
もう ずいぶん昔の話..
亡くなった僕のおじいちゃんは将棋が好きで
僕はおじいちゃんに将棋を
教えてもらいました
何度やってもぜんぜん勝てなくて
悔しい思いばかり、でも
だんだん勝てるようになってきて
そのうちに僕の方が強くなってしまいました
おじいちゃんは将棋をやらなくなって
一人で詰め将棋をやっていました
ある日 七手詰め、九手詰めとか
やたら難しいのをやっているので
「わかるの?」と僕が聞くと
「簡単だよ。」
横でしばらく見ていると
勝手に詰めてしまって、
「あれ、おじいちゃん..
ここへ逃げたらどうすんの?」
僕が言うと「そうか、そんなうまい手が
あったか...」
「おじいちゃん 解答をみてるの?」
「見なくたってできるよ。」
この時 おじいちゃんが強くならない理由が
分かった気がしました

我が家に二段の強いおじさんが
時々将棋を指しにきて
そのときもおじいちゃんは
駒を落としたりはしないのです
絶対に負けるのに
平手で指さないと気がすまない人でした
そして 負けて すごーくすごーく 悔しがる
そんな僕のおじいちゃんでした
