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毎日がスペシャル!

teacupからのお引越し
トライアスロン・読書日記・日常のあれこれ

18歳、永遠にする方法を知らなかった

2021-07-07 22:13:00 | note 読書

犬がいた季節を読んで

「トップガン」のトム・クルーズ。F1レース、アイルトン・セナ。阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件。安室奈美恵とSAMの結婚。ダイアナ妃逝去。山一証券破綻。ドリカムの「LOVE LOVE LOVE」、SMAPの「夜空ノムコウ」、GLAYの「HOWEVER」。

羅列するだけで痛みを伴うなつかしさと、せつなく胸が苦しくなってしまうのは、年を重ねたせいなのでしょうか。

当時のヒット曲と物語がシンクロし、名曲と小説の言葉が切なく響いてきます。

どの時代の18歳であっても卒業があり、別れがあり前に進んでいく力があります。ただ18歳の私は、なんでもない日常や若さがやがて戻らないものということには気がつきませんでした。

三重県内の進学校に迷い込んだ一匹の白い子犬。「コーシロー」と名付けられ、以来、生徒とともに学校生活を送っていきます。昭和から平成、令和へと続く時代を背景とした青春小説です。
第1話(昭和63年 1988年)は塩見優花と早瀬光司の淡い恋で始まります。この切なさがずっと残っているまま第2話(平成3年1991年)、第3話(平成6年1994年)とそれぞれの時代の高校生が最終話(令和元年2019年)までつないでいきます。バトンはコーシローです。

第4話(平成9年1997年)の「スカーレットの夏」が好き。はみ出している詩乃とバンドをやっている鷲尾くん。詩乃の痛々しさと生きることの必死さが伝わってきます。這い上がろうとする強さがスカーレット・オハラと重なります。だけど、これはスピッツの「スカーレット」。優しいメロディで歌詞も温かく勇気づけられる感じがします。

最終話がとても優しく、懐かしく悲しくないのに、涙が出てきました。それぞれの道に進み、違う人生を歩んできても本当に大切な人とはつながっています。

著者の母校がモデルで実際に、犬が一緒に暮らしていた高校だったそうです。ふるさとの情景描写が鮮やかです。犬の視線が好き。犬って絶対、なんかしゃべってるし、なんか伝わっているような気がします。私も犬と暮らしていたからわかります。

本のカバーをとると、1988年の優佳とコタロー1999年の優佳とコタローに会えます。

however  GLAY は永遠の愛を歌っているけどこれからも色々な困難もあるかもしれない、しかしながら「永遠にする方法」なのかもしれません。第5話の中原くんの名訳です。
https://youtu.be/gPcPseeICjs

GLAY のHOWEVERにもコーシローがいて、びっくり!!つながってる!

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2021/05/04 10:12


13歳の私へ 大丈夫。大丈夫だから、大人になって

2021-07-07 22:09:00 | note 読書

「のぼせとう!だめしか!」
13歳の私は、日常的にこの言葉を投げつけられていました。東京から地方に引っ越してきて、言葉がわかりませんでしたが、悪口だとは知っていました。「のぼせとう」は生意気、調子に乗るな、「だめしか」は汚いこと。

クラスの一部の男子のいじめの対象になってました。標準語が生意気だったのでしょう。近づかないで、無視してましたが、耐え難いこともありました。具体的に親に話したことはなかったと思います。心配させる、というより恥ずかしかったから。私は明るいかなちゃんでいたかったし、友だちもいました。友だちは表だって庇うことはなかったけど、一緒に遊んでいたし仲が良かったと思います。

クラスでその子たちが私を差別(いじめという言葉ではなかったです)しているのは他の子たちも雰囲気でわかっていたと思います。先生も。ある時とても酷いことを言われ、学級委員の男の子が思わず「やめりぃや!(やめろ!)」とその子に言い返してくれたことがありました。私はその場にいることができず、教室を跳び出し、家に帰りました。

新幹線に乗って、東京に帰りたいと博多駅まで行って警察に保護されたこともあります。

学校には行ってました。行くものだと思ってました。勉強も面白かったし、なにより1年後にまた東京に帰れるというのがわかっていたので希望がありました。私が差別されていたのは1年間で、友だちもいたし水泳部ではそこそこ記録を出していました。

