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拾い読み★2014-327≪コラム記事≫

2014年11月25日 21時19分34秒 | マリーンズ2011~15
【千葉魂】 希代の名捕手への原点 苦しい、つらい時は登り坂

 ドラフトで指名をした7選手へのあいさつ、契約手続きが続々と始まっている。その経過の報告を受けた伊東勤監督は、幕張の海を眺めながらしみじみと語り出した。

 「みんな、入ってからビックリするぞ。『オレたち、えらいところに来てしまった』ってね。今年の春のキャンプ初日も新人の石川や吉田もビクビクしていた。プロはそういう世界。甘くない。厳しいよ」

 横で話を聞いていた大迫幸一トレーニングコーチも力強くうなずいた。スッキリとした秋空の広がる日。海もキラキラと輝いていた。QVCマリンフィールド近くの砂浜で行われていた選手たちの走り込みトレーニングを見ながら、波が奏でる心地よい音を聞いていると、指揮官はふと昔を思い出した。1982年。西武ライオンズに入団して最初のキャンプのことだ。

 「オレもビックリしたよ。あの頃のライオンズは名だたるスーパースターが勢ぞろいしていたしね。別世界だった」

 外国人選手と練習をするのも初めてだった。それなりに打撃に自信はあったが、外国人選手のフリー打撃を目の当たりにしてパワーの違いにあぜんとさせられた。そんなキャンプで、今も忘れられない出来事がある。

   □   ■   □

 「ブルペンでさ。ちょうど、キャッチャーがいなくて、古沢憲司さんの投球を受けさせてもらえることになった。1球捕った後に言われたんだ。『代われ』って。たった1球だよ」

 相手は14歳年上で実績十分のスター選手。プロに入りたての若者はブルペンでわずか1球ボールを受けただけでキャッチャー交代を命じられた。「なぜだ」。その時のショックな気持ちは今も記憶にしっかりと刻まれている。ただ、指揮官の現在、持っている感情は屈辱ではなく、深い感謝である。その後の伊東勤という希代の名捕手をつくり上げた大事なスタート地点と考えている。

 「古沢さんには本当に感謝をしているよ。意地悪とかではない。厳しさを教えてくれたんだよ。この世界のさ。『オレの球をしっかりと捕れるようになってから、もう一度、来い』ってね。それを言葉ではなく、あえて態度で示してくれた。だからオレも思ったよ。この人に認めてもらうために、どんどん練習をしようとね」

 新人時代以降も古沢さんにいろいろとお世話になっている。野球談議に話を咲かせることも多くある。あえて、その話をすることはない。が、接する中で先輩が態度で示してくれたメッセージの深さを感じるようになった。

 「本当、感謝だよ。社会の厳しさを教えくれた。ガツンっとね。どんな仕事でも一緒だけど、優しさだけでは駄目。厳しさ、現実をしっかりと教えてあげないと。そういうのが人を成長させる」

   □   ■   □

 若き日の淡い思い出はマリーンズの指揮官となった今も大切にしている。だから、あえて若い選手に厳しく接することもある。時に、怒られた選手は悔し涙を流す。その涙こそが人を成長させる。悔しさが明日へのバネになる。そう信じている。

 「このチームはまだ成長途上。荒々しく、悔しさを前面に出してプレーをしないといけない。苦しいし、つらいことも多いが、それは成長をしている証し」

 人生は山登りに例えられる。楽な時は山を下っている時。苦しい、つらいと思う時は山を登っている、成長している時だ。千葉ロッテマリーンズの2014年シーズンは苦しく、つらいことの多い一年だった。そんな中、伊東監督は若いチームにあえて厳しく接し、選手たちに高いハードルを課し、成長を促している。11月、鴨川市で行われた地獄の秋季キャンプも終了した。もう2015年新シーズンは始まっている。悔しい思いを、後に大切な思い出と振り返られる日が来るように、伊東マリーンズは山を登り続ける。歯を食いしばって登るその頂に歓喜が待っていることを信じている。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

(千葉日報)







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