生鮮野菜、生鮮果実に続き、穀類についても総務省統計情報部が公表した「家計調査(二人以上の世帯品目別都道府県庁所在都市及び政令指定都市ランキング(平成23年(2011年)~25年(2013年)平均)」に基づき、X軸に購入数量(g)、Y軸に支出金額(円)とし、平均購入単価との単価差をバブルの大きさで表し、差が大きければバブルの体積が大きく、差が小さければバブルの体積が小さく表示するとともに、色つきのバブルを平均価格より高い、色なしのバブルを平均価格より安いということを表す、三元配置のバブルグラフを作成し、ビジュアル的に地域差が読み取れるよう試みてみました。
家計調査の穀類には、11の個別品目(米、食パン、他のパン、生うどん・そば、乾うどん・そば、スパゲッティ、中華めん、カップめん、即席めん、小麦粉及びもち)について数値が掲載されています。
それらを、めん類とその他に分け、今回はその他の「米」「食パン」「他のパン」「小麦粉」及び「もち」について見てゆくこととします。
◇都道府県庁所在都市別「米」の消費について
米(こめ)には、ジャポニカ米、インディカ米、ジャバニカ米という種類があります。
日本で「米」といえばジャポニカ米のことですが、ジャポニカ米を食べているのは、日本、朝鮮半島、中国東北部および台湾で、世界中の大半の国では「米」といえばインディカ米を食べています。
ジャバニカ米は、ジャワ島やインドネシアなどの東南アジア、イタリア、スペイン、トルコなどで食べられています。
ちなみに、リゾットやパエリヤはジャバニカ米で作るのが正統派です。
なお、ジャポニカ米にはでんぷん質の違いによって、「うるち米」と「もち米」に分けられます。
普通にご飯として食べているのはうるち米で、もち米はもちや赤飯、おこわに用いられています。
米は「コシヒカリ」「ヒノヒカリ」「ひとめぼれ」「あきたこまち」などの品種名で売られているのが一般的ですが、これらは全てジャポニカ米のうるち米です。
日本のコメの主な産地は、新潟県、北海道、秋田県、山形県、茨城県、宮城県、福島県となっています。
(上のグラフをクリックすると、拡大したグラフを見ることができます。以下も同じです。)
都道府県庁所在都市の中で米の消費量の多いのは、札幌市(購入数量:95.42Kg、支出金額:33,910円、平均価格:355円/Kg )、静岡市(95.35Kg、36,986円、388円/Kg)、佐賀市(93.97Kg、32,793円、349円/Kg)、長崎市(92.83Kg、33,506円、361円/Kg)および青森市(89.73Kg、28,027円、312円/Kg)の順であり、少ないのは、岡山市(58.96Kg、20,159円、342円/Kg)、東京都区部(61.65Kg、25,589円、415円/Kg)、宮崎市(62.17Kg、22,698円、365円/Kg)、水戸市(64.68Kg、22,027円、353円/Kg)および鳥取市(67.14g、22,537円、336円/Kg)の順です。
◇都道府県庁所在都市別「食パン」の消費について
家計調査の収支項目分類表では、「パンのうち,基本的な原材料(穀粉,酵母種,食塩,砂糖,脂肪)のみでできているもの」と定義し、例示として、サンドウィッチブレッド、ソフトブレッド、バターブレッド、 バターロール、コッペパン、フランスパン、ハンバーガー用パン、ホットドッグ用パンがあげられています。
都道府県庁所在都市の中で食パンの消費量の多いのは、神戸市(購入数量:28,131g、支出金額:12,316円、平均価格:44円/100g)、京都市(25,535g、11,054円、43円/100g)、奈良市(25,317g、10,897円、43円/100g)、大阪市(23,627g、10,230円、43円/100g)および鳥取市(23,603g、9,838円、42円/100g)の順であり、少ないのは、秋田市(13,023g、5,766円、44円/100g)、福島市(13,462g、5,959円、44円/100g)、山形市(5,236g、6,472円、42円/100g)、鹿児島市(15,288g、6,429円、42円/100g)および札幌市(15,477g、6,682円、43円/100g)の順です。
◇都道府県庁所在都市別「他のパン」の消費について
「他のパン」については、「パンのうち,基本的な原材料以外の材料を加え,初めから一つに成形されたパン。原材料としてハム,卵,チーズなどが使われていてもよい」と定義され、例示として、アップルパン、あんパン、コロネ、ジャムパン、ぶどうパン、メロンパン、カレーパン、ピロシキ、揚げパン、ジャム・バター・チョコレート付き食パン、ピザパン、野菜入り食パン(ほうれん草・にんじん・たまねぎなど)があげられています。
