~~引用ここから~~
「日本のケインズ」と呼ばれた政治家がいる。大正から昭和の時代にかけて、首相や蔵相を務めた高橋是清である。
日本経済を幾度も危機から救った。真骨頂を発揮したのは、1931年末に発足した犬養毅内閣で蔵相に就いたときだ。
米ニューヨーク株の暴落から始まった大恐慌に、世界がもがいていた。当時の高橋はすでに77歳。3カ月前の満州事変で社会が騒然とするなか、深刻なデフレに陥った日本経済の立て直しを託された。
就任したその日に金の輸出を停止する。通貨の発行を金の保有量とひも付ける金本位制をやめ、必要に応じてカネをいくらでも増やせる管理通貨制へ移行した。
円安が進み輸出に追い風が吹くと、次の矢を放つ。日銀を引受先とする国債を大量に発行し、歳出を大胆に増やしたのだ。
効果はてきめんで、日本は世界に先駆けて大恐慌から抜け出した。政府が需要を創出する「高橋財政」が、ケインズ理論の先取りといわれるゆえんである。
高橋のDNAはいまの日本に引き継がれているだろうか。自民党が5月18日に開いた財政再建推進本部は大荒れとなった。
コロナ禍が収まるまで財政再建を棚上げするよう求める意見が相次いだ。「高橋是清の積極財政で日本は世界恐慌から持ち直した」。出席者からはそんな声も上がった。
(略)
~~引用ここまで~~
日経新聞が緊縮財政から積極財政に転換したということはないだろう。経済・社会保障グループ長(経済部長)でありこの記事を書いた高橋哲史が積極財政論者とも考えにくい(実際はわからないが)。政界や国民にも積極財政を求める空気があるということではないか。
読売新聞はガチガチの緊縮財政派だから書きそうにないが、日経新聞は政界の動きを書かざるを得なかったのではないか。
記事にあるように自民党の財政再建推進本部は大荒れになったのだ。反緊縮の積極財政派が頑張った。財務省の息の掛かった主流派に鎮圧されてしまったが。
~~引用ここから~~
[東京 4日 ロイター] - 新型コロナウイルスの打撃からいち早く回復を始めた米国や中国では、「ポストコロナ」を見据え、デジタルや環境分野に大規模な資金を投入する動きが活発化している。ところが、日本企業は足元で設備投資がマイナスを続けている。特に次世代の競争力強化に欠かせない電気自動車(EV)や半導体関連で大規模な投資がなく、このままでは競争力が低下することは目に見えている。
リスクに過敏で決断できない民間経営者の背中を押すのは、政府の役割だ。米バイデン政権が掲げる「再生計画」のように、政府が集中投資する分野を明示し、兆円単位の財政支出を決断するべきだ。
(略)
<腰を上げた経産省>
このまま民間企業の劣勢を放置していては挽回不能になると気付いたのか、経済産業省は4日、「新たな産業政策」を打ち立て、政府が主導して重点投資分野を決め、大規模な資金投入も行って、民間企業を支援する議論を本格的に始めた。
~~引用ここまで~~
ロイターは日本のマスコミではないが、日本企業が設備投資に積極性が欠けており、このままでは競争に負けかねないと報じる。
そこで経済産業省が省を挙げて重点投資分野に大規模な資金投入を提言するのだ。経済産業省が財務省の財政再建路線に反対することは心強い。消費税廃止ないし減税については言及しないかもしれないが。
日本が変わり始める兆しなのか - 面白く、そして下らない
でも言及したが、積極財政を求める動きはちらほら出てきている。次の総選挙では積極財政派を勝たせたいものだが、そう都合よくは運ばない。
自民党の積極財政派は選挙に強くないのだ。逆に緊縮財政派は選挙に強い。総選挙は自民党が議席を減らすことは予想されている。どの程度かはわからないが。それで自民党の積極財政派議員が落選することは避けたいが、国民はそこまで見て投票しないだろう。
派閥や主義主張まで加味しない。自民党か野党(立憲民主党)の候補かで投票先を決めるだろう。そうなると自民党が適度に負けて菅義偉が降ろされて積極財政派主導の政権ができるというのはあまりに都合が良すぎるだろうか。
財務省の財政再建路線は橋本龍太郎のそれから断続的に24年も続いている。流石におかしいとの声が上がって不思議はない。だが積極財政派が上手く権力を握らないと緊縮財政を積極財政に転換できない。
総選挙が頼みだが、都合の良い結果が出るかどうか。
追記
(敬称略)
高橋是清の無念 未完に終わった「積極財政」
「日本のケインズ」と呼ばれた政治家がいる。大正から昭和の時代にかけて、首相や蔵相を務めた高橋是清である。日本経済を幾度も危機から救った。真骨...
