トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

銃の扱いに手馴れていた大正の庶民?

2021-05-08 22:40:27 | 歴史諸随想
 鬼滅の刃関連では興味深いコメントを頂いた。スポンジ頭さんから「鬼退治」というタイトルでのコメントには、こんな一文があった。「鬼滅の刃は鬼退治の話ですけど剣戟作品でもあり、一種の時代劇ですね。本編では銃の使用がありませんが、やはり日本人は銃より剣なのでしょう……」 但し例外的に不死川 玄弥(しなずがわ げんや)は短銃らしきものを使っており、スポンジ頭さんからまもなく、「 . . . 本文を読む

鬼と日本人

2021-04-22 21:40:43 | 歴史諸随想
 先週のNHK BSプレミアムの番組「ダークサイトミステリー」は鬼を取り上げていた。タイトルは「鬼 人はなぜ鬼になるのか?〜日本人の闇・1500年物語〜」(4月15日放送)。ゲストは小松和彦、田中貴子氏、以下はNHKオンデマンドHPでの紹介。 ―日本人が常に恐れ続けた「鬼」の正体をさぐる決定版登場!それは「桃太郎」のイメージとは大違い。「え?これが?」と驚くほどユニークで不思議な鬼の姿。 天皇を . . . 本文を読む

強い多神教と弱い多神教 その三

2021-01-24 22:00:18 | 歴史諸随想
その一、その二の続き 最近は水質汚染が問題になっているガンジス川だが、敬虔なヒンドゥー教徒には依然とて聖なる川であり、「濁っていても、これは聖水なのです。聖なる川に汚れはありません」という信者もいるそうだ。この川に浸かるヒンドゥー教徒の姿はよく知られており、インド版ミソギといってよい。これも「清らかさ」を徹底的に重んじることから来ているのだ。「清らかさ」を徹底的に重んじれば、汚物や動物の死体処理に . . . 本文を読む

強い多神教と弱い多神教 その二

2021-01-23 21:30:23 | 歴史諸随想
その一の続き ヒンドゥー教が「強い」多神教という意見に同意しない読者は稀だろう。しかし、神道も「強い」多神教という主張には違和感を覚える。そもそも殆どの日本人は神道のことを知らないのではないか? 尤も日本人が神道についてよく知らないのも無理はない。神道にはヒンドゥー教の様な見事な教典や正典もなく、来世についても説いていない。ギリシア・ローマの神々も神話はあっても経典とは言えず、確か『ローマ人の物語 . . . 本文を読む

強い多神教と弱い多神教 その一

2021-01-22 21:30:17 | 歴史諸随想
『逆説の世界史3 ギリシア神話と多神教文明の衝突』(井沢元彦著、小学館)を先日読了した。井沢氏といえば『逆説の日本史』シリーズで有名だが、ついに世界史も手掛けるようになったのか。行きつけの図書館に本書が置いてあったため試しに手に取ってみたら、古代ギリシアの前に古代インドやインドの宗教を扱っていたので借りてきた。 特に私が最も関心のあったのが、第2章「ブッダの生涯と仏教の変容」中の第3話「仏教はなぜ . . . 本文を読む

塩と戦争の話

2020-08-26 22:11:00 | 歴史諸随想
 周囲を海に囲まれているため、何となく自国は塩に不自由しない国と思っている日本人は少なくないだろう。私も最近まではそう思っていたが、2020-07-24付で「スポンジ頭」さんから頂いたコメントで初めてそうではないことを知った。以下はその文章。―あと、塩が不足していたので長期の抵抗はできないとも言いますが、これも仮定の話です。実のところ、日本は塩作りに不向きな土地なのです。  翌日、引き続きスポン . . . 本文を読む

インドに抑留された日本人抑留者 その二

2020-08-17 22:10:21 | 歴史諸随想
その一の続き プラナキラ抑留所の状況について初めて具体的に日本政府が知ったのは、1942年9月3日のことだった。日本は英国政府への抗議を行い、インドに輸送されるまでの扱いについても、「英官憲の取扱振は極めて苛酷にして一般に囚人並又は夫以下の待遇を与へたりと謂ふことを得」と非難する。日本政府からの抗議はスイス政府を通じて英国政府に伝えられた。 だが、日本政府から6項目にわたる抗議を受けた英国はこれを . . . 本文を読む

インドに抑留された日本人抑留者 その一

2020-08-15 22:10:07 | 歴史諸随想
 今日で終戦75周年を迎える。毎年この日には決まって各ТV局が特集を組み、「戦争は絶対にダメ」「平和の誓い」等といったお題目を繰り返す報道姿勢には心底ウンザリなので、暫く前から見ていない。 ただ、せっかくの8月15日なので、殆ど知られていないインドに抑留された日本人民間人について記事にしたい。尤もインドに終戦まで抑留された日本人がいたことを私が知ったのは、数年ほど前だった。本題は失念したが、行き付 . . . 本文を読む

日本は黒人差別に加担していた? その三

2020-07-02 21:40:09 | 歴史諸随想
その一、その二の続き 黒人奴隷の歴史や米国黒人の人権状況にはかなり拘るコービー嬢だが、黒人に比べれば数は少なくとも日本人を含めアジア人の奴隷もいたのだ。wikiのポルトガルの奴隷貿易にはその実態が描かれており、「日本人の女性奴隷は、日本で交易を行うポルトガル船で働くヨーロッパ人水夫だけでなく、黒人水夫に対しても、妾として売られていた」という。 歴史ブロガー「しばやん」氏の記事「16世紀後半に日本人 . . . 本文を読む

日本は黒人差別に加担していた? その二

2020-06-29 21:35:11 | 歴史諸随想
その一の続き コービー貴恵なる女子大生のコラムの中で、責任転嫁とでっち上げの最たる個所は次の文章であり、記事名もそこからとった。「日本は黒人を奴隷にはしなかったが、欧州諸国との江戸時代の貿易は、間接的に黒人奴隷に支えられており、結果的に日本は差別に加担していた。だから、今回のデモは、他人ごとではなく日本人にもかかわりのあることである……」 “結果的に日本は . . . 本文を読む