
後三時間で、ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの討論の生中継が始まる。ニックは朝から興奮している。できることなら、同じ志の友人と一緒にライブを見せてやりたいが、残念ながら我々は日本にいる。討論が始まるまで、ニックは様々な友人や家族に電話して、その期待と興奮を分かち合ってる。既に家族間での険悪なディベートがスカイプ画面を突き破るくらい白熱してる。お祭り騒ぎである。別にそれはいい。むしろありがたい。ディベートの間はニックの、ねーねーこれ見てマミー、に邪魔されず仕事に専念できる。この切羽詰まった時期にこの番組、天からの贈り物、どっちが勝とうがわたしゃ関係ない、どちらかといえばニックが支持する政党に勝って貰って、ニックに意気揚々とチェロ弾いて貰いたいが、まあそれは仕方ない。問題は、今朝がた悪魔の囁きを聞き、アマゾンプライムビデオで、今アメリカで凄い人気の「フレッシュ・アンド・ボーン」というバレエ番組を見始めてしまったことだ。一話だけ見て、仕事を送付し終わってから二話を見る、という事を今考えてる。仕事は今、全体を120%とすれば、90%が出来上がってる。あとたったの30%。〆切は、ニックの友人ヴァイオリニストのポールが我が家にリハーサルに来る10/2。それ以降の日々はニックのコンサートに集中したい。我が人生最良のコンサートになる予感がする。だが悪魔は美しい顔で微笑む。あとたったの30%じゃん。一話だけ見ちゃえば。続き見たくて仕事早く済ませるモチベになるべ、なんてお茶目なことを言いそうな悪魔よ、去れ。アメリカの神よ、日本の観音様よ、この怠け者で心弱い私を守りたまえ。ナムアーメン。