かがみの孤城を読んで
13歳の安西こころの視点で描かれたファンタジーミステリー小説です。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。

こころが学校に行けなくなった理由が、13歳の私と重なり遠い記憶が浮かび上がってきました。こころと同じ、だ。怖かった。

『ばっかじゃないの、マジ死ね』

こころの怒りと、震えがこの物語の根底に流れてて、それは1つの支流でなく8つの支流になっています。

ナルニア国物語のように、ここでは鏡を媒体として異世界であるお城でつながったアキ、フウカ、ウレシノ、マサムネ、スバル、リオン、オオカミさまの支流。

それぞれの個性が、こころサイドで汲み取られていきます。お城で出会った彼らの言葉から、こころの心象におとしていく描写です。だからこそリアルで、私も13歳に戻ってしまったのでしょう。

13歳の心は不安定でころころ変わります。苦手だな、と思っていた人でも、あれ?いいヤツぢゃん、と柔軟だから大丈夫。居場所と、助け合える仲間と理解ある大人がいるから大丈夫。

いじめ、という言葉が本書にあったかしら。それぞれの子どもたちは抱えているものがあるのだけど、明確なこの単語では表していなかったように思います。私は自分では差別されている、と思っていたけど。

「たかが学校」と言える大人びたリアルを生きている女の子もいるのだけど、あの頃は、学校と家庭がすべてでした。それしかなかった。

異界であるお城を登場させ、子どもたちに居場所は1つではないと教えてくれたけど、そこは居心地が良いだけではありません。自分がどうしたいか、どうしたらいいのか決めるのはそれぞれです。

13歳の私には、1年先はわかっていたけど大人になった私を想像できませんでした。子どもはいつか大人になります。大人になったら解決するものではないけど。

『ああいう子はどこでもいるし、いなく、ならないから』

大人になっても、ああいう子もいるし、こういう子もいます。力になってくれる人も、自分が力になることもできます。たぶん。

大丈夫。大丈夫だから、大人になって
孤城の子どもたちにそうやさしく呼びかけられる、大人でありたいと思いました。

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2021/05/03 05:00


撃ち抜かれたものは

2021-07-07 22:06:00 | note 読書

小学校4年生のとき古い実家を建替え、新しいおうちになりました。そのときに応接間、というのができピアノが置かれガラスの本棚があり、世界文学全集が並んでました。祖父の肖像画が掛けられそれは、実際の祖父より若かったのでへんだなぁと思ってました。

祖父の肖像画と一緒にひまわりの絵がありました。祖父のそれもひまわりも誰が描いたのか、ということは興味がなかったです。

中学生頃になってから、それがゴッホという有名な画家が描いた『ひまわり』と知りました。祖父の絵を描いた方はもちろんゴッホではないし、『ひまわり』も複製です。本物の『ひまわり』を観たのは、それから20年後でした。

原田マハさんの『リボルバー』の1ページ目がひまわりなんです。高遠冴(たかとおさえ)が少女の頃、彼女の部屋に飾られていたのが『ひまわり』です。うちと同じ!びっくりしました。

少女だった冴の部屋の『ひまわり』はやがてゴーギャンの『タヒチの女(浜辺にて)』と並んで掛けられるようになります。

パリ大学で美術史の修士号を取得した高遠冴(たかとおさえ)は、小さなオークション会社CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)に勤務している。週一回のオークションで扱うのは、どこかのクローゼットに眠っていた誰かにとっての「お宝」ばかり。
高額の絵画取引に携わりたいと願っていた冴の元にある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。
それはフィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使われたものだというーー。「ファン・ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか?」
「――殺されたんじゃないのか? ……あのリボルバーで、撃ち抜かれて。」

アートミステリー小説で、物語は現代で進行しているのだけど謎解きは過去にあります。

そこではゴッホも、ゴーギャンも、テオも生きていて彼らの葛藤で苦しくなります。ゴッホのあの絵の具の厚塗りや、筆遣いがそのまま行間に息づいているようで私たちもそこに引きずられてしまいます。冴のように彼らの声が聴こえてくるようです。彼らと一緒にいるような贅沢な気分にさえなります。

