リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

野外での危険 続報

2006-08-15 12:16:12 | アユの流し目/雑記帳
毎日新聞 ネット版


 ☆テキスト版

 勝浦の女性誤射:自治体の安全策に欠陥 猟の実施知らせず、同行監視もなく /千葉

 勝浦市大森の国有林で県猟友会員が近くの斎藤みつ江さん(75)を誤射で死亡させ、逮捕された事件では、自治体のサル駆除事業に対する安全対策の欠陥が明らかになった。地元自治体は猟の実施を住民に知らせていないうえ、職員を同行する監視体制もなかった。県は11日の会見で、安全面の検証が終わるまで、駆除事業の停止を表明した。【森禎行、中川紗矢子】

 ◇検証終わるまで駆除事業を停止

 県自然保護課などによると、ニホンザル駆除は市町村も行うが、今回は県の事業で実施。勝浦市から富津市にかけた山間部には保護地区があり、自治体の依頼を受け、地区の外側地域で駆除する。実施は県猟友会に委託している。

 しかし住民への広報はなかった。県は「実施要領に基づき、地元自治体が広報していると思いこんでいた。実際は、今年度行う5市町で南房総市だけだった」と釈明する。

 県から市に渡る「捕獲予定表」には、事故当日の今月3日は「香取郡」と駆除を行う県猟友会の支部名しか書かれていない。県は「全市町をまわっている」と話すが、勝浦市は「市にきていることはわからなかった」としており連携不足が露呈している。

 県猟友会も「県から広報されるもの」との立場だった。しかも狩猟以前の問題として、国有林への立ち入り許可をとっていなかった。

 職員配置の対応については、勝浦市のシカ駆除では、職員2人が同行するという。しかしニホンザルでは、県も同市も「同行しない」と話す。「サルは逃げるのが速い」のが理由だという。

 県は11日、「死亡事故の重みを考え、安全対策の強化に努めたい」と話した。安全対策がとれるまで、サル駆除(来年3月まで)とシカ駆除(来年2~3月)を停止する。

毎日新聞 2006年8月13日


千葉日報より
(千葉日報のニュースは2日の保存で消えます。)
☆テキスト版
006.08.14 upload
安全対策“他人任せ”
危うさ放置し猟銃使用 勝浦の誤射死事件

写真 勝浦市の国有林で同市内に住む女性が頭を散弾銃で撃たれ死亡した事件は、県が委託したサル駆除のハンターが誤射したまま逃げていたと分かった。しかし、思い込みと安全軽視の姿勢は誤射したハンター個人にとどまらない。駆除にかかわった行政と狩猟団体のいずれもが「住民への周知はだれかがやるはず」と思ったまま、安全対策を“他人任せ”にしていた。人の命にかかわる猟銃の使用が、極めてあいまいな構図の上に成り立っていた実態が浮き彫りになった。

 県警に業務上過失致死の疑いで逮捕された香取郡猟友会会員の林房雄容疑者(63)は、ニホンザルの頭数調整駆除事業で、ほかの会員三人とともに国有林に入った。誤射された齋藤みつ江さん(75)は、サカキをとるために国有林へ立ち入り許可を受けていたが、駆除事業の実施は近隣住民へ一切知らされていなかった。

受け止め方にズレ

 二○○一年から現行方式となった同事業。県は十一日の会見で、周知徹底の確認を怠っていたことを認めたうえで「勝浦市が広報活動を行うものと期待していたが非常に残念だ。広報周知は各自治体が実施する、と実施要領に盛り込んでおり、別に通知文も送付していた」と釈明した。

 これに対して勝浦市は「県からの通知は日程、対象地域とも範囲が広すぎる。ハンターが入る可能性はあるのだろうが、どの日に、どの場所へ確実に入るかは分からなかった」と反論。実際、県が対象の五市町に送った「行動予定表リスト」には、日付と、駆除を担当する猟友会支部名しか記載されていなかった。

 同じく周知活動をしなかった君津市も「県の広域な通知では防災無線の手配が具体的にできない。明確な事前通知が必要」と指摘。富津市も「不確実で広域なものに周知広報はできない」とする。鋸南町は「猟友会の判断で住民へ周知しているのでは」

 一方、香取郡猟友会の上部団体に当たる県猟友会は「近隣住民を見たら声を掛けたり、車に狩猟実施のステッカーを張るよう指導している。ただし、それ以上の周知活動は県が手配しているはずという認識」とし、三者の意識は大きく隔たっていた。

立入り許可もなし

 ズレは広報周知にとどまらない。誤射した林容疑者らは、同国有林へ無許可で立ち入っていた。県猟友会は「県の事業なので、ハンターは国保有の場所に立ち入らないという前提」と話すが、県によると、同国有林も駆除事業の対象地域。対象地域は地元の勝浦市から指定されたという。

 しかも事件当日、林容疑者らは、国有林入り口の門から入ったとみられており、迷い込んだ可能性は低い。県は「ハンターが立ち入り許可を取っているのは当たり前だと思っていた」と驚きを隠さなかった。

 地元住民を農作物被害から守ることなどを目的とした駆除事業は、猟銃使用の危険性と住民の安全への配慮が軽視されたまま実施されてきたといわざるを得ない。県は安全体制が確立されるまで停止を表明し、周知活動の徹底を確認する制度も検討すると表明した。

 遺族は容疑者が逮捕された十一日、「何も話すことはありません」とだけ語った。

【写真・上】容疑者逮捕を受けて会見した県幹部は「齋藤さんのご冥福を祈ります」と述べた

【写真・下】県猟友会幹部も会見。冒頭に被害者と遺族への弔意を表明した
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