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ブログ版ネクストテクストです。

記号を喰らったクリスマス・イヴ

2006-12-24 19:27:42 | 一喜一憂躁鬱日記
本日はクリスマス・イヴ。ま、そんなことは関係なく本日心斎橋に散髪に行く。ちょっと早めに家を出て日航ホテルでランチ。

なんでまた日航ホテルかというとですね、JALのマイレージがやたらに溜まっていて、それを1年ほど前にJALのクーポン券に交換したのである。ところがこの商品券、2006年12月31日で失効するのだ。あと1週間である。このJALクーポンというもの、まことに不便な代物であって、大阪に住んでいると心斎橋にある日航ホテルでメシを食うくらいしか使い途がないのだ(心斎橋の日航ホテルはかなり古びていてあんまり泊まる気がしない)。

そんなわけでこの1年間というもの、夫婦で日航ホテルに入っているあらゆるレストランに行ってランチを食べまくっていた。さらにケーキを買ってクッキーを買った。それでもまだ5,000円分のクーポンが残っている。いっぽうで失効の期限は目前である。これはもう今日のランチで5,000円を使い尽くすしかない。そういう決意のもとに日航ホテルへ行ったのである。

しかし。中華もフレンチも和食も気分ではない。かなり悩んだ末に1階のカフェに入ることにした。メニューを一瞥して、ヒレカツサンドイッチと生ビールを注文。サンドイッチは2,500円、生ビールはグラスにもかかわらず1,000円近く。なんと法外な値段であることよ。が、私にはクーポンがついておるのだ。しかもこのクーポン、お釣りをもらえないのである。そう考えるとむしろ5,000円に近づいたほうがよいな、などと考えるところが貧乏性の証であり、小市民の証。ためらいなくホットコーヒーを追加注文する。
結果、お会計は5,151円。会心の笑みを浮かべる私。

料理は決して美味しくなかった。だが、JALクーポンの使いにくさに打ち勝ったという征服感を得ることができた。失効になる前に使い切ることができたという満足感を得ることもできた。そうなのだ。私は食べ物を食べたのではなく、5,000円という記号を食べたのである。おおおお。この空虚さたるやいかに。なるほど、ジャン・ボードリヤールが言っていたことはこういうことであったか、と心から納得した昼下がりであった。


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