第8話 「武器」
アルバがカトラに言った。
「何で俺、名指しなんだろ?」
カトラは持ってきた箱をガサガサさせながら、かがんで答える。
「この研究所の過去も遡ってみるが、意味があるかは分からないな」
その場にいたはずのジーナやルーカスはどこかに行っていた。
アルバは不安げに質問する。
「何で街なのか…この場所知らないのかなぁ?」
カトラが手を止めないまま、答える。
「このローバ研究所は新しくてね、古く思えるようでアナロバ社より新しいんだよ」
すると準備が整ったのか、アルバに質問をするため顔を向ける。
「渡したいものがあるが、武器を持ったことはあるか?」
アルバが当たり前のように「あるわけないでしょ」と、呆れたように答える。
相手を知らないと意味もない。
分かっていることをまとめることにするため、ジーナやルーカスもきた。
カトラが研究所らしく用意してあったホワイトボードに、書いていく。
・半透明になったり、消えたりする
・姿が現れている時間不明
・人間が1名死亡、重軽傷者が12人
・街に突然現れたが出どころは不明
・アルバ目当て
カトラが「まあ、今分かっているのはこのくらいか…」
ルーカスがあることに気が付いたように、話し始めた。
「あの場所は昔だが、元のアナロバ社の研究所があった場所じゃないかな…」
カトラが改めて見て「確かにそうだな」と言った。
そこでホワイトボードに1つ増えた。
・昔アナロバ社のあった場所
その後ガサガサした場所からギョッとするものが出てきた。
カトラが言う。
「練習することは、まず透明になることとかコントロールすること、それと…」
アルバが話を真剣に聞く。
「これを使えるようにすることだ」
見せられたのを見てアルバが驚く。
カトラが「練習が必要なことはたくさんだな」
見せられたのはまさか…と思った武器。
カトラが持って見てはっきり言った。
「ショットガンだよ」
アルバは自分が使う実感がなかったが、1名亡くなっていることに唇を噛み締めた。