失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「ベイビー・イッツ・ユー」 ザ・シュレルズ 1961年、ザ・ビートルズ 1995年

2013-06-06 | レノンかマッカートニー
『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』(1994)と、シングルカットされた「ベイビー・イッツ・ユー」(1995)について。

録音は1962~1965年。ビートルズが英国放送協会に残した録音を約30年後に2枚組アルバムにまとめてリリース。

CD2枚に収められたのは全69トラック。うち12はしゃべりトラックなので、演奏は57曲。ここでしか聴けないカヴァー曲多数。一部海賊盤からの極悪音源があったりして、綺麗にまとめようとしてないところが好感触。

この2枚組を聴いて思うのは、この時期のビートルズはジョンが引っぱっていたんだなってこと。いや、もちろんポールも自作曲では存在感はあるけど、カヴァーの多くはジョンがリードだし、ふたりで歌ってる曲では圧倒的にジョンが目立ってしまう。シンプルなロックを歌うジョンの無敵っぷりは、そりゃもういやになるくらい。ポールは十分自覚してたと思う。こりゃ歌では勝てないな、とソングライトに力を注ぐようになっていったのだろう。

このライブ盤からのシングル「ベイビー・イッツ・ユー」にはアルバム未収録のBBCライブ録音が3曲収録された。

8㎝については、シュレルズの「BABY IT'S YOU」を。

①Baby It's You ベイビー・イッツ・ユー
(Bacharach/David/Williams)
57曲の中から選ばれるだけあって、名曲の名演としか言いようがない。ジョンの声は余裕と自信が漲っているし、「シャララララ」コーラスもワイルドでよいわ。アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』(1961)リリース直後の録音。

②I'll Follow the Sun アイル・フォロー・ザ・サン
(Lennon–McCartney)
収録4曲中、唯一のオリジナルソング。スタジオ盤では『ビートルズ・フォー・セール』(1964)に収録された、ポール作の内省的なナンバー。ほとんどスタジオ盤と変わらない印象。

③Devil in Her Heart デヴィル・イン・ハー・ハート
(Drapkin)
オリジナルはドネイズ、1962年。ガールグループらしいコーラスワークが、ビートルズヴァージョンではパワーアップ。コーラスがジョン&ポールって、強力すぎてジョージも歌いづらかったろうよ。えっオレリードでいいんすか?みたいな空気を感じる。

④Boys ボーイズ
(Dixon/Farrell)
で、最後はリンゴの持ち歌。①と同じくシュレルズのカヴァー。ジョージに比べると堂々と歌っているな。間奏前の「All right, George」の掛け声もスタジオ盤と同じ。ジョージの味ギターソロは、スタジオ盤より少し出来がいい。

定価1500円、中古で100円。
4曲合わせても10分に満たない。

このシングルは1995年春発売。その年の暮れには、まさかの新曲「フリー・アズ・ア・バード」がリリースされたのだった。



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