先々週と先週の2週続けて
長男坊が中学生を対象にした弁論大会の京都府予選に出場させていただく機会を得ました。
たまたま時期が一緒になりましたが、それぞれ別の大会です。
まずは『高円宮杯 第68回 全日本中学校英語弁論大会』の京都府予選で、
弁論は全て英語で行われました。
そして、
次に『平成28年度 第38回 少年の主張』の京都府予選で、
こちらは日本語での弁論でした。
結果から言うと、
先週に参加した『少年の主張』の京都府予選では
3000人を超える応募の中から 3位にあたる『京都市教育長賞』をいただきました。
英語で行った高円宮杯の弁論大会は
残念ながら3位入賞ならずでしたが、
大会が終わった直後に 総評を述べておられた審査委員の先生が
長男坊の元へ自ら足を運んで下さって、
個人的に指導を下さり、
また原稿をとても褒めて下さりました。
入賞は出来ませんでしたが、
本人も、また私も大満足の貴重な経験をさせていただきました。
そこで、
入賞した原稿に関しては
著作権(?)とか何とかが定かではないので…
その辺りがハッキリするまでは公表はやめておいた方が良いのかな???と思いますが、
入賞ならずだった方の弁論内容を、
このままもう誰の心にも届かずに終わってしまうのは勿体ないし、
何だか寂しい気もしたので ここで発表させて下さい。
どちらの弁論内容も
15歳になった息子が
一緒に育ってきた最重度の自閉症の弟との事と通して
素直に自分の想いを述べています。
英語の原文の後に
日本語の訳も載せさせてもらいます。
どうか最後まで読んでやって下さい。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
【Give assistance to people in need】
I have a little brother. His name is Sora. He is 14. He is as tall as I, and bigger than I.
Anyway, he is very sweet and lives without worry. We are very close and always play together at home. But we go to different school. Can you guess why?
Because my brother has Autism. He needs to go to a special school. Have you ever heard of "Autism" ? This disease is not so uncommon. There is one autistic person in every 100 people. Autism is a brain development disorder. It makes it harder to communicate with others, both verbal and non-verbal. It also complicates repetitive actions. How this happens is not well understood. So, Autistic people may never be cured. However, they sometimes have special abilities like heightened senses, incredible memories, and so on. We cannot categorize them all because they are irregular and independent, like stones on the riverside.
My little brother Sora loves colorful things very much. For example, balloons, colored pens and so on. One day, when I went back home and opened the door, I was very surprised to see hundreds of colored pens on the floor. They were very beautiful, like a rainbow. I was very impressed with them. I think Sora is very cool because he can magically turn something like simple pens into a beautiful rainbow. Don't you think it's cool ? He has given me a lot of wonderful memories like this, but, there are also sad memories, and suffering.
Sometimes people shout harmful things at us. They say that Sora is unpleasant. They say that Sora makes them sick. They say that Sora is so noisy that they cannot sleep. They suggest tying him up so he can't move. From a humanitarian point of view, those kinds of words shouldn't be tolerated. Not only strangers say those things, but also my friends. Every single time they say such words, it was like a dagger in my heart. I will never be able to forget those days... But the one who suffers the most is Sora. He can't talk. So he can't express his feelings well. He can't control himself at times. But, he is a human being who has a warm heart.
There are millions of people who have disabilities around the world. They may be in difficult situations because of overt discrimination like this. You might think that they are different from other people. But they must not be discriminated against because they are human beings with feelings just like you and I. Please imagine how hurt you would be if you were discriminated against like my brother and others who have disabilities ! Please think and treat them with warm hearts. If everyone can do that, I think we can save my little brother, as well as others with difficulties. We can make the world a better place. We are all human beings. We should think with consideration and help each other.
I hope for the world to be peaceful and compassionate.
Thank you for listening.
