かれこれ15年ほど前になります
年も明けた1月、
いつものように
車で集配コースを回っていると
午後になって突然
大粒の雪が降ってきたのです
雪はみるみる積もって
20センチにも達していました
何か嫌な予感がして、
国道へ回ろうかと考えましたが
店まで近かったこともあり
僕はそのままいつもの道を走り続けました
☆****☆
その時です
前から猛スピードで向かってくる車、
「ヤバイ、ぶつかる。」
咄嗟に僕は車を左に寄せて停止させました
そこへ
「ドカーン!!」
車へ正面衝突、
「シューッ」エアバックが開きました
車内は真っ白、ものすごい臭い
「こんなに臭いんだ、」
更にハンドルで胸を打っていて息ができない
それでも車からやっと出て
相手の車まで行くと
かなり年の老夫婦が乗っていて二人とも
口から血を吐いて白い目をしていました
「うわっ、死んでる。」とその時は思ったんですが
二人とも、生きていました
☆****☆
「ピーポー、ピーポー、」
救急車に乗せられ僕も病院へ
しかし病院で
しばらく検査をすると
「問題ないから帰っていいです。」
「えっ、」「胸が痛いんですけど...」
結局、帰されて「さて どうしよう。」
車は全損でペッシャンコ、
相手は話もできないし
結局、タクシーで自宅へ帰りました
数万円の高額なタクシー代、
その時、運転手が白紙の領収書を二枚よこして
「役に立ちますから、」
そう言って渡してくれた
☆****☆
翌朝もタクシーで会社へ出社、
相手の保険会社から連絡があり
レンタカーの手配をしてくれた
数日後、相手の保険の担当者が示談の話にやってきた
全損の潰れた車はリースの車だったので
特に僕は関係なかったが
支払われたのはタクシー代と病院へ行った
一日分の一万円だけ、
「怖い痛い思いをして、これではあんまりだ」と僕が言うと
冷たく「それなら裁判にしますか。」
「裁判は時間がかかりますよ。」
「でも、すみません。の一言もないのはおかしくないですか」
「分かりました。その旨、相手の方に伝えておきます。」
そして数日後に届いたのがビール券が五枚だけ、
☆****☆
10日ほどたって警察の現場検証に相手と呼ばれ
待合室にいると相手の男から
「あの日は病院へ治療に行った帰りで」
「雪があんなに積もるなんて思わなかった」
「俺は足がきかないんだ。」と
最後まで「悪かった」とは言いませんでした
「だったら乗るなよ。」と
僕は思ったけど言えませんでした