都道府県庁所在都市の中で他のパンの消費量の多いのは、神戸市(購入数量:27,180g、支出金額:24,871円、平均価格:92円/100g)、岡山市(27,074g、23,717円、88円/100g)、大阪市(26,188g、23,825円、91円/100g)、京都市(26,018g、23,868円、92円/100g)および松山市(25,678g、24,177円、93円/100g)の順であり、少ないのは、仙台市(15,103g、14,890円、99円/100g)、福島市(15,649g、15,647円、100円/100g)、山形市(15,904g、15,129円、95円/100g)、青森市(17,425g、15,940円、92円/100g)および甲府市(17,448g、16,835円、96円/100g)の順です。
(参考)米の購入数量とパンの購入数量との関係
主食系の食品である米とパンは、一方の購入数量が多ければもう一方は少ないという関係が成り立ちそうであるが、実際はどうであろうかということで、米とパン(食パン+他のパン)の購入数量の関係を見てみました。
わずかながら、米の購入数量が多ければパンの購入数量は少ないという傾向が見られますが、そうだというほど強い関係は認められません。
札幌市、青森市、甲府市、山形市などは米の購入量が多く、パンの購入量が少ない、また、神戸市、岡山市、大阪市などは米の購入量が少なく、パンの購入数量が多くなっていますが、京都市や奈良市は米の購入数量も多くパンの購入数量も多い、一方、宮崎市、水戸市、長野市などは、米の購入数量も少なく、パンの購入も少ないという関係にあります。
◇都道府県庁所在都市別「小麦粉」の消費について
家計調査の収支項目分類表では、「薄力粉」「中力粉」「強力粉」および「天ぷら粉」が例示されています。
小麦粉は、たんぱく質の含有量によって薄力粉、中力粉およぶ強力粉に分類され、薄力粉はタンパク質の含有量が8.5%以下で、ケーキなどの菓子類や天ぷらに使われます。
中力粉はタンパク質の含有量が9%前後のもので、うどん用のほかにお好み焼きやたこ焼きに使われ、強力粉はタンパク質の含有量が12%以上のもので、パンや中華めんに使われています。
なお天ぷら粉は、薄力粉に添加物(でんぷん、卵黄粉、ベーキングパウダーなど)を加え、天ぷら用に特化したものです。
都道府県庁所在都市の中で小麦粉の消費量の多いのは、奈良市(購入数量:4,749g、支出金額:1,101円、平均価格:23円/100g)、長野市(4,453g、942円、21円/100g)、広島市(3,780g、874円、23円/100g)、和歌山市(3,707g、942円、21円/100g)および大分市(3,655g、814円、22円/100g)の順であり、少ないのは、福井市(1,871g、458円、24円/100g)、甲府市(2,116g、550円、26円/100g)、仙台市(2,118g、526円、25円/100g)、佐賀市(2,268g、580円、26円/100g)および札幌市(2,368g、537円、23円/100g)の順です。
◇都道府県庁所在都市別「もち」の消費について
もちは、正月や節句などの年中行事、祝い事や祭りなどで食べることが多い食品です。
もちの作り方には、搗き餅(つきもち)と練り餅(ねりもち)の二種類があります。
搗き餅は、もち米を蒸して杵で搗いて作ったもので、通常もちを食べるという場合は搗き餅のことをさし、練り餅は、もち米を粉にして、お湯を加えて練り、蒸して作ったもので、通常は菓子の形態で食しています。
搗き餅は、機械化され工業的に生産されていることから、年間を通してスーパーなどで販売されており、また、家庭用の餅つき機もあります。
練り餅は、もち米を粉状にしたものが市販されており、家庭で電子レンジなどで加熱すれば簡単に作ることができます。
このようなことから、特定の日に餅を食べることから、日常的にも食べることができるようになりました。
なお、家計調査の収支項目分類表では、もちの例示として、 あわ餅、かがみ餅、小餅、なまこ餅(豆入りのり入り)、のし餅、ひし餅、平餅を上げ、和菓子的餅を除くとなっていますので、この項目は搗き餅のみということになります。
都道府県庁所在都市の中でもちの消費量の多いのは、金沢市(購入数量:3,231g、支出金額:2,857円、平均価格:88円/100g)、さいたま市(3.209g、2,141円、67円/100g)、岐阜市(3,125g、2,543円、81円/100g)、横浜市(3,114g、2,305円、74円/100g)および東京都区部(3,076g、2,144円、70円/100g)の順であり、少ないのは、宮崎市(1,276g、1,035円、81円/100g)、大分市(1,303g、1,337円、103円/100g)、岡山市(1,419g、1,507円、106円/100g)、秋田市(1,433g、1,406円、98円/100g)および青森市(1,455g、1,233円、85円/100g)の順です。
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