つなぎの英語 ~NY NY 10016~

旅するように生活したニューヨーク。このまちで使い慣れた英語表現を紹介しながら、「NY的なるもの」への熱い想いを綴ります。

ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 117

2007-12-23 18:26:17 | ニューヨーク
 英語を好きになるきっかけが歌だったという人は多いと思います。私もこの塾シリーズで何度か英語の歌詞を紹介してきました。
 もっとも学校で教わったのは ♪You are my sunshine. くらい。あとは自分で”探し出した”プレスリーとかシナトラ、ザ・プラターズ、ドリス・デイ、ペギー・リー、ジュリー・ロンドンとかが英語の先生……ワオ! 考えてみるとなんとも豪華な先生たちでしたね。

 彼らが英語の先生だったのはいいけど、その歌詞は濃厚な恋の表現で、田舎の少年には実際に使える英語ではない。そういうなかで、たとえば、マリリン・モンローがだれかとかけあいで歌った一節、Baby, it's cold outside. のようなフレーズは口癖になりました。それが初めての“使える英語表現”になったのです。

「お外は寒いよ、ベイビー」。北国の晩秋の季節、友だち(残念、男の子たち)に早速、Baby, it's cold outside. を連発したものです。

●It's cold. / It's chilly. / It's freezing.

 お天気の表現が英語になじむのに手っ取り早いと思います。It's cold outside. は「しんしんと寒い」、It's chilly outside. は「北風ピープーのような身を切る寒さ」。It's freezing outside. は「身も凍るように寒い」ですね。

 この季節、同じ寒いでも使い分けてみましょう。chilly といえば以前、wind chill を紹介しました。風がない状態での温度と風があるのとでは大違い。とくに冬のマンハッタンでは超高層ビル群を吹き抜けるビル風は厳しい冷たさで、wind chill「風の冷たさ=体感温度」はさらに4、5度低く感じられます。

●It happens! / It can't be!

 でも、今回は歌やお天気の表現が主ではなく、実は、it のほうです。it を主語とする使い方に慣れると英語表現にずいぶん幅が出ますし、便利でもあります。it は主語というより“それってナントカじゃない”という感じで、反射的で曖昧な主語と理解しておくといいでしょう。

 日本語は主語不明だと言われますが、英語も、主語+動詞の形でも、it という曖昧な主語で代用してしまうことがよくあります。お天気や時間を it で表現したり、たとえば、It happens!「それって、あり?!……ある(起こる)んですねぇ」というときの it って便利です。It can't be! は「まさか!」(あり得ないけどあった!)。It can't be happened! とも言えますから、It happens! の反語、裏返しの裏になりますか。

●It hurts! / It's bleeding.

 痛いときの ouch! は「イテッ!」で、「痛い!」は It hurts! です。厳密には痛くする原因とか痛くなる局部を指すわけですが、条件反射的に it が主語。

 It's bleeding.「血が出てきちゃった」も反射的な it ですね。Ouch! → It hurts! → It's bleeding.「イテッ! アイテテ! あ、血が出てきちゃった」という流れ。

●It's been a long day. / It's been a long time.

 It's been ... という表現も便利。文法的に説明するとむずかしくなりますので、そのまま覚えましょう。It's been a long day.「いやぁ、長い一日だったなぁ~」、今日はいろんなことがあった、お疲れさん、という表現ですね。

 でも似た表現で、It's been a long time. だと「やぁ、ひさしぶり」になります。

●It's your turn.

 It's your turn.「きみの番だよ」…… Is it (my turn)?「わたしの番?」。たとえば、It's your turn to pay for it.「きみが支払う番だよ」。it は to pay for it を受けますが、それを略しています。

●It's on me. / It's my treat.

 It's your turn. → Is it?「そう?」……どうせ払うなら、OK, it's on me. It's my treat.「あぁいいよ、ぼくのおごりだ」。treat は「もてなし、おごり」で、It's on me. も It's my treat. も同じ意味です。




ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 116

2007-12-16 18:09:15 | ニューヨーク
 曖昧表現の3回目です。スキットの話が続いていますが、たいしたスキットではないので前回までのストーリーを思い出さなくても結構です……ははは、いい加減ですか?……でも、英語表現についてはマジメにやっていますからご心配なく。

 こうして見ると英語にも結構、曖昧表現がありますよね。同じ人間同士、人間味が感じられて、なんとなく安心します。

●Likely. / Most likely. / Yes and no.

