるかどうかは、そのあたりが一番の課題な気がします。
《引用文献》
『怪談之怪之怪談』怪談之怪 編、メディアファクトリー ダ・ヴィンチ編集部
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【中山】怪談というのは芸だと思うんです。みんなで膝を突き合わせて、みんなでひとつの空間を共にして、自分の「怪」を提示する。それで反応を見るというのが「談」なんですよ。
【京極】そうそう。ただ「怖かったよう」と言われても、話すほうが怖がっているだけでは聞くほうはまるで怖かない。聞き手が怖くなるように語るのが怪談ですよ。だから、ネタではなくて語る技法にこそ怪談の秘密は隠されている。単に時系列の順番を入替えて語るだけでも不安や恐怖感を喚起することは可能ですからね。
~中略~
【京極】怪談は情報ではなくて表現だ、ということですね。それも自己表現ではなくて、聞き手や読み手の心情になんらかの変化をもたらす技巧。データではなく効果的なデータ開示のテクニックね。小説でもエンターテイメントの場合は、泣かせるとか、笑わせるとか、全部テクニックですよ。主義主張とかストーリーとか全然ない(笑)。怖がらせる場合は泣かせるより遥かに難易度が高いですよ。それをクリアしないと怖くならない。
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情報を効果的な順番で開示していかないと怖くならない、と。書き物であれば、もっとも怖くなるようにストーリーラインを組み立てることができますが、ボードゲームではそうはいきません。ゲームがどのようなストーリーを紡ぐかはプレイヤー達の意思決定にゆだねられます。そうした結果が、物書きのプロが考え抜いたストーリーラインより怖い物語になることはまず有り得ないでしょうから。ボードゲームでホラーを表現できるかどうかは、そのあたりが一番の課題な気がします。
《引用文献》
『怪談之怪之怪談』怪談之怪 編、メディアファクトリー ダ・ヴィンチ編集部