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日韓両政府、「慰安婦」問題で合意──2015.12

2016-01-02 13:02:20 | 戦後・「慰安婦」問題◆

報道引用
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ハフィントンポスト日本版 

慰安婦問題で日韓が合意。日本政府が10億円拠出へ【声明全文】
The Huffington Post  |  執筆者: 安藤健二
投稿日: 2015年12月28日 16時19分 JST 更新: 3時間前

KISHIDA

岸田文雄外相は12月28日に韓国・ソウルで、同国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相と会談した。その後の共同記者会見で、従軍慰安婦の問題について、「両国が受け入れられる合意を導き出すことができた」と述べ、両政府が合意したことを明らかにした。

元慰安婦を支援するための財団を韓国政府が設置し、日本政府の予算から約10億円を拠出することになった。NHKニュースなどが報じた。

NHKの中継によると、岸田外相の声明は以下の通り。合意には、安倍首相が元慰安婦に「心からお詫びと反省の気持ち」を表明することや、「最終的かつ不可逆的」な解決とすることが盛り込まれた。

    1.慰安婦問題は当時の軍の関与を元に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から日本政府は責任を痛感しています。安倍内閣総理大臣は日本の内閣総理大臣として、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒やし難い傷を負われた全ての方々に対し、心からお詫びと反省の気持ちをお伝えします。

    2.日本政府は、これまでも本問題に真摯に取り組んできたところ、その経験に立って、今般、日本政府の予算により全ての慰安婦の方の心の傷を癒やす措置を講じます。具体的には韓国政府が元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、これを日本政府の予算で一括で供出し、日韓政府が協力し、全ての元慰安婦の方の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととします。

    3.日本政府は以上を表明するとともに、以上申しあげた措置を着実に実行するとの前提で、今回の発表により、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認します。あわせて日本政府は韓国政府とともに今後、国連等、国際社会において今問題について互いに非難・批判することを控えます。

    なお先ほど申し上げた予算措置については、規模としておおむね10億円規模となりました。以上のことについては日韓両首脳の指示に基づいて行ってきた協議の結果であり、これをもって日韓関係が新時代に入ることを確信しております。

■少女像は「適切に解決されるよう努力する」(ユン外相)

岸田外相に続いて、韓国のユン外相が声明を発表。元慰安婦に対する事業が着実に実施されることを前提に、日本政府とともに、「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と述べ、日本政府の実施する元慰安婦の心の傷をいやす措置に協力する考えを示した。

また、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦を象徴する少女像に関して、「日本政府が、大使館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行うなどして、適切に解決されるよう努力する」と言及した。像を設置した市民団体との話し合いなど、韓国政府として解決に向けて具体的な対応を取ることを明らかにした格好だ。

■「賠償ではない」(岸田外相)

NHKの中継によると岸田外相は会見後に記者団に対し、「合意ができたことは歴史的であり、画期的な成果であると考えます。これらにより日韓関係は未来志向の新時代に発展すると考えます」「日米韓の安保協力も進展する余地ができた」と述べた。

一方で、日本政府は元慰安婦の請求権は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」との立場を取っていたが、「従来と変わりない」と記者団に語った。その上で、日本政府による10億円程度の予算措置は「国家賠償に当たるのでは?」という記者からの質問には、「財団は日韓で協力して事業を行うものであり、賠償ではありません」と強

岸田外相によると財団では「全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復に資する心の傷の癒やしのための措置、医療サービスの提供、また健康管理・療養・介護への支援、その他の適切な措置」を行うという。

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日韓両政府外相声明文
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外相共同記者発表の全文
毎日新聞2015年12月28日 18時31分(最終更新 12月28日 22時17分)

28日の日韓外相共同記者発表の内容は次の通り。

<岸田文雄外相>

(1)慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。

安倍晋三首相は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する。

(2)日本政府は、これまでも本問題に真摯(しんし)に取り組んできたところ、その経験に立って、今般、日本政府の予算により、全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には、韓国政府が、元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。

(3)日本政府は上記を表明するとともに、上記(2)の措置を着実に実施するとの前提で、今回の発表により、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。

あわせて、日本政府は、韓国政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える。


<尹炳世(ユン・ビョンセ)外相>

(1)韓国政府は、日本政府の表明と今回の発表に至るまでの取り組みを評価し、日本政府が上記(2)(注・日本側)で表明した措置が着実に実施されるとの前提で、今回の発表により、日本政府と共に、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。韓国政府は、日本政府の実施する措置に協力する。

(2)韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する。

(3)韓国政府は、今般日本政府の表明した措置が着実に実施されるとの前提で、日本政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える。
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朝日新聞 

日本の10億円拠出「少女像移転が前提」 慰安婦問題

武田肇 冨名腰隆 ソウル=牧野愛博
2015年12月30日05時03分

写真・図版 日本が合意するまでの主な出来事

 「合意されたことは、しっかりフォローアップしないと」。安倍晋三首相は日韓両国が慰安婦問題で合意した翌29日、滞在先の東京都内のホテルで帰国報告した岸田文雄外相にこう告げた。首相の念頭には、ソウルの日本大使館前にある「少女像」の移転問題があったと見られる。

 首相は、岸田氏に24日、年内訪韓を指示した直後、自民党の派閥領袖(りょうしゅう)と電話した。少女像の移転問題について、「そこはもちろんやらせなければなりません。大丈夫です」と語ったという。

 少女像は、元慰安婦の支援団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」(挺対協)が2011年に日本大使館前に設置。以来、日韓の対立点となってきた。日本は国内世論を悪化させるなどとして移転を求めたが、韓国は「像は民間が設置したもの」と譲らなかった。

