プチ早期退職者の資産運用+αブログ

ROEとBPSから求める理論株価

 理論株価は、その企業が将来的に稼ぐ利益を現在価値に割り引いて足していくのが基本である。資産的価値は業績悪化時の下支えになっても、本来は資産に見合う稼ぎを求められている訳であるから、利益だけに着目するのは基本的に間違ってはいない。実際の株価は市場環境の影響を大きく受けるので理論株価通りにはならないが、参考にはなる。

 以前紹介したようにダイヤモンド・ザイには定期的に理論株価は掲載されるし、会社四季報  プロ500銘柄にも全銘柄の理論株価が掲載されている。どちらも、将来的に稼ぐ利益を基に算出しているが、ザイの方は資産や成長の価値も考慮している。最近ではフィスコがはっしゃん式の理論株価と上昇余地を配信するようになっている。

 理論株価を見たければ、それらをチェックすればいいだけで、決算ごとに最新化されていくの便利でもある。ただ、先日ブログ記事にしたROEやPBRの式を利用して簡易に理論株価を求めることもできる。そのまとめを以下に示す。



 上にまとめた通りではあるが、自己資本コストが決まれば、ROEBPSから理論株価(Price)を求められる。ただ、各企業の自己資本コストは外からは分からない(各企業自身が正確に把握できているかも怪しい)し、益利回りを簡易的に自己資本コストをとしている時点で正確性には欠けることになる。

 さらに自己資本コストをROE8%の合格ラインに合わせて8%としたので、結果的にEPSの12.5倍が理論株価ということになった。何かややこしい話が一周回って簡単な話になってしまったが、各企業にROE8%以上(EPS>8%×BPS)を求めるというのと同様の考え方であるとも思う。

 四季報に今期と来期のEPSが載っている。各企業が今期見通しを修正すれば反映した上で、今期と来期のEPSの平均値をとって12.5倍すれば来期までをみた理論株価を算出できる。私はエクセルで作った銘柄管理表に四季報情報を適宜転記しているが、その表では上記のようにして来期までみた理論価格も自動的に算出させている。

 例えば、今月、個別銘柄の記事にした伊藤忠エネクスだと理論株価1,523円に対して8月18日終値は1,427円、株主優待品を紹介したKDDIだと理論株価4,103円に対して8月18日終値は4,178円と案外近い結果になっている。TOBになった伊藤忠テクノソリューションズ赤字転落に下方修正したハリマ化成Gだと乖離し過ぎてしまうが。

 特殊事情がなく、業績が安定的でそれなり評価された株価になっていると案外近い結果になる感じはする。成長企業は割高に買われやすいので、やはりずれる。しかし、理論株価はあくまでも参考情報の一つに過ぎない。逆に実際の株価と理論株価が乖離している時、なせ乖離しているかを検討することの方が売買判断の参考になると思う。


 最後になるが、4月23日の日経に載った広木隆さんの記事を紹介しておきたい。PBR=1+α で、αはROEと資本コストの差すなわちエクイティスプレッドの現在価値であることが分かる、と書いてある。そして幾つかの高PBR企業のROEとエクイティスプレッドが表にしてある。


 この記事を読んだ時、この記事の内容、特にPBR=1+αの話と表の意味を理解できる人は少ないのではないかと思った。理解するためにはROEに関する先日のブログ記事とか今回のブログ記事レベルの知識が必要になると思う。日経の記事をまだお読みになってない方がおられたら、試しに読んでみて頂きたい。

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