『画家だからです。あなたがたが思いも寄らない苦悩が、私たちにはあるのです』

耳切り事件でゴーギャンが警察にそう、応えました。

ゴッホとゴーギャンの関係性、友だちという生温いものではなく真剣での勝負でヒリヒリして怖いぐらいです。

原田マハさんの視線は、やさしい。

『ゴッホとゴーギャンはまるで似ていない双子のようだ』

魂の片割れだったのかもしれません。惹かれあい、ウザいと思ったり、でも抗うことができません。

2年前はじめて『糸杉』を見ました。衝撃的でした。糸杉でなくイトミミズだと思っていた筆遣い、ぐるぐるがくらくらしそうであまり好きでなかったのに。びっくりしました。絵の具が動いている!!生き物のようにうねっていて迫力がありました。ゴッホの殺気さえ伝わってくるようでした。

あの絵の具の質感のように、生きて動いて悩んでいる彼らに会うことができました。

原田マハさんの描く『秘密』はやさしい奇跡でもあります。私はこの奇跡に出会えるのが好きです。ささやかなしあわせを届けてくれます。ありがとうございました。

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2021/06/21 05:00


note課題図書10冊読破しました!

2021-07-07 22:03:00 | note 読書

#読書の秋2020

課題図書56冊のうち10冊を読みました。私の好きな「楽しいけど苦しいこと」でした(笑)

まず楽しいことは、とにかく次に読む本に悩まないですむということ。本好きでいつでも次に控える本がないと不安になってしまう方って多いと思います。10冊を選んでしまってからは悩むことなく突き進みました。

単純に本を読むのは楽しい。こことは違う別のところに連れていってくれます。明治・大正時代へ。小学校へ。東ドイツへ。大学時代へ。80年代へ。キューバーへ。ピアノコンクールへ。

ドキドキしたり、怒ったり、泣いたり、笑ったり。

課題図書って、ふだん自分が読まない本もあります。好みでないものもあります。だからこそ面白いし、苦しい部分もありました。

1番うれしかったのは、私の拙い読書感想文を読んで、「読みたくなった」「買いました」「読んでいます」「読みました」という声をいただいたことです。これはもう読書感想文の成就です。

本当にうれしかった。これだけでもnoteやっていてよかったと思えました。同じ本を読んでつながる。

ありがとうございました。


昨夜のカレー、明日のパン 木皿泉
横道世之介        吉田修一
ファーストラブ      島本理生
望み           雫石脩介
革命前夜         須賀しのぶ
風よあらしよ       村山由佳
蜜蜂と遠雷        恩田陸
逆ソクラテス       伊坂幸太郎
人生を狂わす名著50 三宅香帆
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の犬
若林正恭

kaorina091さん

遠いシチリアのパレルモで電子書籍で読んでらっしゃいます。イタリアはロックダウン中で大変な中読書と美味しいものが大事になっています。知的でお料理が得意なクールビューティ。

noteの課題図書ということで、いいように書いてしまった部分もありますので「お勧め」というのとは違うです(言い訳)好みは人それぞれで、私の感想なので。

1つだけ正直に(全部正直でいいところだけ書いたのだけど)好みでなかった本も書きました。誰でも本が出せる時代だなぁ というヤツです。

これからは課題図書を離れて、今まで通り自分の好みで偏った読書をしてまいります。自分の好みだとすらすら感想文が書けます。好みでなかったものはどこを焦点にしたらいいか、けっこう悩みながら書きました。



こんな感じの読書感想文すてきだな、というのに出会いました。

ミーミーさん


おもしろい!本よりも(失礼)ミーミーさんの語り口が好き。息子ちゃんとの会話もすてき。飾らなくって、計算してなくって。ミーミーさんのキャラかなぁ。

『リーダー論って言ったって、私そもそもリーダーになったことないし。多分今後もなることないだろうし。リーダーじゃなくても読めました』

私にはこんな感じでは書けない。
良質な本は宝物です。

感想文はあと1冊残ってますが、今作者にラブレターを書いておりますです。

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2020/11/27 04:20