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ねここねこの家

写真ありで我が家の出来事、
主人と、猫ちゃんず(×3)の普段の様子
思いのままのブログ日記♪

アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 45話 「裏切り」

2019-09-30 23:47:04 | 小説

45話 「裏切り」


「これなら見た目は悪いけど機能は問題ないな」


麻生が言うと、ベラーナ機の修復は終わったが2人の機体の姿は、凄まじい状態だった。


「…セイナ」


守里は帰ってきたセイナに声をかけると、みんなが喜びの声をあげた。


「動かない方が良い」


喜びの顔は一瞬で消えた。

鏡俊一を盾に小林が銃口を向けている。

守里に向かってではなく、セイナに向けて。


麻生が言った。


「場所が知られているのには理由があると思っていたが、小林、あんたがロロナを操作していたのか。あるときからロロナの口調が変わっていたよ」


小林は周りを警戒しながら出口のある倉庫の方に行こうとする。

続けて小林が言った。


「私はマーズの鉱石の大体の場所を話してある。マイールにだけだがね」


偶然が重なった。

ベラーナが工具を落とした音が銃声に聞こえた。

その瞬間、鏡が小林に噛み付く。

小林の銃口は鏡の足の太ももにあたり、痛みに耐えてうずくまった。


また銃声が鳴るとベラーナが叫んだ。


「伏せろ!!」


もう1発が金属の壁を伝って音を立ててどこともなく飛んでいると、あっちこっちで悲鳴が上がった。


弾は小林の頭部に当たって倒れた。


急いで銃を奪う守里と小林を抑え込むベラーナ。


「…息はないよ」


麻生とベラーナは首を振って答える。

同時に誰もが鏡に注目すると、太ももを抑えて平気だと合図をする。

血が出ていない。


そこには守里が持っていた缶バッチが付けてあった。


「ほらさ、剣が…大事にして持っていてくれって預けたじゃん」


衝撃はあったはずで痛みに堪えて、缶バッチを手にする。

『勇気』の部分に当たっていた。

照れている鏡だったが、同時に麻生が言った。


「危険だったが、まさに『勇気』ある行動だった」


カンナとララは安堵とともに小林を見ることができないでいた。

守里と麻生、ベラーナで小林を運んで倉庫に向かう。


一時凌ぎだったが目の前に晒すことはできなかった。


一瞬口を抑えて驚いていたセイナが言った。


「…マイールは…マーズの鉱石の大体の場所を知っているって言ってたの。小林さんと繋がっていたからみたい…」


呆然とするみんなだったが、今は日本に行っていられない。


「迎え撃つ前に準備をしよう」


守里は冷静さを保つよう、自分に言い聞かせるよう告げた。

 


アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 44話 「迫る戦い」

2019-09-30 17:40:33 | 小説

44話 「迫る戦い」


「どこにあるのかおおよその見当は付いている。ただ確かめたい。この目で…アベルトに悪用されないために…」


マイールは悲しい目でセイナに言った。


セイナは動じることなく、それでも大爆発は目の当たりにしていた。


「…カイリはもういない…アベルトは勝つだろう。俺は従うしかない。反発したら…」


マイールは悲しい目のままセイナを見つめて言った。

セイナは落ち着いて答える。


「反発したらあなたがやられる…結局は恐怖に負けてマーズの鉱石のアベルトの意のままなことに変わらない。卑怯することだと思う」


セイナは精一杯の反発をした。


「…ではこうしよう…君を乗っているゲンナ号だったかな?に返すよ。その代わり俺とアベルトと総力戦をしよう。残りの戦力からいえば互角に近い…いやアベルトが上かな?」


大きく深呼吸をしてセイナは納得した。

マイールを哀れにも感じていた。


マイールは言った。


「アベルトがくる前に戻るんだ!」


マイールの片目だけが悲しく見えている。

マイールは戦艦に迎えに来るよう信号を出していた。


ララ機はそれを見て言った。


「罠じゃないの??」


守里とアベルトは感じていた。

マイール戦艦とアベルトは本気でかかってくると。

ララ機に迎えに行くよう指示を出した麻生も同じ思いだった。


カンナとトキノは、ララ機が狙われたら迎撃するよう構えていた。


Gビャクヤはほとんど元に戻っていたが、傷だけはどうすることもできない。

ベラーナは麻生とリリアンと一緒になって機体を直している。

あと数時間あれば…ベラーナ機はそこまで修復していた。


麻生が少しの休憩をしているとき、守里は質問した。


「パワークロノスは2回が限度ですよね?」


麻生は疲れを見せないように答えた。


「2回じゃが、30分充填すればあと1回使える。2時間で2回じゃ」


そして続けて言った。


「既に2回使える状態じゃから、2時間待てば2回使える。ただそれだけの余裕があるかは分からん。30分の充填で1回にかけるしかないかもしれん」


真剣な眼差しに、守里は考えていた。


「マイール戦艦に2回は使えない…1回…充填の時間はないだろうから、残りの1回でアベルとか…総力戦になるな…」


真剣に直しているベラーナを見上げて、2人で何とかしないとマズいと感じていた。


おそらく…アベルトは充填の暇は与えないだろう…

おそらく…全滅させてでもマーズの鉱石のためなら手段を選ばないだろう…

おそらく…例えセイナもろともでも倒すだろう…


守里は時間が迫ってきていることを感じていた。

 


「小説」の初めに言っておくべきだった^^;

2019-09-30 08:14:25 | 日記

趣味とはいえ「小説」を楽しく書かせていただいています。

…がしかし!最初に書いておくべきだったことがあるのです。

疑問についてですが「この小説はいつ終わるのだろう」かもしれません。

私自身は決めていました。

それは…50話で終わりということです!

続編があるかないかはこの時点では伏せておきます。

では残りもわずかに迫ってきていますので…

ここまで読んでくださっていることに感謝しつつ、まだお楽しみください!

 


アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 43話 「クロノスの力」

2019-09-30 06:17:42 | 小説

43話 「クロノスの力」


しばらくの沈黙があった。

守里も目の前の光景が信じられなかった。


「本当なのか?あのジャイワナーゾを…カイリを?」


守里が息を荒くして興奮していると同時に、虚しさも覚えていた。


「グラッツェ…いや、ありがとう…剣」


ベラーナの無線で我に帰る。

家族や仲間のことを思って、終わったという思いとまだ先があるという思い、そして何だか悲しい思いもあった。

家族や仲間は帰ってこない…ベラーナはあえて守里に何も言わなかった。


ベラーナは、自分の手でとどめを刺さなかったことに感謝すらしていた。


守里は思った。

「まだ…まだ先がある…ゲラザロナ…アベルト・ゼスタローネがいる…マイールも…」

心の中で感じていた。


マーズの鉱石も渡せない。

同時にセイナも取り戻さないといけないことを知っていた。


「このまま突き進む!!」


いつの間にか手の中に青く光った状態で刀が戻っている。

守里がGビャクヤで進もうとすると、損傷も確認した。


「こんななら、アベルトだって…!」


守里が興奮していると麻生の声がした。


「気持ちは分かるが、ララ機を戻さないとパワークロノスが乗せられない。しかもアベルトの居場所は分からない。一旦戻って落ち着くんだ」


手のひらに汗をほどだった守里は、震えてもいた。

確かにこのままじゃダメだ、とも感じていた。


ベラーナ機も腕の部分を損傷している。


ララ機とも離れ一時的にゲンナ号に戻ると麻生が言った。


「ララには外の警備を頼んである。この空域は危険だからね」


「Gビャクヤとベラーナ機を直すにはどのくらいかかります?」


守里が聞くと2本の指を立てて麻生が答える。


「2日は必要だね。Gビャクヤは3時間もあれば何とかなる。ベラーナ機の損傷が激しい」


改めて見ると、ベラーナ機は腕がもぎ取られそうになっていた。

足の部分もかなり関節部分が痛んでいる。

Gビャクヤは腕と頭部のかすり傷だけで済んでいた。


麻生が不思議そうに言った。


「セイナがいればもっと早いが…リリアンと私で何とか頑張って2日間…ところであの赤い閃光は見たこともない…」


と話すと守里も分からないままロロナに聞く。


「不明ー」


するとトキノが答えた。


「感情のコントロールなのかもしれないわね。そもそもクロノスはギリシャ神話で大地の神を指すし…仮定の話よ?」


続けてカンナが言った。


「私たちにはギリシャ神話の信仰はないし、どっちかというと神は殺戮を好まない…と思っているわ」


麻生が分からんと手を広げて言った。


「パワークロノスにも効果があるかも未知じゃ」


みんなが黙るとき、ちょうどアゼラではアベルトが無表情に動き出していた。

 


アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 42話 「赤い閃光」

2019-09-29 22:18:06 | 小説

42話 「赤い閃光」


守里剣に父親のことを話すことは控えた方が良いと考えたセイナ。


察したかのようにマイールは話し出した。


「Dのことは残念だった。だけどね、アベルトの考えに賛同している人間を放置できない」


セイナは珍しく感情を露わにして怒った。


「そのために殺すことが正しいとは思わないし。アベルトは気にもしないのに!」


マイールは悲しい表情になり言った。


「すまなかった…。俺も殺すことは避けたかった…」


悲しい表情を見たセイナは普通に戻って、戦いの怖さを改めて知った。

13歳のセイナにとって初めてではなかったはずなのに、アベルトに怒りも感じていた。

病院襲撃事件を思い起こして、アベルトの残虐性に恐怖した。


同時に不思議とマイールに親近感も覚えていた。

なんだか不思議な感情に戸惑っていると、目の前で戦闘が繰り広げられていた。


「ジャイワナーゾは弱いやつをやるんだよ、邪魔だから…」


まで笑って言いかけたとき、ベラーナがアサルトで接近戦を挑んできた。


「お前だけは!許せないんだよ!!」


カイリは笑顔から一転、体制をベラーナ機の後ろに周り表情を変えて言った。


「1対2は卑怯じゃないかなぁ」


若干の焦りを感じた守里だったが、ベラーナはジャイワナーゾから離れない。

危ない瞬間だったがカイリは再び笑って言った。


「そんで?どうすんのさ?」


ベラーナがマシンガンやアサルトで遠距離や近距離で無我夢中で戦っている。

我を忘れたように狙いを定めないで攻撃をしていることを感じた守里。


「ベラーナ!!離れろ!!」


ベラーナのアサルトが少しだけ右腕の関節に当たって火花が散る。

タイミングの問題だった。


「頼む!!ベラーナ!!離れろ!!」


体制を崩したベラーナ機が離れたときだった。


Gビャクヤがジャイワナーゾの目の前に行く。


「お前なんだよ!邪魔してさぁ!!」


カイリが怒りを込めて、Gビャクヤにアサルトに似た武器で近距離攻撃をしてきた。

腕をかすめて鈍い音がした。


「お前が!ベラーナの家族たちを!!」


守里が怒った。


それと同時に片方の左の刀が、アサルトに似た武器で攻撃を受け宙を舞う。

ベラーナが体制を整えた瞬間だった。


Gビャクヤから離れ、宙を舞ったはずの刀が赤く光った。

ジャイワナーゾが前向きになったとき、右の刀も赤い閃光が走った。


あっという間の出来事だった。

舞ったはずの刀が勢いよくジャイワナーゾの背中の厚い装甲を無視して刺さった。

同時に右の刀も前からコックピットの部分を貫く。


「あ、わーーーーーーっ!!」


カイリの悲鳴とともに勢いよくジャイワナーゾが大爆発した。

その勢いでGビャクヤは飛ばされ、ベラーナも体制を崩した。


そのあとにカイリの声を聞いた者も、ジャイワナーゾの姿を見た人もいなかった。


「はぁ…はぁ…はぁ…」


大きな爆発のあと、Gビャクヤに乗った守里の息遣いだけが聞こえた。