失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「人の息子」 濱田マリ、SCANCH、奥田民生 1995年

2017-03-30 | 陽水民生&安玉
Sony系3アーティストによる競作。

「人の息子」3ヴァージョン。

作詞・作曲:奥田民生

発売順では濱田マリが一番先。1995年4月21日リリース。

①人の息子 進研ゼミ中学講座CMソング'95
編曲:森俊之、プログラミング:恩田晃、フレンチボイス:ピエール瀧
のどかにリズムレスではじまる「毛を抜け 気を抜くな 時々 なまけるな 大カツヤクするのを 待っている」謎かけのような導入は、まるでやる気ない宣言のようだ。最初の一行で、進研ゼミはこれでよかったのか?と心配になる。ゆったりしたリズムと脱力するようなメロディ。よく言えば大らかで作りこまない感じが民生らしい。民生のオリジナル歌詞を女性言葉に変えている部分が2か所ある。歌詞の表記は「大活躍」と「大カツヤク」など、より砕けた調子になっているところがいくつか。エンディングでは「たたかえ 毛を抜け わたしは ものすごく 死ぬまで 立派な 人の子」とそれまでに登場したフレーズが断片化されて再登場する。これは濱田マリ版のみの仕掛けで、歌詞カードには記されていない。最後は「人の子」と言っているようだが、これのみ初登場フレーズ。森俊之のアレンジはほどよくファンキー、全体にサバービア感のあるお洒落サウンド。なんとなくお洒落っぽい味付け「フレンチボイス」がピエール瀧って洒落が効いてる。3分50秒。

②さのば いのしし
作詞:濱田マリ、作曲:濱田マリ・恩田晃、編曲:恩田晃
タイトルは「Son of a いのしし」つまり「いのししの息子」だが、とくにいのししは登場しない。全編ラップの2分46秒。

③①のカラオケ

定価1000円、中古で100円。
中学生男子ふたりの間を原付で駆け抜けるノーヘル濱田マリ。Ki/oon Sony名物サンプラーCD「MUSIC CATALOG vol.9」が付いた2枚組。


SCANCHと奥田民生は1995.5.21同日発売。規格品番はSCANCHがSRDL4005、民生がSRDL4025なのでその順に。

SCANCH盤。

①レターマン
作詞・作曲:ローリー寺西、編曲:SCANCH
日本語勉強中の外国人が書いたラブレターの設定。「コニチハ ハジメマシテ」てな調子で歌詞はすべてカタカナ表記。曲はローリーお得意のおセンチハードロック。

②人の息子
編曲:SCANCH
すかんちはやっぱりグラムヴァージョン。リズムや歌詞の乗せ方が他ふたりとはまったく違う。スピードも速く、歌詞の一部を繰り返し歌って伸ばしても3分30秒。民生が「言わせてもらうよ」と歌った部分を「言わせてもらうぜ」としている(ちなみに濱田マリは「言わせてもらうわ」)。

定価800円、中古で200円。
ぬいぐるみでメンバー3人を表現。


最後は作者、奥田民生盤。

①コーヒー
作詞・作曲:奥田民生、アンディ・スターマー
元ジェリーフィッシュのドラマー、Andy Sturmerと共同プロデュース。ジャケで表現されているように、歌詞中で外はずっと雨。憂いを湛えたギターサウンドは初期バッドフィンガーみたい。

②人の息子
編曲クレジットなし。
ギターがかき鳴らされる王道ロックなアレンジ。ガッツと勢いのある演奏なのに、歌詞が「戦え若者よ わしらが楽になる」とご隠居さんみたいな。前作「息子」で奥田民生としては比較的シリアスな表情を見せた反動か、無責任ムードにあふれた内容。3分59秒。

定価800円、中古で100円。
SCANCHと共通する緑を基調としたジャケ。民生の顔と釣り具と右に見えるギター&アンプは写真を使用。「コーヒー」の最後の一節が「明日晴れたら釣だ」ってことで、釣の準備をしている(机上にはルアー)。なぜか民生が持っているカップのイラストには「TEA」の文字。


3ヴァージョンとも進研ゼミ 中学講座のCMに使用された。YouTubeにCM3本まとめがあった。


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