日本経済新聞
「日本のケインズ」と呼ばれた政治家がいる。大正から昭和の時代にかけて、首相や蔵相を務めた高橋是清である。
日本経済を幾度も危機から救った。真骨頂を発揮したのは、1931年末に発足した犬養毅内閣で蔵相に就いたときだ。
米ニューヨーク株の暴落から始まった大恐慌に、世界がもがいていた。当時の高橋はすでに77歳。3カ月前の満州事変で社会が騒然とするなか、深刻なデフレに陥った日本経済の立て直しを託された。
就任したその日に金の輸出を停止する。通貨の発行を金の保有量とひも付ける金本位制をやめ、必要に応じてカネをいくらでも増やせる管理通貨制へ移行した。
円安が進み輸出に追い風が吹くと、次の矢を放つ。日銀を引受先とする国債を大量に発行し、歳出を大胆に増やしたのだ。
効果はてきめんで、日本は世界に先駆けて大恐慌から抜け出した。政府が需要を創出する「高橋財政」が、ケインズ理論の先取りといわれるゆえんである。
高橋のDNAはいまの日本に引き継がれているだろうか。自民党が5月18日に開いた財政再建推進本部は大荒れとなった。
コロナ禍が収まるまで財政再建を棚上げするよう求める意見が相次いだ。「高橋是清の積極財政で日本は世界恐慌から持ち直した」。出席者からはそんな声も上がった。
(略)
~~引用ここまで~~
日経新聞が緊縮財政から積極財政に転換したということはないだろう。経済・社会保障グループ長(経済部長)でありこの記事を書いた高橋哲史が積極財政論者とも考えにくい(実際はわからないが)。政界や国民にも積極財政を求める空気があるということではないか。
読売新聞はガチガチの緊縮財政派だから書きそうにないが、日経新聞は政界の動きを書かざるを得なかったのではないか。
記事にあるように自民党の財政再建推進本部は大荒れになったのだ。反緊縮の積極財政派が頑張った。財務省の息の掛かった主流派に鎮圧されてしまったが。
~~引用ここから~~
コラム:劣後する日本企業の設備投資、政府は兆円単位の国費投入を
新型コロナウイルスの打撃からいち早く回復を始めた米国や中国では、「ポストコロナ」を見据え、デジタルや環境分野に大規模な資金を投入する動きが活...
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[東京 4日 ロイター] - 新型コロナウイルスの打撃からいち早く回復を始めた米国や中国では、「ポストコロナ」を見据え、デジタルや環境分野に大規模な資金を投入する動きが活発化している。ところが、日本企業は足元で設備投資がマイナスを続けている。特に次世代の競争力強化に欠かせない電気自動車(EV)や半導体関連で大規模な投資がなく、このままでは競争力が低下することは目に見えている。
リスクに過敏で決断できない民間経営者の背中を押すのは、政府の役割だ。米バイデン政権が掲げる「再生計画」のように、政府が集中投資する分野を明示し、兆円単位の財政支出を決断するべきだ。
(略)
<腰を上げた経産省>
このまま民間企業の劣勢を放置していては挽回不能になると気付いたのか、経済産業省は4日、「新たな産業政策」を打ち立て、政府が主導して重点投資分野を決め、大規模な資金投入も行って、民間企業を支援する議論を本格的に始めた。
~~引用ここまで~~
ロイターは日本のマスコミではないが、日本企業が設備投資に積極性が欠けており、このままでは競争に負けかねないと報じる。
そこで経済産業省が省を挙げて重点投資分野に大規模な資金投入を提言するのだ。経済産業省が財務省の財政再建路線に反対することは心強い。消費税廃止ないし減税については言及しないかもしれないが。
日本が変わり始める兆しなのか - 面白く、そして下らない
でも言及したが、積極財政を求める動きはちらほら出てきている。次の総選挙では積極財政派を勝たせたいものだが、そう都合よくは運ばない。
自民党の積極財政派は選挙に強くないのだ。逆に緊縮財政派は選挙に強い。総選挙は自民党が議席を減らすことは予想されている。どの程度かはわからないが。それで自民党の積極財政派議員が落選することは避けたいが、国民はそこまで見て投票しないだろう。
派閥や主義主張まで加味しない。自民党か野党(立憲民主党)の候補かで投票先を決めるだろう。そうなると自民党が適度に負けて菅義偉が降ろされて積極財政派主導の政権ができるというのはあまりに都合が良すぎるだろうか。
財務省の財政再建路線は橋本龍太郎のそれから断続的に24年も続いている。流石におかしいとの声が上がって不思議はない。だが積極財政派が上手く権力を握らないと緊縮財政を積極財政に転換できない。
総選挙が頼みだが、都合の良い結果が出るかどうか。
追記
(敬称略)
MMTも限界はインフレ率ですから、利払い費が税収に占める割合が増大してしまえば、MMTの理屈に従っても悪性インフレになるまで国債を発行することはできないと思うのですが。
それと高橋是清が正しくて借金政策の「永続」はできないかもしれません。しかし現在はまずデフレ脱却までは国債を発行するべきだと考えます。高橋是清の時代も高橋是清自身が始めは国債を発行することで経済を建て直したわけですから。