東方のあかり

東アジア(日、韓、中+その他)のまとまりを願ってこのタイトルにしました。韓国在住の日本人です。主に韓国発信の内容です。

モラル破壊(もぞ語り)

2023-07-22 15:00:00 | 韓国物

以前にもご紹介したが、筆者の故郷の米沢に
山形大学名誉教授の高橋寛さんという方がいらっしゃる。
今回はこの教授のエッセイをご紹介したい。


     モラル破壊(もぞ語り)

 骨折した妻が痛くて眠れない時に、ぶつけた背中に
手をあてがうだけで、その後スヤスヤ寝入る事を発見
しました。押したり揉んだりすると痛がるので、さすっ
たり手を当てて念じていたら、それが気持ち良いとい
うのです。
 そう言えば胃カメラ検査の時、看護婦さんが背中に
手をあてがってくれたのが、どれほど心強かったかを
思い出しました。昔から“手当て”とはよく言ったもの
です。

 近頃手当てをしない医者が増えましたが、早晩 AI
に取って代わられても惜しくない医者です。

 気功の“気”とは、ネットの説明によると、生命エネ
ルギー・宇宙エネルギーとして 1~20 ヘルツの波動
であるとのこと。

 広辞苑の説明では、(1) 天地間を満たし宇宙を構
成するもの(気候、天気、空気、電気 etc.)、(2) 生
命の原動力(元気、気力、病気、気うつ、正気 etc.)、
(3) 心の状態(気持ち、勇気、気配、気遣い、気質、
気品 etc.) と記述されています。

 瞑想や森林浴というのは、大地と体のリズムを同
期させる作用があるのかもしれません。そして“手当
て”とは、そのような“気”を人に送り込む作用と解釈
できないでしょうか。

 人間の体は 60 兆個の細胞でできており、そのう
ち 1 兆個が毎日の食べ物で更新されてるといいま
す。60 日間で細胞が一新され、この過程で身体中
の傷や病が癒えることになります。これが免疫力・
治癒力と言われるものなのでしょう。

 妻の場合、整形外科に行って処置してもらったの
は、ギブスをはめ、湿布を貼り、痛み止めの薬と眠
り薬を処方されただけで、骨を再生させるための積
極的な処方はなく、患者の治癒力を期待するだけ
でした。結局はご飯を美味しく食べ、よく寝て、しっ
かり排便する、ということに尽きるのだと思います。

 身体中の細胞の老廃・生成の流れは、各細胞が
勝手に行っているものではなく、全体的に調和し、
同期しながら行われているのではないでしょうか。
全体のシンフォニーの指揮者として、メトロノーム
の役割を担っているのが“気”ではないかと考えま
す。脈、呼吸、睡眠、全てのリズムが同期している
ものと思われます。
 
 細胞の更新に使われる毎日の食べ物は、全て
植物・動物の生命です。全ての命を大切にしなけれ
ばならないという倫理がありながら、しかし“生命を
食べないと生きてゆけない”という摂理を自覚して、
アイヌは獲ってきた熊を神として祭りました。

 私たちも食事前「いただきます」と挨拶をします。
これは食物として身を捧げてくれた生命に感謝す
る作法です。この作法が人間の自然に対する謙
虚さを育みます。米一粒でも大切にするという教
えが、子供の心に謙虚さを躾けたのだと思います。
そしてその謙虚さが、全ての道徳的規範の土台
となります。

 近年、人々は農業・漁業の現場を知らずに、食
料をスーパーなどに頼るようになりました。そして
加工食品が多くなるほど、食物が生命だったこと
が分からなくなりました。食物は金さえ払えばな
んぼでも手に入るものと思いこんでいます。自然
に対して傲慢になり、自分中心の功利一点張り
の人間になりました。“食べ放題”を喜ぶなどは、
自然に対するものすごい冒涜です。

 安倍、トランプ、プーチンらがモラル破壊の引き
金を引きました。しかしそれ以前から道徳を失っ
た人間(キリギリス族)がすでに増えてしまってい
たのです。本来道徳を守ろうとする人間があって
こそ、“法の支配”が成立します。道徳破壊の社
会では、いかに法を整備しようと無意味です。道
徳を持たない政治家や裁判官は、法はいかよう
にでも解釈します。

 AI がどんどん人間に近ずいています。しかし
AI は決して道徳を身につけることはありません。
道徳があってこその人間です。

 地球規模で自然が壊されている現在「戦争ご
っこで遊んでいる場合か!」と怒鳴りたくなります。
人類の破滅を救うには道徳の復権しかありませ
ん。しかし教育現場で道徳復権を叫ぶと、戦前
教育への回帰かと指弾されます。そこで「いただ
きます」の本当の意味を、家庭・学校で教えると
いうことをもう一度みんなに思い出して欲しいと
思います。

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