新潟久紀ブログ版retrospective

土木部監理課6「組合交渉に向けて真夏の道路パト体験(その1)」編

●組合交渉に向けて真夏の道路パト体験(その1)

 以前居た病院局時代に相当に悩まされたものの一つが組合交渉であったが、土木部監理課においても組合交渉に携わることとなった。
 地方公務員の「一般職員」は、公益的使命から職員団体を組織しても争議権などは持ち得ず、労働条件について懇談的に交渉することが認められている程度。しかし、病院局のように「企業職員」は労働基準法が適用され、民間企業と同様に組合交渉が可能であり、土木部が抱える道路のパトロールや補修などにあたる現業業務職員も同様であった。
 毎年秋口になると労働条件の改善や翌年度の現業業務職員の補充などに関して当局と交渉するのが定例となっているのであるが、その"当局側"として土木部を代表して交渉にあたるのが副部長であり一義的な窓口が私になるのだ。
 公務員組織というのは、当該自治体としての財政事情に加え、全国的な視座から地方の行政改革の動向等を見た上での国からの効率化の要請などを踏まえて、業務の委託化や定数削減を進めるのであって、幹部が労働者の削減を通じた労働強化と人件費節減による"搾取"により私益を肥やせるようなものではない。
 県の人事委員会勧告を受けて給料を減らされる時は幹部も一般職員もみな一律だ。それどころか、緊急事態において給与削減を行うときは、一般職は3%カット、課長級以上の幹部は5~10%カットと削減率が高くて厳しい。色々考えると自治体における組合交渉というものには思うところが多い。
 それでも、綿々と続いてきた交渉の歴史において労使の間で積上げてきたものは尊重せざるを得ず、いきなり止めてしまうわけにもいかない。私も、交渉の矢面に立つ役どころとなることに覚悟を決めて対応について考え始めてみた。
 過去の交渉録を見ると、昨今の主な課題は「道路パトロールの委託化の推進」にあるようだ。土木部だけでなく県全体として現業業務の委託化の方針が出されていた。民業の活用により県職員の定数削減による人件費の節減と民間の所得機会の拡大につなげようという狙いのようだ。交渉では当局側としてそうした論理を展開し、組合側としては自然災害時など緊急時における対応の担保確実性や安定した業務水準の維持確保など、民間へ委ねることのリスク論を展開するなどして、平行線を辿りつつ、翌年の退職者補充をどの程度するか、不補充により委託をどの程度にするかを都度都度調整してきた模様だ。
 病院局時代もそうであったが、組合交渉録を読むと、組合側の発言に比べて当局側の発言内容に臨場感が乏しく、それが説得力の弱さにつながっていることが痛感される。県庁に座して執務室内の机上で資料と理屈で物事を考えている当局側は、組合側から一事を万事のように語る主張であっても個別具体の実情を持ち出されると抗弁が途端に劣勢に陥るのだ。
 関係の部下職員に聞くと、交渉の事柄である道路パトロールそのものを当局幹部自身が体験することがこれまでに殆ど無かったという。ここは、病院局時代の手法を持ち出すしかあるまい。私は、道路パトロールに同乗させてもらい実際に体験させてもらうことにした。

(「土木部監理課6「組合交渉に向けて真夏の道路パト体験(その1)」編」終わり。「土木部監理課7「組合交渉に向けて真夏の道路パト体験(その2)」編」に続きます。)
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