リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

「郡上の水船」 絶滅危惧から野生絶滅へ

2014-05-19 10:00:37 | サツキマス研究会/長良川調査会

日英国営放送合作の自然番組。そのコーディネーターという方からの問い合わせ。郡上の水船の取材を考えている、ついてはロケハンをしたいという。知人の紹介ということで案内を引き受けたものの、「水船」は現在はどうなっているのか?友人たちのつてを頼って下見にでかけた。

 

郡上八幡 長良川水系水を守る会の元代表だった和田さんの水船についての話。

ボクの探している「水船」はこんなもの。

・水船を現役で使っている。

・水船の下流に鯉を飼っている。

この条件を満たす場所は、郡上の市街部にはない。

水船そのものは残ってるのだが、ほとんどの場所で下流の池がなくなってしまった。下流の池は水気が多いので家がが傷むといわれて近年は使われていない。そして、駐車スペースなどとして埋められてしまうケースが多いという。

 そして、郡上市で整備された集落下水道によって水船で使っている山水にも一定の下水道料金が徴収されるようになって、水船そのものも利用されなくなっている。

 それでもということで、吉田川の上流 気良地区の旧家を訪ねた。

 千葉孫兵衛さん 94歳。

千葉さんのお宅は700年間いろりの火を絶やさないことで知られている。

(写真はクリックすると大きくなります。)

700年間 先祖の言い伝えを守って朝晩火を繋いできた。

いろりの火は大和町の神社の祭礼で使用されている。

鎌倉時代に作られたという仏壇。

大正時代の写真があった。。

コイがいて、水船がある。

しかし、水船は古くなって水漏れが激しく、ステンレスの流し部分を乗せて使っている。

水船の中には、修理した後があった。水漏れは直すこと出来そうになかった。

 

 和田さんと吉田川を下って水船を探した。

和田さんのお母さんの在所近くのお宅でみつけた水船。

水船の上流部から水漏れがするので下流部にも水を引いている。

以前は池にコイを飼っていたが、動物に取られてしまうので別の場所に移したという。

丸太をくり抜いた水船。

生活の場としての水船ではない。番犬に守られて、まるまると太ったコイがいた。

 

郡上市内に戻って、水船を作っている。田尻浩さんを訪ねた。

田尻さんは郡上市の観光アイコン「郡上市の水船」を制作して寄贈した方だ。

ちなみに先代の水船も田尻さんが寄贈した。現在のものは昨年新たに制作して寄贈したそうだ。

先代の水船が古くなったので郡上市に新しくしたらと持ちかけたら「ただなら」寄贈してもいいと言うことだったという。

田尻さん曰く「10年ほど前 水船を市に贈った。次には作る依頼が来るかと思ったが、また 寄贈してくれといわれた(苦笑)」

 

郡上の水船はすでに絶滅危惧を超えて、野生絶滅の段階に入っていた。

 

 

 

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