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クニツィア、指輪物語BGを語る

2006年01月08日 | トランスレーション
「指輪物語ボードゲームのデザインとテストについて」by Reiner Knizia

指輪物語ボードゲームをデザインすることは、大いなる機会であると同時に、途方もない挑戦でもありました。トールキンの千ページを超えるこの一大叙事詩は、何百人もの人々に愛されています。このゲームは多くの人々の元に届くことと思いますが、彼らはとても特別な期待を抱いることでしょう。製作にあたっての私の信念は、1時間程度で遊べる洗練されたファミリーゲームをデザインすることでした。たとえ原作のストーリーを完全をカバーできなくとも、ゲームをプレイする人たちが物語を読むのと同様な経験が得られるよう、物語のスピリットを盛り込むことが私の目標でした。この目標はゲームのデザイン面で多くの影響をもたらしました。

■デザインの過程

私はゲームをデザインするにあたって、固定的なプロセスは踏みません。それとは全く逆に、同じように始めれば同じような結末に至りがちであると考えています。新しい方法を模索することは、ときに革新的なデザインをもたらします。もちろん、ゲームメカニクス、素材、テーマや背景世界といった基本的な材料があって、それらがほどよくブレンドされ、相互にサポートしあってバランスの取れたデザインとなります。さらに、「私は誰なのか」「私はどこに向かおうとしているのか」「私にはどういった選択肢があるのか」「私はどのように勝つのか」といったプレイヤーとしての目線に関する基本的な課題もあります。

デザインの初期段階では、私はよく、エキサイティングなゲームを生み出す新しい世界、新しいシステム、新しい素材がないかと探求します。私がゲームをプレイするときに、どんな感覚を得たいのか(スリル、楽しさ、ジレンマ、挑戦など)、それを掘り下げるよう努めています。そして、指輪物語のボードゲーム化にあたって、トールキンの世界観、底に流れるテーマ、登場人物たちの心情などについて深く理解しなければならないことは明白です。ただ単に本を読むだけでは充分に理解するには至りませんでした。私はまた、熱心な読者を夢中にさせるものは何なのか、その核となるものを知る必要がありました。私の友人であり常連のテストプレイヤーであるDave Farquharはトールキンの熱烈なファンでした。私たちは数え切れないほどの時間を費やして、ページを順々に繰りながらストーリーを追い、ゲームとしてどう表現するか議論を重ねました。物語の細部まで反映させることが無理なのは明らかですが、重要なのは指輪物語の世界観です。物語の焦点は戦闘シーンにあるのではなく、登場人物たちがそれぞれに困難を乗り越えようとするところにあります。(つづく)

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