ExaScalerは3月31日、同社とPEZY Computingが共同で開発した液浸冷却小型スーパーコンピュータ(スパコン)「ExaScaler1」の性能を改善させ、2014年11月に発表されたスパコン消費電力ランキング「The Green 500 List」の世界第1位に相当する性能を達成したと発表した。
同スパコンを用いた高エネルギー加速器研究機構(KEK)の「Suiren(睡蓮)」は、2014年11月のGreen500では1Wあたり4,946MFlops(演算性能187.11TFlops時)を記録して世界第2位に認定されていた。今回は、牧野淳一郎 KEK 客員教授(理化学研究所計算科学研究機構粒子系シミュレータ研究 チームリーダー、エクサスケールコンピューティング開発プロジェクト副リーダー)の協力により、大半の処理をホストCPUのXeonではなく、PEZY-SCプロセッサで行えるように実装を進めたうえで、理化学研究所計算科学研究機構コデザイン推進チーム・粒子系シミュレータ研究チームの似鳥啓吾氏にも参画してもらい、ソフトウェア実装の最適化やネットワーク通信での効率を向上させるなど、システム全体の各種の最適化を行った結果、前述のGreen500の際の性能と比較して25.5%の消費電力性能の改善を実現し、1Wあたり6,217MFlops(演算性能としては前回を13.8%上回る202.64TFlops)の値を達成。この結果は、先述のGreen500時点の世界第1位に相当する値だという。
なお、今回の計測実験をもって現行の「ExaScaler-1」による消費電力性能の改善に関する研究は一旦終了となるとのことで、2015年4月以降は新しい液浸冷却手法などを取り入れた新システム「ExaScaler-1.5」の開発を進めていく計画としており、これにより消費電力性能は、今回の計測値よりもさらい15~25%程度改善されることが期待されるという。
Suiren(睡蓮)システムの室内部(左)、液浸冷却用PEZY-SCモジュール(右)
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