
犬がいた季節を読んで
「トップガン」のトム・クルーズ。F1レース、アイルトン・セナ。阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件。安室奈美恵とSAMの結婚。ダイアナ妃逝去。山一証券破綻。ドリカムの「LOVE LOVE LOVE」、SMAPの「夜空ノムコウ」、GLAYの「HOWEVER」。
羅列するだけで痛みを伴うなつかしさと、せつなく胸が苦しくなってしまうのは、年を重ねたせいなのでしょうか。
当時のヒット曲と物語がシンクロし、名曲と小説の言葉が切なく響いてきます。
どの時代の18歳であっても卒業があり、別れがあり前に進んでいく力があります。ただ18歳の私は、なんでもない日常や若さがやがて戻らないものということには気がつきませんでした。
三重県内の進学校に迷い込んだ一匹の白い子犬。「コーシロー」と名付けられ、以来、生徒とともに学校生活を送っていきます。昭和から平成、令和へと続く時代を背景とした青春小説です。
第1話(昭和63年 1988年)は塩見優花と早瀬光司の淡い恋で始まります。この切なさがずっと残っているまま第2話(平成3年1991年)、第3話(平成6年1994年)とそれぞれの時代の高校生が最終話(令和元年2019年)までつないでいきます。バトンはコーシローです。
第4話(平成9年1997年)の「スカーレットの夏」が好き。はみ出している詩乃とバンドをやっている鷲尾くん。詩乃の痛々しさと生きることの必死さが伝わってきます。這い上がろうとする強さがスカーレット・オハラと重なります。だけど、これはスピッツの「スカーレット」。優しいメロディで歌詞も温かく勇気づけられる感じがします。
最終話がとても優しく、懐かしく悲しくないのに、涙が出てきました。それぞれの道に進み、違う人生を歩んできても本当に大切な人とはつながっています。
著者の母校がモデルで実際に、犬が一緒に暮らしていた高校だったそうです。ふるさとの情景描写が鮮やかです。犬の視線が好き。犬って絶対、なんかしゃべってるし、なんか伝わっているような気がします。私も犬と暮らしていたからわかります。
本のカバーをとると、1988年の優佳とコタロー1999年の優佳とコタローに会えます。
however GLAY は永遠の愛を歌っているけどこれからも色々な困難もあるかもしれない、しかしながら「永遠にする方法」なのかもしれません。第5話の中原くんの名訳です。
https://youtu.be/gPcPseeICjs
GLAY のHOWEVERにもコーシローがいて、びっくり!!つながってる!
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2021/05/04 10:12