つなぎの英語 ~NY NY 10016~

旅するように生活したニューヨーク。このまちで使い慣れた英語表現を紹介しながら、「NY的なるもの」への熱い想いを綴ります。

ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 77

2006-12-24 18:47:23 | ニューヨーク
 「めりくりです!」……ははは。こんな挨拶もおもしろいですね。ナウい?って言ったらさすがにバカにされましたけど。クリスマスカードはもらいましたか?(出しましたか?) 日本人の何パーセントがクリスマスカードをやりとりするのか、ちょっと興味があります。カード交換といってもいまは郵送だけではなく、E-メールはもちろん、インターネットを通じたカード交換もあるので統計はとりにくいかな? でも年賀状もそうでしょうが、クリスマスカードもやっぱり郵便が”らしい”ですよね。

 さて、前回「郵送で」は by Mail で、直接届ける封筒には表書きに by Hand と書き込むという話をしました。先日、郵便局で大きいサイズの写真入り封筒を送ろうと思って、Do Not Bend「折曲げ禁止」のスタンプ(はんこ)を押してもらおうと思ったら、そういうスタンプはないと言われました。アメリカですと表書きの書き込み(スタンプもある)はほかに、Air Mail「航空便」、Personal「親展」、Confidential「極秘事項」、Return to Sender「差出人戻し」などがあります。

 小包 parcel(またはpackage)などを送るときに日本では「天地無用」(逆さまにしないでください)の標示がありますが、これは英語ですと This side up となり矢印で top 側(上になる側)を示します。Fragile「壊れもの」はガラス製品や陶器などを送るときに使います。

 なお、切手は (postage) stamp、郵便料金は postage、速達は express mail、書留は registered mail です。郵便局は post office、郵便箱は mail box、郵便番号は ZIP code(ZIP は Zone Improvement Plan=配達地域改善プランの頭文字から)で、私のニューヨークの住所の ZIP code は5桁で 10016 でした(最近これにさらに4桁の細区分番号が追加されています)。

●C.O.D.

 アメリカで生活すると頭文字の略語を覚えないといけません。I.O.U.(I owe you.=きみに借りがある)とか B.Y.O.B.(Bring Your Own Bottle=レストランなどで酒は置いてないので、お酒持ち込み可)とか……例を挙げるときりがありません。

 ちなみにサスペンス映画でよく出てくる D.O.A. は Death On Arrival「病院などに運び込まれたときにすでに死亡」の意味です。
 こうした略語を acronym(アクロニム、アクセントはア)と言います。日本語にもなった radar「レーダー」もこの acronym で、元の英語は Radio Detecting And Ranging(速度測定装置)ですって!

 話がそれましたが、タイトルにある C.O.D. は、郵便小包の「代引き」(代金引き換え払い)で、Cash On Delivery から来ています(ランチとかの出前でも使います)。

●forwarding service

 日本もそうですが、引っ越しで住所が変わったとき、郵便局に引っ越し先を連絡しておくと郵便物の forwarding service「転送サービス」が受けられます。forward の元の意味は「前のほう」で、スポーツ用語でフォワードだと「前衛」ですが、ここでは「先方へ送り届ける」という使い方です。郵便のほかに電話の転送でもこの forwarding service が受けられます。

 ところで、電話番号案内サービス(日本は 104、アメリカは 411 です)は、日本の電話番号案内では番号を教えるだけですが、アメリカですと The number is xxx-xxxx と答えたあと、Would you like to connect the call?「このままつなぎますか?」と聞いてきて、Yes, please. と答えるとその番号を呼び出します。
 ふつうは電話をかけたいから問い合わせるわけですから、合理的なサービスですよね。この話をすると日本のみなさんは「あ、それはいいよね!」という反応でした。なぜ、日本はこのサービスをやらないのかな?

●U.S.P.S.

