この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#94 佐藤江村句集「辿る」Ⅳ(風景)

2005年05月20日 | 随想
やはり俳句は風景を詠んだものがいいという考えもある。人の心の入っていない自然そのものを写生のように詠むということそれが俳句だという考え方もある。父 江村,母 恒女の句から選んで見よう。

佐藤江村

白ぼけに緋ぼけも混じりめをとぼけ

陽炎の乱舞列車の過ぎ行きて

明け近き春月星を従へて

雲流れ春山の襞移り行く

雲流れ行き流れ来る木の芽風

梅雨の夜に一隅あけて星を見す

雨意あれど落とさず過ぎし夏の雲

泰山木夾竹桃の裾模様

舗道いま大夕立となり滾つ

深山路老鶯とぎれとぎれ鳴く


佐藤恒女

窯元へ道は斑に野火の跡

田を走り青嶺に消ゆる送電線

櫓田は続きて利根の水豊か

コスモスの群れ咲き空はコバルトに

姥捨は幽く迫りて刈田越し

画像:筆者撮影

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