チャイコフスキーの作曲(原作はオランダ人の作家Hertz)によるオペラ イオランテを12月25日のマチネで見ましたが2時間弱でオペラとしては短い物です。1893年にボリショイでの初演から655回目でした。今回の演出は1997年版でこの版になってから122回目と最近は年に平均15回上演されているということはボリショイでの人気演目の一つだと思います。
舞台装置はいたって簡素で張りぼてのお城の塔と城壁だけでこの舞台装置も2幕中ずっと変わりません。ここら辺りの上演コストが掛からないのも頻繁に上演されている理由なのかも知れません。
マチネのロシア語のオペラのせいか最前列の席でしたが380RUB(1500円ほど)とお手頃。これで迫力ある一流のオケと歌が楽しめるのですからお徳です。
主演の盲目のヒロイン イオランテを演じたのはElena Evseevaでしたが年齢的には役の上では結婚前の若い王女なのですが実際にはやはりオペラ歌手のご多分に漏れず一寸太めの円熟味のある女性。ピンクの可憐な衣装でそれなりの雰囲気は出ていましたし仮に若くて細い歌手ではあのような見事な声を出す事は出来ないのでオペラを楽しむ為の約束事としてはここは目をつぶるべきところでしょう。
盲目の演技も中々見事でした。
前日に見たオペラ(ムチェンスク郡のマクベス夫人)もロシア映画では若い女性が演じているそうですがオペラでは円熟味のある歌手でした。
Rene地区の王を演じたのはMikahel Kazakovで如何にも王という貫禄のある役者でした。
カーテンコールの動画御覧ください。最初に写っているのが王、そして最後がイオランテです。
話の筋
先ず主人公の盲目の王女の話を暗示する為か 指揮者が指揮台に着くまで点いていた明りが消えほんの一瞬ですが劇場内が真っ暗になります。その間に幕があがりそれからほのかな明りがオケと舞台についてそれが段々明るくなるという設定です。
又オケと客席を仕切る壁がNew Stageでは下がるようになっているのですが今まで気がつかなかったのですがこの演目では通常は50CMほど下がるのが正々20CM程下がりませんでした。(下がる位置に2つ印があり今回は第一段目までしか下がっていませんでした) これは当方の勝手な想像ですがこの演目は前日に見たマクベス夫人と違いオケの大音響が必要な場面(劇的場面)が無くオケの音が穏やかに聞こえる方が良い演目だからということかと思われます。因みに1列目の席から見えるオケの人の顔は前日良く見えたのに今日は手前の人が見えないので2段階となっていること気がつきました。
第一幕
舞台には前日のマクベス夫人のオペラで夫人との三角関係から夫人に川に突き落とされ夫人も身投げするという最後の場面で突き落とされた女囚(前日のオペラのカーテンコールの動画では相手役と挨拶している女性)を演じたアルトの女優(Alexandra Durseneva)がイオランテの付き添い看護婦として先ず登場。前夜は男を誘惑する妖艶な女性を演じていたがこの舞台では清楚な看護婦の役で流石プロで衣装と化粧、髪型でそれぞれの役になりきっていました。
その後色とりどりの衣装(と言ってもそれぞれの女優は淡い淡色の色ですが)の女性が登場、最後にピンクの服のイオランテが登場し自分が盲目であることを知らない、知らされていないイオランテが 果物を貰ったり 廻りの女性に花を貰ったり女性全員24人の女声合唱となり最後はイオランテが椅子の上で眠りにつき 5人の従者に椅子ごと城の中に運ばれます。 その後従者の前触れの後 王様とムーア人の医者(褐色でターバンを巻いた中東風の御仁 やや鼻に掛かった良く声の響くバリトンVladimir Krasovが演じた)が登場。 王様は医者に対しイオランテにはいいなずけのRobert公爵がいるが公爵にはイオランテが盲目であることは伝えていないこと、イオランテの取り巻きにはイオランテは盲目であることを一切悟られないようにきつく言いつけてありイオランテは自分がハンデあることを知らないで育って来ていることを告白。医者はイオランテに治療を受けさせるには盲目であることを伝え本人がハンデを克服する気になることが第一と説明。
第二幕
ロバート公爵(Sergey Murzaev)とその友人のボウデモント伯爵(Mikhail Gubsky)の二人がイオランテを一目見ようと勝手に庭に入ったものは処刑するとの立て看板を無視して庭に忍び込み首尾良くイオランテに会うことは出来 イオランテの美しさに二人とも感動。但し肝心の公爵は既に好きな人がいるせいかすぐ庭から脱出。しかし伯爵はイオランテの美しさに魅せられそのまま庭に残りイオランタからワインを振舞われ 逢った思い出に赤いバラをイオランテに所望。イオランテは白いバラを伯爵に渡し 再度伯爵が赤いバラと言っても白いバラを渡す。 不思議に思った伯爵が今度は何本かのバラを束にして何本のバラかと質問し 渡してくれなければ数えられないとの答えで初めてイオランテが盲目であることに気が付く。伯爵は神の作りたもうたこの世が如何に美しいか説明。二人は恋に落ち二人は手を繋いでのDuet。
因みに役者としては公爵役の方が若干年は食っていますがハンサムでスマート、伯爵役は多少若いがずんぐりタイプでイオランテが一目(?)で恋に落ちるとすれば伯爵でなく公爵の方という感じです。二幕の最初に公爵と伯爵の独唱が順番にありましたが明らかに公爵の方が拍手、ブラボーが多く役者としての人気は公爵役の方が上のようです。歌の上手さも公爵の方が上に感じました。
さて二人でいるところで王が登場し伯爵がイオランテが盲目であることをイオランテに伝えたことを知り愕然とするが兎も角治療を受ける事を薦める。イオランテが治療を拒否するとイオランテが伯爵と恋仲になったことに気がついた王はイオランテの目が見えるようにならないと伯爵を処刑すると宣言。伯爵を救いたい一心のイオランテは治療を受ける事を承諾。ここで鎖をうたれた伯爵に近づく為に盲目のイオランテが腹ばいになり鎖を探しその鎖をつたって伯爵を見つけ抱きつき廻りの女性の神を救いたまえとの合唱。イオランタは医者と共に城の中に入る。王も神に祈る独唱。
伯爵を救いに公爵が兵士と共に城に到着。伯爵はイオランタと恋に落ちた事を公爵に告白し公爵は他に好きな人がいることを王に伝える様頼む。そのことを聞いた王はイオランタと伯爵の結婚を承諾。治療が終わったイオランテが顔を白い布で覆われて登場。治療は無事成功しイオランテと伯爵は無事結ばれHappy end
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