 テニススクールの新女性コーチが美人なせいで、一挙10クラスを受講するというダレカさん(フィクションですよ、念のため!)。そのことを親身になって心配してくれる友だち、If she's such a beauty, I believe she has a boyfriend, or rather, she might have a husband.「そんなに美人だったら、彼女にはボーイフレンドがいると思うよ。それどころか、ダンナさんがいるんじゃないのかな」という忠告にそのダレカさん→ Likely. Most likely.「たぶん。いや絶対そうだろうなぁ」と、だんだん気弱になります。
 It is (most) likely that she has a boyfriend. を略した言い方。or rather は「いや、むしろ……だと言える」ですね。

 a beauty は「美人」のことです。boyfriend はふつう単なる友だち以上の関係について言います。ただの友だちだったらあえて男女を問わず friend(s) でいいわけですからね。Do you have a boyfriend?「ボーイフレンド、いる?」→ Well, yes and no.「う~ん、いると言えばいるし、いないと言えばいない」。

 これも曖昧表現ではあります。Tell me, yes or no!「いるかいないか、言いなさい!」は、聞いた側の嫉妬でしょうか……

●It's hard to say. / What if ...?

 What if she had a boyfriend?「もしいたらどうする気?」と問い詰められて、→ It's hard to say.「答えに窮するよ、よわったなぁ」……曰(いわ)く言い難し、ってとこです。What if ...? は前にも出てきましたっけ? 「もし……だったら」という英語らしい表現ですね。

 外資系保険会社のテレビコマーシャルでやっていましたね。What if I had broken my leg.「もし足の骨を折ったらどうしよう」とか。

●It depends.

 It's hard to say. と答えに詰まった彼、It depends.「状況によるさ」と気を取り直します。It depends. は前も出てきたと思いますが、ケース・バイ・ケースということ。It depends on the situation.「状況による(対応する)」という意味です。depend(s) on というふうに on とセットになります。

●Let me sleep on it. / I'll sleep on it. / cooling off / No refund, please.

 How can you find it out?「どうやってそれを確かめるんだい?」と友だちはたたみかけて追及します。ここでの it は「状況」つまり、ボーイフレンドがいるかどうか、既婚かどうかの「彼女の状況」になります。find it out は「見つけ出す」ことですから、「確かめる」の意味にもなります。

 これに対して彼、Let me sleep on it. と答えました。これは覚えておくといいですね! Let me sleep on it.「その件について、眠らせてくれ」が直訳ですが、「ひと晩寝て考えるよ」ということ。眠りながら考えるということではなく「ひと晩クーリング・オフの時間がほしい」ということなんですね。頭を冷やして考えてみる、というわけです。I'll sleep on it. とも言います。

 クーリング・オフ cooling off「冷却期間、払い戻し可能期間」は通販などでもおなじみですが、一度払い込んだテニス受講料はまず戻ってきませんね。

 なお、商品販売などでの注文解約、払い戻しについての規定のことを refund policy と言います。policy には「政策、方針」のほかに「規約、規定」の意味があります。No refund, please. とあれば「払い戻し(解約)はご遠慮願います」ということです。




ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 115

2007-12-09 18:30:41 | ニューヨーク
 CORRECTION! : 訂正!訂正! 前回重大な誤りがありました。結びで、♪You've got me under my skin. としましたが、♪I've got you under my skin. の誤りです。なんか変だなぁと一瞬引っかかりましたが、ちょうどそのとき A dog happened to bite my keyboard.(犬がぼくのキーボードをかじっちゃって)……ははは、犬のせいにするのは下手な言い訳の常套手段でしたね。笑ってごまかしてはいけない、大いに反省します。訳は同じで「あなたにしびれちゃった」。“けだし迷訳”になってしまいました。

 さて気をとり直して、“けだし”は「蓋し」で「ひょっとしたら、たぶん」の文語体ですが、“ひょっとしたら”の英語表現を前回のスキットに沿って引き続きやってみます。

 スキットのあらすじは……というほどのものではないけど……週一でテニススクールへ通う男性が急に週に10回くらい通うことにしたらしいのですが、その理由は美人コーチが教えるようになったから。で、テニスは上達するかもしれないけれど生活に困るようになってしまった、というものでした。

●Probably. / Possibly. / Perhaps. / Maybe.

 And do you really expect to improve your tennis?「それで、本当にテニスは上達するのかい?」と相手に聞かれた彼→ Probably, possibly, perhaps, maybe ...「そりゃもちろん、おそらく、できれば、そうなるかなぁ」。だんだんトーンが落ちていくように訳したつもりです。

 英語のテストではたぶん(?)これらの訳として「たぶん」でいずれも正解だと思いますが、ニュアンスの違いはあります。蓋然性(がいぜんせい=そうなることの確率、期待度)が高いのが probably で、後は徐々にトーンが落ちていって、maybe だとかなり自信がない状態。あえて数値化すると、80%、60%、50%、40%といった確率でしょうか。

●I guess so. / I suppose so. / I hope so.

 And do you expect to go out with her?「それで、彼女とデートできると思ってるのかい?」とたたみかけられて、I guess so ... I suppose so ... I hope so.「できるさ……と思うよ……願わくば」。これまたトーンダウンですか。go out は「デートに連れ出す」という意味から「デートする」になります。

●Could be. / Should be.

