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私風徒然草

SOKKI!―人生には役に立たない特技

2009-05-24 04:59:25 | Journal
人生には役に立たないものがあるという。
そんなものはないという人がいる一方で、あれこれ何か例を挙げることができる人がいるかもしれない。
「アンフェア」の秦建日子(はた たけひこ)氏によれば、それはSOKKIだという。

さて、皆さんは、SOKKIをご存知だろうか。
「沖縄蕎麦に入っているお肉?」((c)秦)
「短気はソッキ?」((c)秦)
否、速く書き記す、「速記」である。私見によれば、速記と遅記(チキ、ではない。OSOKKIである^^;)があるのだが、閑話休題。

「SOKKI!」という本が文庫に入った。作者の自伝的青春小説とのこと。
初めて読んだのは、単行本として出たばかりの2006年。図書館で見つけて、借りた。一途に恋をする主人公が切なくて、彼なりに成長する姿が面映かった。たぶん昔を思い出したのだろう。とても印象に残った。

学生の頃から落語を聞くのが好きだったせいで、速記本の存在は知っていたから、そのもととなる速記も知っていた。衆議院式、参議院式、早稲田式などがある。それにしても、衆議院と参議院で方式が異なるのはなぜだろう。

速記には「インツクチキの法則」というもの(多少、記憶が定かではない。違っているかもしれない)があって、と言うと、全くインチキくさく聞こえると思うが、速く書き記すためのテクニックのもととなる理論のこと。
曰く、漢語を採用している日本語では、単語の二音目に、多数、登場するのが、先ほどの「インツクチキ」である。たとえば、発音(ハ・ツ/オ・ン)の単語の二音目は「ツ」と「ン」である。速記ではその音の表記を簡略化することで、速く書き記していくわけである。

ああ、なんという役に立たない「ウンチクツキ」の書評であろうか。

そして、薀蓄にもやはり「ン」と「チ」がついていて、あの法則が成り立っている。

再度、閑話休題。

速記のスピードがだんだん速くなる、あるいは速記のレベルがだんだん上がってくる(基本文字が減り、省略文字が増えてくる)ことを多少意識すると、時間の経緯、主人公ほか登場人物の成長や変化などがうかがえ、臨場感が増すかもしれない。