ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

新国立劇場バレエ団 『白鳥の湖」 1月20日

2010年01月28日 | Weblog

Nさんより新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』の感想の続きを寄稿頂きました。

Nさん誠にありがとうござしました。

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 小野絢子さんのオデット/オディールデビューだった。

前回のくるみと異なり周囲の高身長のダンサー達と同じ衣装である作品のため、小柄な彼女は埋没してしまうのではないかと少々心配もしていた。

しかしながらその心配が恥ずかしくなるほどの立派なオデット/オディールデビューだった。

決して派手なタイプのダンサーではないが、静謐な空気をまといながら振り11つが音楽にぴったりと合い、自然と吸い寄せられた。

オディールは王子と踊り遊ぶことが楽しむ、無邪気な女性のよう。

小野さんが踊る可憐なオデット姫の対称となる役であれば、

変に悪ぶらず、今回のように少々艶っぽい程度で丁度良いと感じ、好感を持った。

山本隆之さんの王子は、1幕の宴に登場した瞬間から気品のある爽やかなオーラを放っていた。

曲が最高潮に達したところで大勢の人々に迎えられるに相応しい王子様であった。

まことに勝手な想像だが、

この国に決して戦は訪れないであろうと思わせる温厚な人柄が滲み出ている。

オデットに対しては大変熱く求愛し、

オデットが怯えて逃げようとするのも無理はないと納得。

オディールが登場したときは、

どこか前夜に婚約した女性か否かやや不安げな表情だったウヴァーロフに対し、山本さんは一目見るなり歓喜に沸いていたのが興味深かった。

花嫁候補達には全くの無関心だったはず、スイッチの切替の早さが尋常でない。

いたく純粋で感情豊かな性格をした王子を思わせた。(王妃が心配するのも無理はない)

サポートしているときでさえもにこやかな表情は変わらず、

このたびも感心した。

ソロの箇所は、とても丁寧且つ感情を込めて踊っていた。

特に湖畔の場面の前、オディールに結婚を誓うという過ちを犯してしまった後の場面は短い箇所であるが、

表情だけでなく踊りからそのものから、

オデットを裏切る結果になったことを悔やむ心情が伝わってきた。

小野さんの初役デビューが成功したのは、

彼女の弛まぬ努力は勿論のこと、

安心して身を委ねることのできるパートナー・山本さんの功績もまた非常に大きいであろう。

5月のカルミナ・ブラーナ、そして来シーズンではあらゆる作品で

ペアを組む2人の舞台が、一層待ち遠しくなった。



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