ねここねこの家

Canaries 〜心の囀り〜 12話 「「戸惑いの淵」」

12話 「戸惑いの淵」

 

「この場所ってノクスの中でも、ひときわ綺麗!」

 

サラの言葉にカルロは黙っていた。

姉のことでまだ不安定なはず。

まだ16歳のカルロにも、姉であるセセリナがした行動は納得ができない。

 

それと同時にサラの不安定さも分かった。

アイザックは本当にサラのことを想っているのに…

乱しているのは、ザメフィス。

分かっていて出だしができないのが、なおさらやるせない…

 

カルロはザメフィスのことを少しだけしか知らなかった。

あの出来事までは。

 

「カルロ…ここまで来れたらセセリナを助けてやろう」

 

サラが初めてアイザックと会った頃だった。

カルロは無視をして、様子を見ようとしていた。

そもそも声の主を知らない。

 

「カルロ…この世界は崩れるぞ」

 

その時黒い存在があり、地響きに続き、何人かが地面に飲み込まれた。

ノクスは綺麗な姿から一瞬のうちに、草原の青さを一部残して暗くなった。

家族で逃げ延び、アイザックに助けられた。

 

「何でなの?ここだけ草原が残っているの?」

 

カルロの質問にアイザックは答えた。

 

「サラの気持ちが残している。助けているんだよ」

 

カルロは質問する。

 

「サラって誰?ノクスはどうなるの?」

 

アイザックは答えた。

 

「みんなでサラを守ろう。君も、姉さんも、ラトも…」

 

ラトが話し始めた。

 

「別の世界の人間のために、勝手に想いを寄せている相手をみんなで守るのか?」

 

カルロが言った。

 

「アイザックが想っているとか関係ないよ。守ろう!」

 

ラトは言った。

 

「自己満足に付き合うのはごめんだよ。勝手にしててくれ」

 

ラトはそれきり姿を見せなかった。

サラの目の前に現れるまでは。

 

アイザックがカルロに告げた。

 

「戸惑いを見せるとザメフィスの思うがまま。気をつけていくんだ」

 

カルロは聞いた。

 

「ザメフィス…?」

 

アイザックが答える。

 

「戸惑いの悪魔。存在だけで実在しない」

 

カルロは淵にいたことを知った。

あのまま姉を守ったら、おそらく自分はもういないだろう。

選択肢を迫られた人たちが飲み込まれたんだ…

 

「ねぇ、カルロ!この場所って昔からあるの?」

 

カルロが我に返って答える。

 

「サラさんの作った場所だよ」

 

サラが不思議そうにカルロの元にきた。

 

「どういうこと?」

 

カルロは一言。

 

「アイザックを信じて」

 

サラはドキッとしながら、笑顔で答える。

 

「…信じているから大丈夫。私負けず嫌いなの」

 

サラの言葉にカルロは安心しつつ、姉の行動が気になった。

何かあったらサラを守らないと。

元はこの場所は飲み込まれた人たちの場所。

 

今は綺麗になっている。

サラの力。

戸惑った時この淵に立ったら、この場所に来ると良いと告げてその場を去った。


優しく頼もしい主人とねここねこ。猫ちゃんず(しまちゃん♀おおちゃん♂さきちゃん♀)と生活中。

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