 首相が少女像の問題にこだわったのは、自らの支持層の保守派への配慮からだ。「これができないと自分も厳しい。支持者がもたない」との思いがあった。

 少女像の交渉はもつれた。韓国にとっても挺対協の説得が難しいからだ。日本は、韓国が設立する財団に10億円を拠出する条件として、少女像の移転を主張。韓国から像をめぐる内諾を得たと判断し、合意の決め手になった。複数の日本政府関係者によると、少女像を移転することが財団への拠出の前提になっていることは、韓国と内々に確認しているという。

 外相会談後、韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相は記者会見で少女像の移転について「関連団体と話し合いを行い、適切なかたちで解決するよう努力する」と明言。だが、挺対協は「韓国政府が移転に介入することはありえない」と表明している。

 日本政府関係者はこう語る。「韓国がこれからかく汗の量は半端ではない」(武田肇)

■財団への拠出金額めぐり交渉

 「日韓関係の障害は取り除きたいと思う。ただ、韓国にも努力してもらわなければならない」

 11月2日、日韓首脳会談の少人数会合で、安倍晋三首相が朴槿恵(パククネ)大統領に切り出した。口調は穏やかだが、強く慰安婦問題の決着を迫る首相に、朴氏も元慰安婦と韓国国民が納得することの重要性を訴えた。

 約1時間の会合のほとんどが慰安婦問題に費やされた。結論は出なかったが、国交正常化50周年の節目を生かす思いは一致した。

 9日後に外務省の石兼公博アジア大洋州局長が訪韓。韓国外交省の李相徳(イサンドク)東北アジア局長と顔を合わせた。だが、慰安婦問題の「法的責任」やソウルの日本大使館前の「少女像」の移転問題など、両者の溝は深いままだった。

 両氏は会談や電話でのやりとりも重ねたが、事態は好転しなかった。交渉筋から状況を聞いた首相経験者は、「政治決断なしでは解決しない」とぼやいた。

 もう一つ、首相には見極めるべき案件が残っていた。朴氏への名誉毀損(きそん)の罪に問われた産経新聞前ソウル支局長への判決だ。「有罪なら慰安婦問題の解決は遠のく」と首相はみていたが、12月17日に無罪が出た。首相は交渉レベルを谷内正太郎国家安全保障局長に上げることを決断した。

 さらに、23日には、韓国憲法裁判所が1965年の日韓請求権協定を違憲だとする訴えを却下した。同日、韓国で谷内氏と李丙(イビョンギ)・朴大統領秘書室長が協議し、日本が慰安婦問題の「政府の責任」を、韓国が「最終的かつ不可逆的な解決」を表明することで合意。国際社会の場で非難・批判を控えることも確認した。

 この時点でも、元慰安婦支援で韓国が設立する財団への日本の拠出金額について、日本は1億円余、韓国は20億円を主張していた。金額の隔たりは大きかったが、報告を受けた首相は翌24日、岸田文雄外相訪韓のゴーサインを出した。会談前日まで交渉は続いた。

 28日、ソウルで尹炳世(ユンビョンセ)外相と向き合った岸田氏は「10億円」を提示。尹氏も異は唱えなかった。(冨名腰隆)

■世界遺産めぐる対立が水を差す

 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は今年6月、米紙とのインタビューで日本との交渉は「最終段階にある」と語った。

 日韓両国は外務省局長協議のほか、今年3月にソウルで開いた日韓外相会談などを経て徐々に対話のレベルを上げ、水面下の交渉も進めていた。朴大統領の発言は、妥結は近いという韓国側の感触の表れだった。

 複数の日韓関係筋によれば、「日本政府は責任を痛感」「心からおわびと反省」などの表現は、今年6月の時点で合意。日本政府予算による財団の設立も、規模こそ1億円程度だったが、ほぼ合意していた。

 それが振り出しに戻ったのは、世界遺産をめぐる対立の結果だった。

 日韓の間では5月ごろから、「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産への登録をめぐり、あつれきが顕在化。日本統治時代に朝鮮半島から労働者が徴用された歴史をどう説明するかが問題となり、韓国側は違法性を示す「強制労働(forced labour)」という表現にこだわっていた。

 日韓は6月下旬の外相会談で別の表現を使うことで合意し、いったん登録へ向けて協力することで一致したものの、登録を決める7月の国際会議での発言案を伝える際、韓国側の文書の中に「forced labour」という表現があったため、日本側は態度を硬化させた。一時は韓国との協議を破棄し、登録を投票で決着させる方針も検討した。韓国側は事務方への指示の不徹底が原因だとして表現を戻し、世界文化遺産への登録は決まった。

 韓国政府当局者はこの件で安倍首相らの怒りを買ったとの情報に接し、日本側に「単純な手違いだ。結果的に合意通りにしたのに、なぜ怒るのか」と主張。尹炳世外相が岸田文雄外相に電話で同様の態度を取ったため、日本政府内に韓国への不満が充満したという。

 8月の安倍首相談話では、日本による植民地支配への直接の言及がされず、韓国側で緊張が高まった。

 韓国側は日本の怒りに戸惑った。朴大統領は6月までの合意を生かそうと、8月の安倍首相談話への批判を自制。事情を知らない外交省OBから「なぜ、こんな無礼な談話をそのまま受け入れるのか」という不満の声が上がるほどだった。

 11月2日の日韓首脳会談の際、「朴大統領が(世界文化遺産の問題で)韓国事務当局のミスを叱責した」という情報が日本側に伝わった。日本側は、「ミス」の当事者は尹外相を含む当局者と受け止め、わだかまりがとけた。(ソウル=牧野愛博)

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