中村紀もオリ入りへ - 爆発力アップor扇風機2台?
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朝、昨日休んでた分のツケを払うような雑務をこなしていると、部長から突然お呼びが掛かった。う、、、昨日のズル休みを指摘されるか?と思いながら打ち合わせ室に行くと、深刻な顔でこう切り出された
「実は昨日決定したんだけど、T君には上海に入ってもらう事となったんだよね。」
・・・へ?・・・・しばし呆然。シンガポールとばかり思ってたんだけど、、、
ここに至るまでの説明を少しだけ。
・1年以上前から - 海外あるかも、と言われる。(具体的な候補地は挙がらず)
・今年5月 - 香港へ行くかもと言われ内内示のような形で言われる。
・夏ごろ - 中国の状態は凄まじく悪く、とても若造の行けるような状態では無い。シンガポールにいる45歳位の事務責任者を中国統括として置き、開いたシンガポールへ俺が行く事になるだろう、とこれまた内々示を受ける。かなり濃い話だと言われ、その気に。
・昨日まで - 上記路線で進みたいが、肝心の中国のトップがそのシンガポールの責任者の事を嫌っていて、「こいつはやだ」と駄々をこねてるので進まない、との説明を受ける。その間も中国の状態は更に悪化、二進も三進もいかない状況となっている
・昨日 - もうそれならシンガポールの人事は据え置きとして、本社から俺を派遣する事としよう、とトップ同士で決まる。(その間俺はズル休みして遊びまくり)
・今日 - 突然宣告される
・・という流れなのである。ってことは、だ。俺は荒れ放題になっている中国の経理統括責任者として上海に赴任し、正常な状態に戻すようにしないとならないらしい。・・・若干30歳、俺に出来るのか?
ボーっとしたまま仕事をする。色んな事が頭をよぎる。ほんと、色んな事。実は去年、出張ベースで中国へ行った事があるのだが、あまりいい印象は持てなかった。高速道路を逆そうする車、いびつな急発展を遂げたあまり、道一本挟むとスラム街が立ち並ぶ街、共産国だからなのかサービスの悪いホテル、日本では考えられないような貧富の差、根強く残っている反日、抗日感情、、、、絶対に中国で暮らすのなんてやだ、と思ってた。そこへ最低でも3年、長ければ5年以上行く事となる。やれるのか?
奥さんの事もある。温室育ちの彼女にそんな生活が耐えられるのだろうか?シンガポールでの生活を描いていたはずなのに、突然上海と言われて心の整理が付くだろうか?俺でさえついてないのに・・・
自分自身のキャリア形成の問題もある。CPAを日本で取ってシンガポールへ行き、英語と英文会計を学ぶ、何年かして日本に帰り、語学と現地での生きた実務を身に着ける、正に自分の望んでいたキャリアだ。ところが突然の上海。中国語なんて全く知らない、知らないっていうのは英語がしゃべれないっていうようなレベルでない。挨拶すら知らないのだ。ニーハオ、位しか。そして中国の会計、当然の事ながら知らない。中国の法務、知らない。税務しかり。まーーーったく何にも無いのだ。何より興味が無い。これが一番困った事だ。英語なら興味は目茶苦茶ある。だからこっちも必死で覚えたいと思うし、しゃべれるように努力する。英文会計の実務もそうだ。だけど中国語、中国の実務なんて全くやりたいと思えない。勉強する上で、やりたくない事をやらないとならない事ほど辛いもんは無い。・・・やだなぁ。
人間関係も大いにある。中国トップは超が付くほどワンマンらしい。理不尽大王に付いて無理難題をこなさなければならないだろう。スタッフにしても、中国語を全くしゃべれない、知識も経験も無い日本人の若造の言うことを一体誰が聞くだろうか?上にも下にも苦労する事は火を見るより明らかだ。「苦労」なんていう陳腐な言葉では言えないほど苦労するんだろう。仕事をする上で、人間関係ほど重要なものは無い。これは相当重要だよな。
そして何より、その職責の重さである。中国の経理業務全般を見るって、俺に出来るのか?上海は勿論、香港、シンセン、蘇州、北京、台北等など出張ベースで回って実務を回す必要があるらしい。武官にも新規ビジネス立ち上げの話があるので、そこへ行く回数も増えるとの事。位置関係は全く分かんないけど、とにかく今の仕事に求められているレベルを遥かに、遥かに、更に遥かに超える必要がある事は明らかだ。俺にやれるとはどう考えても思えない。
周りの意見は「止めといた方がいい」という意見で一致している。そういう冷静な意見を聞けば聞くほど凹んで来る。・・・・どうしようか。
しかし、それと同時に「よっしゃ、やったるで!!」という気持ち、ガッツが沸いて来てる事も確かだ。今の仕事はもう左手一本でも回せる位になった。10日休んでもキッチリとやれる。今の仕事を続けていても進歩は無い。それは確かだ。更なるステップアップのチャンスだ、挑戦する価値は大いにあるよな。前向きに考えてみるのもいい事だと思う。
苦労も、その渦の中にいると本当に辛くて逃げ出したくなるけど、後々振り返ってみると大きな経験として自分自身を大きく成長させてくれてるものだ。実際俺も今まで色んな苦境に立たされたけど、「あぁ、こんなのあの時に比べれば」と思って乗り越えれるようになったもんなー。苦労は買ってでもしょいこんでいいのかもね。
それに、一介のサラリーマンが会社の人事にあれこれ言える立場では無い。行けと言われれば「頑張ります」と言って行けばいいだけの話だ。逃げ出すように辞めたくは無い。逃げるな!その一言だ。
色んな考えが渦巻いて、ちゃんとまとまんないまま家に帰る。出迎えてくれた奥さんは
「驚いたけど、勿論着いて行くよ。それとも辞めようって考えてるの?それならそれでまだ大丈夫なんじゃない?」
と言ってくれた。本心では無いのかもしれないけど、それでも一応大きな、自分ではどうする事も出来ない奥さんの意思はオッケーとなった。
・・・・・上海か。それもまた人生だな。よっしゃ、いっちょやったる!今ボロボロの状態になってるのを立て直すってカッコいいな。俺の人生に貴重な経験をもたらせてくれるはずだ。CPAの勉強で培った根性と負けん気で乗り切ろう!よーし、待ってろ!中国!!絶対にやったるど!!!!!!
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