
M特派員からの8月10日の公演の寄稿です。
ボリショイ ロンドン公演(at London Coliseum)
10 Aug 2007
「Don Quihote」アレクセイ・ファジェーチェフ改訂版
キトリ:マリア・アレクサンドローワ
バジル:セルゲイ・フィーリン
ストリート・ダンサー:アナスターシア・ヤッツェンコ
エスパーダ:アンドレイ・メルクリエフ
昨日の若いオシポワ&ワシリエフ組みに負けじと、ベテラン組みが一幕目から色々な変化を付けて舞台を沸かせてくれた。ひときわ目立ったのが、二人が何度も熱くキスする事。昨日の二人がしないことを、敢えてしているように見えた。
アレクサンドローワはカスタネットを打つのもこなす。この二人が組むと、明るい舞台になり見ているほうも楽しくなる。
アレクサンドローワは頭に2輪の赤い花をと、黒い櫛を付けており、可愛い髪形になっていた。
2幕目のやや長めのチュチュは一番外側が白に模様付、中側が鮮やかな黄色で、独特のデザインだった。
一本リフトでは、一段と長く音を取って笑顔のアレクサンドローワは輝くが、フィーリンは静止までに1-2歩動いてしまう。
2幕目のアレクサンドローワの飛び込みの場面では、豪快な飛込みにもかかわらずフィーリンは少し下がる程度で上手くキャッチしていた。
1幕目に頑張ってしまったせいか、フィーリンは3幕目のグランパではかなり疲れていたようで、若干動きを控えめにしているのが見えた。見せ場のコーダでもこれと言った技を見せずに、完結に終わらせてしまった。また、動いた後かなり肩で息をしているのが見えた。アレクサンドローワはまだまだ踊れそうな印象を受けた。オシポワほどの派手な技は見られなかったが、持ち前の明るさと弾力性のあるダンスでキトリにはピッタリ。グランフェッテはシングル連続で、一度だけダブルを入れ、最後まで音を外さずに踊っていた。
この日活躍したのはメルクリエフ。タカラヅカの男役のようなメイクに髪型が、ちょっと情熱的なスパニッシュのイメージとは違ったが、美しく仕上がっており、何と言ってもスパニッシュ、フラメンコの技術や演出をかなり研究して身に付けていると思った。背中や胸の張り、肩幅の表現で、小柄で華奢な彼が舞台上では大きく見えた。布さばきも切れがあり、背中の反りが大きく、布を振りかざす姿が様になっていた。
2幕の酒場の場面でも、昨日のシュピレスキーとは全く異なる「熱さ」があった。フラメンコ式の指のムーヴメントや足踏みも熱の入った演出でこなし、独自の世界になっていた。
毎晩ガマッシェ役で素敵なバッロック衣装に身を包み、滑稽な貴族を演じるデニス・サーヴィンの姿が笑いをそそる。3年前にロミオとジュリエットで彼のデビューを見たときには、まさかこのようなキャラクター役を務めるとは思ってもみなかった。が、意外と成りきっていて楽もしい。細かい芸が観客を楽しませてくれる。
演目の度に変身するロパレヴィッチにも注目。今回の公演ではドン・キホーテ役を毎回。
この日は2幕の森の女王役でアラシュが出た。私生活のパートナーのロパレヴィッチが彼女のサポートをする箇所が少しだけある。なかなか夫婦でパートナーを組む機会は無いので(役柄の違いから)、この場面は貴重かなと見入ってしまった。ちなみに、森の幻想の場面では、幕が開いてライトが照らされるとチュチュ姿のバレリーナたちの並びがとても美しく、毎回観客から感嘆のため息が聞こえる。
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