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音楽の話題を日々徒然に。

空と風と時と 小田和正の世界

2024-02-23 09:29:48 | 小田和正/鈴木康博


ようやく読み終わりました。

長かった、だけど、あっという間だった。それはこの本の読後感でもあり、小田さんと付き合ってきたこれまでの私の人生にも言えるかもしれない。もちろん子供の頃の「カズマサ君」とは同時代を生きていなくて、私の人生と小田さんが交錯するのは12歳、1982年。本書で言えば第6章以降で、そこからの40年を読みながら、「オフコースが解散したときは受験生だったなぁ」とか、ラブ突がヒットしていた頃に付き合っていた人の顔とか、クリスマスの約束が始まったときは仕事が大変で辛かったこととか、あれやこれやと思い浮かんできて。自分の人生がどれだけオフコースや小田さんやその曲たちと密接に繋がっているのかをあらためて思い知った読書体験でした。小田さんの曲は人生の伴走者ですね。

 

本書に書かれているエピソードの8割くらいは既に知っているものであり、それ自体に目新しさはない。でも、時系列な小田さんの人生と、2022年からの「こんど、君と」ツアーのレポートを交差させつつ、関係者のインタビューを交えて語る手法によって、「小田和正」という人物その時代がくっきりと浮かび上がってくるのが新鮮で。その浮かび上がってきた「小田和正」という人がね、凄いんですよ。私の人生の大半で、その曲が生活の中にあるのが当たり前みたいに思っていたけれど、いやいやどうして、こんな凄い人のファンをやっていたのか私は、と。読み終えて感嘆のため息が出ましたね。
現在に至るまでの“小田友さん”たちとのお付き合いまで含めて、この人のファンになったのは人生の僥倖でした。

 

オフコースについての見解。

これもわかっちゃいたけれど、やはりオフコースは「5人」でも「4人」もなかったんだな、と。「2人+3人」という形こそがオフコースだったということ。はっとしたのは、「それでも4人のオフコースがなければ“緑の日々”も“君住む街へ”も生まれていなかった」という言葉。辛くとも4人で続けてくれてありがとう、という気持ちでした。4人時代がなければ、私もここまでファンだったかどうか怪しかったと思う。

 

最後にヤスさんとのこと。

「鈴木がオフコースを脱退して以降、小田和正と鈴木康博が直接、会ったことは、いままで、ただの一度もない」と。「いままで」「ただの一度も」という副詞がわざわざ使われているのが、重い。でもこの長い長い物語を最後まで読むと、その重さは必然なのだと理解する。哀しいけどね。ただの同級生なら、普通の友人であれば、年月が経てば自然と解けるわだかまりであっても、それ以上の関係、例えば別れた夫婦とか恋人同士とかになると、お互い「どうしてるかな」と思うことはあっても、よほどのことがない限り会ってよりを戻すことはない。そういう理解でよいですか?「Over」と「I LOVE YOU」のくだりを読むともうそれに近しい感情しかこの二人には感じないわけですよ。本書の最終章にヤスさんのインタビューを持ってきた著者の思いもきっと同じなのだと思いました。

 

この本は、私は電子版で読んだのだけれど、紙の本で買いなおそうか思案中。本棚に“愛蔵書”として置いておきたいから。



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3 コメント

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愛蔵書 (moto)
2024-02-27 12:39:22
おかえりなさい。
このタイミングでなかったらもうないかな~
などと思いながらクリックしてました。
自分は愛蔵書(第2版)として買いました。
5人、4人から前に戻ってってな感じで読みました。
色々なものがスッと入ってきた感じがします。
ヤスさんの対応も、それでいいよね、と思ったし。
新鮮だったのは4人のところかな。
自分はやや離れていったけど、4人の気持ちもこんな風だったんだと知りました。終わるってそうなんでしょうね。
まあ、あと当たり前やけど、オフコース、小田さんはメジャーなので、売る人が沢山いるんだな、改めて感じました。
1982年は中2でした。
いまも聞いてんだもんな~。
では。
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Unknown (nanori_may)
2024-02-29 18:18:01
Motoさんへ

これだけご無沙汰してるのに、まさかコメントをいただけるとは!びっくり&感謝です。
読書の記録は読書メーターにつけているのですが、これは字数制限に引っかかるのでブログに書きました笑笑
ヤスさんに対しての「それでいいよね」という感情に同意です。自分たちも歳を取ったということですよね。そして今も聞いてるんです、ハイ。お互いこの先もしつこく聞き続けましょう。
返信する
Unknown (moto)
2024-03-05 16:29:00
そういえばですが
文春オンラインの追分さんの記事って読まれましたか?
小田さんが削除を依頼した文章とその理由について載っていました。その理由(といっても一言)を読んで非常にうれしくなってしまいました。
ずっと聞いてて救われたな~とかよくわかりませんがそんな感情がおきました。少し前にはヤスさんのインタビューも載っていたりして、本も含めて色々な話が読めてありがたいです。これって追分さんの戦術なんでしょうか。
では。
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