 Is she a single? How can you tell?「彼女、独身かい? 独身だってどうしてわかる?」には→ Could be ... Should be.「だろうよ……そのはずだよ」。「先入観」preoccupation にとらわれているようです。

 a single は「独身」、a couple は「夫婦、恋人同士」。ところで、DINKS(発音はディンクス)って聞いたことありますね? これは Double Income (with) No KidS の大文字部分を合成した造語(以前も触れましたが、acronym=アクロニム=頭字語と言います)で、「夫婦がそれぞれ働いていて、ダブルの収入があって子どもがいないカップル」のこと。

 かつて都会派のカップルをこう名づけたのですが、都会に限らず、現代日本の風潮はますますそうした傾向で、少子化が大きな社会問題になっています。

●I'm not sure. / It's not for sure.

 Can you keep your living after such a big expense?「そんなにお金使って生活できるのか?」→ I'm not sure ...it's not for sure.「わかんないなぁ……どうなるかなぁ」。living はこの場合「生計」です。

●Sort of. / Kind of.

 Are you spacing out?「頭、ぼぉーとしてるんじゃない?」→ Sort of ... kind of.「そうかも……一種そんな感じ」。やっとわかってきたみたい。I might be in a sort of spacing out. I might be in a kind of spacing out. の略です。

 space out は「字間、行間などのスペースを空ける」ことで「間の空いた、上の空」というスラング。
 このスキット、次号にも続きますので、いましばらくお付き合いくださいね。




ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 114

2007-12-02 18:47:32 | ニューヨーク
 あいづち、合いの手の話の続き。以前やりましたが「それっておもしろそう!」と合いの手を入れるときは Sounds interesting! がいいでしょう。It sounds interesting. をつめた言い方。
 こうした会話を盛り上げるあいづち、合いの手を改めてみてみます。スキット登場人物のいっぽうは週一でテニススクールに通っている男性です(これはフィクションであり、実在する人物にはいっさい関係がありません。念のため)。

●Okay.

 Okay. ……これだけ。Okay. も立派なあいづちです。突然ですが“あいづち”の語源を調べました。鍛冶屋(かじや)さんがトッテントッテンと二人で交互に灼けた鉄を打つ、そのときに相方が槌(つち)を入れる様子のことだそうです……ガッテン!

 Okay は「オーケー、了解」なのですが、やや疑問文調に語尾を上げて、「うん、それで?」という使い方もよくします。相手の話の合間に、鍛冶屋さん、またはキャッチボールのようにあいづちを入れます。

 I'm going to change my lifestyle to improve my tennis.「ぼく、テニス上達のためにライフスタイルを変える」→ Okay.「いいんじゃない?」→ I had a new coach.「コーチが変わったんだ」→ Okay.「それで?」→ She is so cute and well-shaped.「彼女、とてもかわいくてかっこいいんだ」→ Oh, it's she! ... Okay.「お、女性なんだ。それで?」→ I decided to take all her classes.「彼女のクラスを全部受けることにした」→ All her classes! Okay.「全クラスを!、それで?」→ I'm broken!「文無し!」。

 なお、Oh, it's she! の it's はコーチのことで、それが女性だというとき female とか woman では固すぎるので it's she. と代名詞にします。そうそう、赤ちゃんの男女、愛犬の雌雄を言い分けるときにこういう使い方をしますね。
 Well-shaped は「エクササイズやスポーツで健康的に整えた“バディ”」です。

●C'mon.

 ばかな話を聞いて「やめてよ、もぅ~」とあきれたら、C'mon. です(発音はカモ~ン)。Come on. の短縮形で、もちろんもともとは「こっちへおいで」ですが、「正気に戻っておいで」という感じで表現すればいいですね。

 C'mon, you must be joking.「やめろってば、冗談だろ」とかよく言いますね。

●Don't tell me. / Don't be silly.

 C'mon. と似た表現でもっとはっきり言ってやるなら、Don't tell me.「やめてよ、もぅ~」です。さらに、「ばかなこと言って、もぅ~」は、Don't be silly.

●That's too bad.

 スキットの、I'm broken! にストレートに That's too bad.「それはお気の毒」と反応するのは生真面目すぎますか。これは時と場合によっては「話にならないよ」という突き放した表現にもなります。
 で、テニスのために文無しという話を聞いて That's too bad. ならば当然、後者の意味合いになるでしょう。

●You've got me.

 その文無しの彼、That's too bad. と言われて、You've got me. と返す。「まったくだよ」と自責の念にかられているわけです。You've got me. は「ぼくをゲットした」で「正鵠を射た(射られた)」……はは、突然むずかしいことば……で「反論の余地なし、観念します」というわけ。

 You've got me. で思い出しましたが、ジャズに♪You've got me under my skin. という曲がありましたね。私の訳は「あなたにしびれちゃった」……けだし、名訳(自画自賛)。