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【その2】松尾一彦 還暦記念ライブ

2014-05-31 14:04:41 | 小田和正/鈴木康博

松尾さんライブ【その2】です。 ( →【その1】はこちら


松尾さんがヤスさんに一緒にやろうとリクエストしたのは『ロンド』
ヤスさんのライブでは何度も聴いているこの曲も、園山さんのサックス(フルートだったか?)が加わると俄然オフコースっぽい音に。

「僕は当時ガットギターでこの曲に参加していて、今日もガットギターで当時と同じポジションでね」

と松尾さん。

ヤスさんボーカル、松尾さんコーラス。
オフコース時代に何度となく繰り広げられたのであろう光景が今まさに目の前にある不思議。

この日もっとも印象的だったMC。

松尾さんが「僕、このあいだヤスさんのライブを観に行ったんですよ」。
そのとき感じたんだけど、と。ヤスさんの方を見ながら、ひとつひとつ言葉を探すようにゆっくりと、

「オフコースの色が」

色が。

「まったく感じられないのが」

ないのが。

「凄いな、と」

オフコースの曲もやってるのにね、色がしないんだ。ヤスさんがソロで積み重ねてきたものを感じたよ。
そうしみじみと語る松尾さん。

これにはハッとしましたね。
ヤスさんの音楽の本質的な部分をズバリと突いてるな、と。
小田さんはオフコース時代の曲を『LOOKING BACK』するにあたって、おそろしくアレンジを変えましたが(笑)、『一億の夜~』にしろ、『メインストリート~』にしろ、ヤスさんはそこまで変えてないんですよね。聴く者に違和感を抱かせず、それなのに新しいヤスさんの音。

世間一般的には小田さんの方がバリバリとソロでやっていて、ヤスさんの方が「元オフコース」の肩書きに綿々としている…ように見えるかもしれない。でも実際には、今も「オフコース」を背負っているのは(背負わざるを得ないのは)小田さんであって、ヤスさんの音は相当に「鈴木康博」のそれになっている。二人のライブを観ればそれが良くわかる。それを短い言葉で的確に指摘する松尾さん。さすがの感性。

松尾さんの言葉を嬉しそうに聞くヤスさん。「昔の仲間に観られるのは緊張するし、気になる」とも。
松尾さん「僕は昔っからヤスさんに、”え?松尾、それ?”って言われるのがね、気になってしょうがなかった」
ヤスさん「懐かしいな」と苦笑い。

ああ、いいなぁ。

ヤスさんコーナーの最後は、松尾さんのアルバムでヤスさんがギターを弾いた『最後の手紙』を、女性ボーカリストのCIFAさんも交えて。

さて、ゲストコーナーを終えてあきらかにホッとした感のある松尾さん。ラストスパートで渾身の3曲でした。


再びゲスト全員が登場したアンコール。

「アンコールで何をやろうかと考えたんだけど、みんながなんとなく知ってる歌ってことで」という超ゆる~い曲紹介と共に始まったのは、なんとなんと!


『眠れぬ夜』

あわわわ・・・
まさか、小田さんの曲を・・・。

もうね、腰が抜けそうに驚きました。いや、松尾さんが歌うにはさほど驚かないのですが・・・。

ヤスさんが『眠れぬ夜』を歌ってるよぉぉ~


一緒にいたチャミーさんと顔を見合わせるも、二人ともびっくりし過ぎてもはや笑うしかない状態で。
ヤスさんに対してライブで『眠れぬ夜』やりましょうなんて言えるのは、きっと松尾さんだけでしょうね。

黙々とギター弾きつつ歌うヤスさんでしたが、途中で隣の竹善さんと目を合わせて”ニコッ”としてました。

・・・あの”ニコッ”の意味はなんだったのでしょう。

アンコールラストの曲はアルバムのタイトルソング、『忘れ得ぬ人』
このアルバムを聴いた時、ああ松尾さんはひょっとしたらオフコース時代はけっこう無理をしていたのかもしれないなと思いました。
特に4人時代はロック部分の担当だったけれど、こういう曲の方が松尾さんらしいや。


さて。
最初に、このライブはオフコースファンにとって”エポックメイキング”だったと書きました。
オフコースでいちばん年下の松尾さんが還暦を迎えたということ。
その松尾さんが、いちばん最初にオフコースを離れたヤスさんと同じステージに立つということ。
二人が一緒に”小田さんの”曲を歌ったということ。

このライブは、長くゆるやかな時の流れに投じられた一石でした。時はこれからも流れ続けるでしょう。
そして、おそらく「オフコースの再結成」という夢もまた、夢のままに流れていくのでしょう。
きっと無いな。このライブで何故かそう思えました。でもそれでいいじゃないか、とも。
ライブの興奮と共に、そんな晴れ晴れとした寂しさを持って東京を後にしたのでした。

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4 コメント

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Unknown (あき)
2014-05-31 19:53:36
早速ありがとうございました^_^
臨場感ある文で読みながらドキドキしてしまいました。
やっぱり松尾さんのMCが印象的で、上手く言えないけど長い年月を経てこそ、感じることができる事があるなぁと思いました。
オフコースに出逢えて本当に良かったです^_^
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あきさんへ (nanori)
2014-06-01 11:46:56
私の拙文できちんと伝わったかどうか。
ドキドキしながら読んでいただけたのなら良かったです。

松尾さんとヤスさん、小田さんとの年齢差は7年?
それだけの年の差は、20代の頃は絶対的だったけど、60を過ぎると同じ世代な感じになると松尾さんが言ってました。
それだけ長い年月が流れたってことですよね。
これだけ長い間応援できるファンもまた幸せです。
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Unknown (珈琲熊)
2014-06-02 13:05:27
今はヤスさんが歌った『眠れぬ夜』を聞きたい!ことしか考えられません。(^_^;)

オフコースの気配が感じられるライブですね。こうやって二人の会話を読んで、その雰囲気を想像して、淡く暖かく感動しました。本当に松尾さんに感謝しています。

オフコースの再結成は、夢にすぎないとしても、とても立派な夢だと思います。なぜなら、20年も30年もみんなが諦めなくて信じて続けてきたものです。しかも、今でもこの夢を見る人が増えているかもしれませんね。(*^^*)
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くまちゃんへ (nanori)
2014-06-03 08:44:21
>今はヤスさんが歌った『眠れぬ夜』を聞きたい!ことしか考えられません。

でしょ~?ホントびっくりでしたよ。
あまりにびっくりしすぎて、誰がどのパートでソロを取ったとか、きちんと覚えてないのが残念です(^^;

本当に、じんわりと暖かいライブでした。
確かにくまちゃんが言うように、あのように解散しちゃったからこそ、こうやって何十年も夢を見続けられるのかもしれません。
それもまた良し、ですね。逆説的ですが。


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