ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

新国立劇場バレエ団 モスクワ公演 牧阿佐美の『椿姫』 9月19日

2009年12月14日 | Weblog

 新国立劇場バレエ団 モスクワ公演での牧阿佐美の『椿姫』を御覧になったNさんより寄稿頂きました。日本よりモスクワまで個人でお出掛けになったそうでその際にこのブログがお役に立てたとか。うれしい限りです。

 新国立劇場バレエ団のモスクワ公演・『椿姫』の2日目、3日目を鑑賞した。

2日目の主役は堀口純さんと山本隆之さんが務めた。

堀口さんは初役とは思えぬ堂々たる舞台であった。繊細で柔らかで透明感があり、高級娼婦でありながらもどこか控えめであった。

ほんのりとした優しさが薫り、世の男性陣が思い描く、理想の大和撫子なマルグリットであった。

アルマンとの出会いは彼をじっと見つめながらも戸惑いの表情が垣間見られ、初恋のよう。金銭や身分に関係のない、初めて真の恋に落ちた様子が心に届いた。

 パーティーが一段落して華やかな場面から一転してマルグリットが1人病に苦しむ場面では痛々しいほどに悲哀の感情が伝わってきた。

 このほか、マルグリットにはいくつかのソロがある。

どれも静かで一見地味だが、心情を丁寧に表現しなければならず、コンクールやガラで踊られるクラシックのヴァリエーションよりも余程難しいであろう。

しかしながらボリショイ劇場を静謐な空間の中、満員のロシアの観客を惹きつけていた。

彼女の今後の舞台が益々楽しみになった。

 山本さんはどこまでも純粋なアルマンを見事に演じきっていた。

マルグリットとのパ・ド・ドゥでは幸せ一杯な場面であってもどこか切なさが漂い、華やかさの陰で病に苦しむ女性を愛おしく一心で支える姿が魅力的であった。

 マルグリットやガストンへ怒りをぶつけるところでの豹変ぶりも見事、それまでの穏やかな人物とは別人のようであった。

その後父親とともにマルグリットに詫びる場ではこちらの胸が締め付けられるほどの悔い改めを見せ、アルマンの純粋さが一層心に届いた。

 また、11つパを丁寧に且つ心を込めてこなし、どの場面においても絵になるような美しい舞台姿が印象に刻み込まれた。

 堀口さんと山本さんは初のペアリングだったがお互いを思いやり、信頼し合っているようで大変良かったと思う。再びの共演が待ち遠しく、特にジゼルでの共演が観たくなった。

 日本のニュース番組でこのモスクワ公演が少し取り上げられたそうだが、どれもザハロワ組の映像ばかりだったそうだ。確かに、ザハロワがモスクワ公演実現に尽力した功績は大きい。だが堀口さん山本さんの新国立ペアが主役を務めた日の舞台や彼らを讃えるカーテンコールの様子も、是非伝えてほしかった。

下記はボリショイ劇場HPより

19.09.2009 19:00
New Stage

Conductor
Pavel Sorokin

Marguerite Gautier
Jun Horiguchi

Armand Duval
Ryuji Yamamoto

Monsieur Duval, Armand's father
Kentaro Morita

Le Comte
Ilgiz Galimullin

Prudence
Mia Atsugi

Gaston
Yuki Tomikawa

 



 
 


Jun Horiguchi Soloist of New National Theatre Ballet, Tokyo

Biography

Jun Horiguchi was born in Saitama prefecture, Japan. She learned ballet under Katsuko Okamoto and Yukiko Mimura, and she was accepted by New National Theatre, Ballet School In 2003.  Post graduation, she joined New National Theatre Ballet, Tokyo as a corps de ballet in 2005. In 2009, she has been promoted to a soloist.

The repertoire of Jun Horiguchi includes Swanilda's Friend (Roland Petit's Coppelia, Kitri's Friend (Don Quixote), Maiden (Swan Lake), Henriette (Raymonda), Masha (Nutcracker) and others.

She received several nationally and internationally well recognized awards: the second prize in the first category of All Japan Ballet competition in Saitama (2005), the second prize in Asian-Pacific International Ballet competition (2005), the first prize in a category of contemporary dance of All Japan Ballet competition organized by NBA Ballet company (2007).



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