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私風徒然草

梨木香歩『家守奇譚(いえもりきたん)』

2006-10-30 22:07:19 | Googol
最近、読んだ本より…。

読み始めたとき、なぜか夏目漱石の『坊ちゃん』を思い浮かべた。主人公の境遇や性格が似ているから、ということではない(多少は似ているかもしれない)。文の調子というか格調-文体というのかな-に何か近しいものを感じた。別に二人の作家を読み込んでいるわけではないのだが、お二人の経験に似通ったところがあるのかもしれない。

さて、私でも2時間ほどで読み終えてしまうほどの小さな本である。連作短編というべき形式を採っている。花木が題名になっていて、季節感豊かに、話は進んでいく。主人公はあまり売れていない物書きで、家守をしている。時代はまだ「頼りはやはり洋燈(ランプ)」という頃で、はっきりしないものの、滋賀あたりが舞台のようだ。

奇妙な物語である。不思議な世界である。狐狸妖怪の類、河童、小鬼、白竜などが登場する。忘れてはいけない。湖で行方不明になった友人との「交友」も描かれる。脇役もいい。飼い犬のゴロー、和尚や近所のおかみさん。そして、繰り返しになるが、花木と四季折々の風物・風情が味わい深い。季節は移ろいながら、粛々と話は進む。粛々と話は進み、主人公はしだいに異界に引き込まれ…(結末を詳らかにするのはやめておこう)。

読み進めるうちに、いつのまにか狐狸妖怪たちに違和感はなくなり、私も思わず引き込まれそうになっていることに気づく。物語のそこかしこに、妙に魅かれる、共鳴するところを見出すのである。主人公はこう書いている:

「畢竟(ひっきょう)自分の中にある以上のもの、または自分の中にある以下のものは見えぬ仕組みなのだ」

いつもは気がついていないか、見失っているけれど、確かに私の中にあるものが、何やら見えた気がする。それは、将来に対する不安だったり、うっすらとした光明だったり、幾ばくかの活力だったりする。忘れていたものが見つかった心持ちである。

装丁がなかなか凝っていて、楽しい。ゆっくり、ゆったりと読むことをお勧めしたい。それから、解説はできるだけ読後に読むべし。

家守綺譚
家守綺譚
posted with 簡単リンクくん at 2006.10.30
梨木 香歩著新潮社 (2006.10)




同窓会にて

2006-10-23 23:28:39 | Journal
同窓会で同期のホームページを作ろうということになった。同窓会の写真が送られてくることになっているが、ほかには何を載せればいいんだろう?

・情報交換用の掲示板(伝言板)
見つかったところは画像等ファイルのアップロードができないみたい。

・事務連絡用ブログ
ブログだと画像が上げられるので、なんとかなるはず。会員制のもあるけど、加入が面倒そうだったので、当面、見送る。

問題はデザインだけど、ブログはそこそこ見られるし、広告はフリーだからしようがない、ということで…。

再開宣言

2006-10-21 22:38:13 | Journal
ブログを再開する気になったので、ここに宣言する。まぁ、たいしたことは書かないだろうけど。

そも、健康奉仕、もとい兼好法師の「連れ連れ、もとい徒然草」を標榜して、ときどきは書き連ねるつもりだったのだが、ついつい何もせず、放置してしまった。

ついつい、といえば、秋の夜長についつい一気に読んだ本に、北杜夫さんが出てきて、その躁鬱の凄さにびっくりしたが、別に鬱などで閉じこもっていたわけではない。なんとなく気が向かなかっただけである。

凄さ、といえば、たまたま見つけたネーミング、「つれづれグサッ!」というのに、ちょっとびっくりした。いろんな「つれつれぐさ」があるものだ。

いろんな、といえば、きょうチョコレート「カカオ99%」を食べた。全く甘くない。想像どおりだったが、実感すると、当初の想像が至らないものだったことに気づく。全部は食べ切れなかったので、残りをカレーに入れてみようと思っている。はたしておいしくなるのだろうか。楽しみである。

楽しみ、といえば、いろんなことを知ったり、味わったり、気づいたり、思ったりしている、きょうこの頃、そう、秋なのである。