アメリカの中間選挙が、民主党圧勝の様相を呈しています。今回は、連邦議会のうち、上院の3分の1、下院の全議席、また一部の州知事職が、選挙の対象となりました。最終集計結果はまだ確定していませんが、下院は民主党の圧勝、上院はほぼ拮抗の見込み(2州が未確定)、知事選も民主党が多くを制しています(報道/特集)。
この結果が、アメリカの政治にどのような影響を及ぼすかというと、 まずブッシュ大統領(共和党)の今後のすべての政策に、足かせがはめられるということが指摘できます。下院は、予算案の先議権、大統領の弾劾権など、行政府をコントロールできる絶大な権力を持っています。今回この下院が、民主党の支配下に入ったということは、ブッシュ大統領は、今後自身のすべての内政、外交政策について、民主党と妥協しなければ政権運営ができなくなることを意味しています(報道)。また、民主党は、かつて共和党支配の下院が、クリントン大統領(民主党)を弾劾したことを恨み骨髄で覚えてきて、イラク政策の失政などを根拠に、ブッシュ大統領に対する弾劾手続に入る可能性も指摘されています(報道)。一言で言うと、残り二年を残したブッシュ大統領の今後は、いばらの道であるということです。
日本では、ブッシュ大統領のイラク政策に対する反発が強いので、もしかすると、今回の選挙結果を歓迎する空気があるかもしれません。しかし、一般論で言うと、アメリカ国内で民主党が政治力を増すことは、日本の国益にとってプラスになりません。その理由は、共和党と民主党のそれぞれの支持基盤と経済政策にあります。
一般的に言って、共和党は富裕層からの支持が厚く、経済政策は新古典派的な市場における自由競争を尊重しています。一方、民主党は中間層から貧困層からの支持が厚く、経済政策はケインジアン的な財政政策を多用する政策を信奉しています。したがって、共和党は貿易政策においては、海外でアメリカ製品が売れなくても、国内に輸入品がなだれ込んできても、自由貿易を尊重する見地からあまり文句を言いませんが、民主党は同じようなことが起きると、とくに輸入品の国内流入を抑制するために、保護主義的で、ときに報復的な貿易政策を取ることが少なくありません。
こうした国内産業への保護政策がアメリカで取られるようになると、アメリカを最大の輸出先とする日本経済は大きな損害を受けます。これまでも、民主党が行政府や立法府で勢いを増したときは、対米輸出に依存する日本の関連企業はいつも煮え湯を飲まされてきました。こうした事情があるために、もうすでにこの種の懸念を指摘する報道も出てきており、関連する日本企業は、すぐにも対策を打ち始めるのではないかと思います。
しかし、外国の選挙結果が、ここまで細かく報道されるというのは驚きですね。結局、好き嫌い、良い悪いに関係なく、日本という国はアメリカと固く結びついているということなんでしょうね。 ただ、こうした民主主義(複数政党制)と資本主義(市場経済制)を信奉する大国と、日本が固く結びついているということは悪いことではないですね。とくに、日本が、中国やロシアのような政治・経済の自由度が低い大国に地理的に近接していることを考えると、悪いことではないと思います。
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