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
【困ってる人に援助の手を】
僕には弟がいます。名前はソラです。彼は14歳です。身長は僕と同じぐらいですが、僕よりも大きいです。
ともかく彼はとても優しくて楽観的に生きています。僕たちはとても仲が良く、いつも家では一緒に遊びます。でも僕たちは違う学校に通っています。なぜだかわかりますか?
僕の弟は自閉症だからです。彼は特別支援学校に通う必要があります。あなたはこれまでに自閉症って聞いたことがありますか?この障害はそんなに珍しいものでもないのです。100人居たら1人は自閉症の人が居るのです。自閉症は脳の発達障害です。それは他者とのコミュニケーションを難しくする障害です、言語使用場面でも、言語使用のない場面においても。多動もあります。この行動がどうやって起こっているのかはよく分かっていません。だから自閉症は完治しません。しかしながら彼らは時々特殊な能力を持っていたりします、並外れた感覚や記憶力などです。それらをすべてカテゴライズすることはできないのです、なぜなら一人一人が河原の石のように個性的だからです。
僕の弟のソラはカラフルなものがとても好きです。例えば風船やペンなどです。ある日僕が帰宅しドアを開けたら、僕はとても驚きました、床に何百という色ペンが敷き詰めてあったからです。まるで虹のように綺麗でした。僕はとても感動しました。ソラはとてもクールです、普通のペンを魔法で虹に変えてしまうのですから。あなたは彼をクールだと思いませんか?僕の弟は僕にたくさんの素晴らしい思い出をくれました、こんな風な。しかしそこには悲しくて辛い思い出もあったのです。
時に人は僕たちに酷い言葉を投げつけました。彼らはソラが不快だと言いました。彼らはソラが居ると気分が悪いと言いました。彼らはソラがうるさ過ぎて眠れない、動けないように縄で縛れ!とも言いました。人道的観点から見ても、これらの言葉は許されない。見知らぬ人だけでなく、僕の友達までが言うのです。こんな言葉を言われる度に、胸に釘が打ち込まれている気分でした。僕はあんな日々を絶対に忘れられないでしょう…。でも、最も傷ついたのはソラです。ソラは話せないし、感情をうまく表現できません。彼は自分をコントロールできないのです。それでもソラは温かい心を持った人間なのです。
世界中には何百万という障害を持った人々がいます。彼らはこんな風な酷い差別の為に大変な状況に置かれているかもしれません。あなた方は彼らが他の人たちと違うと思うかもしれません。しかし彼らは絶対に差別されてはならないのです、なぜなら彼らもまた僕たちと同じように感情をもった人間だからです。想像してみて下さい、もしあなたが僕の弟やほかの障害者のように差別されたらどれだけ辛いかを。彼らに対して温かい気持ちで考え接してください。もしみんながそうしたのなら、僕たちは弟や他の障害者たちを助けることが出来ると思います。僕たちは世界をもっとより良い場所にすることができます。僕たちは人間です。僕たちは思いやりをもって考えるべきだし、お互い助け合うべきなのです。
僕は世界が平和で思いやり深くなる事を望んでいます。
ご清聴ありがとうございました。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
15歳という視点ですし、
弁論としては最後の提案もぼんやりしていて…
入賞に至らなかったのはそういうところなのでしょうが、
当日 張り詰めた空気の中で堂々と
弟との事を基に弁論できたことは
親バカですが、大したものでした。
私も 一人ひとりが今よりもほんの少し温かい気持ちで、
互いを理解したいと思う優しさを持てれば
世界は今よりも少し住みやすい星になるのだろうと思います。
でも現実は、
息子達はそれぞれの立場で
きっとこれからも理不尽な思いを噛み締める場面に多々 直面すると思います。
でもその時、
支えになって下さる誰かの優しさに感謝しつつ、
自分で乗り越えていく強さを
これからも少しずつ身につけていってほしいです。
そして、
世界が今よりも優しい想いで満たされますように...
私は
1日でも長く息子達のために健康で生き、
私が可能な限り 降り掛かる火の粉から
身を呈して守ってやりたいと願うのです。