 もうひとつ、acronym をご紹介します。U.S.P.S. は United States Postal Service で「アメリカ郵政公社」です。私は渡米前アメリカの郵便事情について、届かないとか遅配が多いとか聞きましたが、実際に住んでみますと、ほぼ100%、完璧な集配達に信頼がおけました。十余年の間に1、2度だけ郵便物が破れかかって届きましたが、ていねいに郵便局からの詫び状が差し込まれていました。

 アメリカの一般社会で公務に携わる人々……警察官、消防署員、郵便配達員たちは誇りをもって仕事をしているように感じられました。アメリカでは一般職でも伝統的な職種は職業別組合の結束が結構根強いので、それぞれの職種に誇りを持つ人が多いようです。




ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 76

2006-12-18 21:12:44 | ニューヨーク
 松坂投手がボストン・レッドソックス入団決定ですか。レッドソックスとヤンキースの関係は、ベーブルースがヤンキースに引き抜かれて以来、日本で言えば、巨人vs.阪神=”犬猿の仲”です。メジャーリーグ・ファンの私としては来シーズンの楽しみがまた増えました。

 記者会見での松坂投手のさわやかな笑顔からは、いかにも野球少年の面影が色濃く感じられました。受け入れるポストンのレッドソックス・ファンにもかわいらしく映ったのではないでしょうか。たしかに松坂投手は童顔で、ゲーム中は表情を顔に出さないし、ピッチングフォームもきれいなだけに、メジャーのバッターには組みやすいと見えるかもしれない。だからこそ逆に、彼の剛球と鋭い変化球が活きてきそうです。

 ボストンは、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)を擁するいっぽう、大手金融機関が本社を構え、アメリカのエリート層の主流をなしてきたWASP(ワスプ=White Anglo-Saxon Protestant=アングロサクソン系白人新教徒)の本拠地でもあります。日本人で真っ向勝負の彼の活躍が、アメリカ国内でもややもすればスノビッシュ(snobbish:お高くとまった、鼻につく)な印象のボストンのイメージを変えるかもしれませんね(その伝で言えば、ボストニアンは東京人っぽく、ニューヨーカーは大阪人っぽいかもしれない。そう言えば、ニューヨークにいる日本人には大阪出身の人が多いように思います)。
 ほかにも日本人プレーヤーがずいぶん多くメジャーに挑戦していて、スポーツ界でも時代は大きく動いているようですね。

 もう昔話になりますが、伊良部投手がニューヨーク・ヤンキースにやはり記録的な契約金で入団したとき、ニューヨークのメディアはずいぶん大きく取り上げ、当時のジュリアーニ市長(大のヤンキース・ファンです)もさかんに期待を表明していました。でも、結果は……う~ん、ちょっと期待はずれでしたか。でも、その個性はよくも悪くも強烈な印象をニューヨーカーに与えました。

 私の伊良部投手への感想は、日本人プレーヤーにも”悪ガキ”っぽいのがいることをニューヨーカーに知らせたという意味で功績はあった(?)と思っています(アメリカでは日本人は顔が見えない=人はよさそうだけどなにを考えているのかわからない、個性がないという一般的な認識でしたから)。イチローや松井選手は優等生っぽいですから、バランスがとれるわけです……おっと、だいぶ前置きが長くなりました。

●somehow

 「伊良部ねぇ。どうもあいつを好きになれないなぁ」。ヤンキース・ファンのニューヨーカーのつぶやきです。このときの「どうも」はどう言えばいいんでしょう。そういうときは somehow がぴったり。Somehow, I don't like the guy. I mean, Irabu.(伊良部サン、ごめんなさい!) 

 「なんとかして締切りに間に合わせなくちゃ」というときの「なんとかして」も somehow が使えます。I have to meet the deadline somehow. この meet the deadline も英語らしい表現、「締切りに間に合う」です。

●kind of ...

 「まぁね、そんなとこかな」って言いたいときは、kind of が使えます。a kind of ... 「~の一種」というのは学校で習いましたよね。kind of は、たとえば Is it what you want to say?「それが言いたいことなの?」と突っこまれて、Uh-huh, kind of ...「まぁね、そんなとこ」とぼかしたいときに使えます。

●tons of

 「山ほどある」は、たくさんあることを大げさに言う表現。英語だと tons of ... になります。I had tons of ice cream, and now I feel sick.「アイスクリームをめちゃ食べちゃって、具合悪くなった」。
 なお、ton は重量単位(容量単位、積載単位、船舶の大きさとかの単位にもなる)で、メートル法では 1000kg ですが、アメリカ式単位だと 900kg ちょっとらしいです。ご参考まで。

●by hand

 帰国当時、仕事先から「その文書、メールしてください」と言われて、「あ、メールじゃなくて E-Mail で送っていいですか?」というやりとりをしたことがありました。日本では E-Mail することをメールすると言うわけですが、当時の私にはメール=郵送だったわけです。I'll send this by mail.「これを郵送します」というふうに、当然ですがアメリカでは by mail は「郵送で」の意味で、Eメールなら by E-Mail です。
 これに対して「直接私が届けます」というときは、I'll deliver it by hand. となり、文書などを入れた封筒の表書きの宛先の下に By Hand「手渡し」(受け付けなどに置いてくるとき)と書き込んでおきます。




ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 75

2006-12-10 19:41:35 | ニューヨーク
 クリスマス・シーズンです。ニューヨークはこの季節が一番美しいと思います。イルミネーションのことだけではありません。まさに美しいという言葉がふさわしい時節になります。その理由は……

 人々の心が愛に満ち、なごむからです。家族愛、夫婦愛、恋人同士の愛、そして人間への愛……人を想う心、愛がギフトの形になって贈り贈られ感謝しあう……日本では宗教色はなくクリスマス・シーズンが定着していますが、その原点を忘れないようにしたいものです。とくに子どもたちにその精神を伝えたいですね。そのときこそ、クリスマスは宗教を超えたイベントになると想います。

● gift / gifted

 「贈り物」は gift。present も贈り物。その使い方には違いはないのですが、強いて言えば、gift には改まった感じがあるようです。present のほうはカジュアルな感じ。クリスマスのような慣習的なイベントでは gift、誕生日など個人的なイベントでは present という使い分けでしょうか。gift wrap は「贈り物用にリボンなどをかけて包装する」こと。gift -wrapping 材料の専門店もありますね。

 A gift from the Gods は神々が与えてくれた「幸運」。また、She is a woman of many gifts. ですと「彼女は多芸多才な女性だね」というふうに「才能、適性(talent)」の意味にもなります。

 He has a gift for womanizing. だと……あ、これスラングですが「女たらしにかけては才能がある」。womanize は「女道楽をする」、womanizer は「プレイボーイ」のこと。はは、変な引用でした。

 gifted は「生まれつきずばぬけた才能がある」です。Ichiro is a gifted all-round baseball player.「イチローはずばぬけた万能野球選手だ」。all-round player を all-rounder とも言うようですね。

● keep your chin up!

 ニューヨークで同時多発テロがあったとき、現地からの報道はよく、resilient「回復力のある」という表現を使っていました。ニューヨーカーを励ますときによく使われました。New Yorkers are resilient.「ニューヨーカーはタフだ」…… ダイ・ハード die hard ですね。

 同じく励ましのことばに、Keep your chin up!「ハイ、あごを上げて!」があります……あごを上げれば自然と胸を張ることになりますから「(誇りを持って)元気を出して!」ということになります。

 chin で思い出しましたが、chin music ってなんでしょう? はは、メジャーリーグ中継でアナウンサーが言ってました。ピッチャー投げました……あぶない! バッターのあごすれすれを通るボール! He should have listened to the chin music.「バッターは、あごをかすった音(たぶんチーンという音楽=音)を聴いた気分でしょう」という意味ですね。なかなかおもしろい表現だと感心しました。

● "Ho Ho Ho!"

 サンタクロース Santa Claus はやってくるときに "Ho Ho Ho!"「ホーホーホー!」とかけ声をかけますね。この "Ho Ho Ho!" を小さな子どもが怖がるのでやめてもらった、という話題があります。ニュージーランド・ウェリントンのあるショッピングモールでの話。真っ赤な服と大きな身体、たっぷりふさふさの白いあごひげ……この風体で "Ho Ho Ho!" だと、幼児には怖いらしいんです。

 日本でも、サンタを見て泣き出す子がいるのをテレビニュースで見ました。秋田のなまはげみたいに見えるんでしょうね。でも、なまはげって、幼児虐待 child abuse っぽいと思うのは私だけですか?(秋田の方、ごめんなさい。でもトラウマになる子どももいそうですけど)

 あ、ついでに幼児虐待でひと言。ママチャリで幼児を乗せている風景(それも幼児一人だけじゃない、前後に二人も!?)は、アメリカだと幼児虐待(幼児を危険な状態に放置している罪)で訴えられるんじゃないかと思いますよ。帰国してからずっと気になっています。

● That's the way it is.

 サンタさんでも子どもにはかないませんね。That's the way it is. は「世の中万事、そんなもんだ……」ってな感じです。the way は「道、方法」ですが、ここでは「あり方、やり方」。it はここでは「真理、道理」を表わす代名詞です。If that's the way it has to be, then that's the way it is. 「そういうことなら、それもいた仕方ないこと」。諭(さと)すとき、慰めるとき、達観したとき(?)のひと言、覚えておきましょう。

 Wishing you a Merry Christmas and the best of everything in 2007! (年内まだやりますけど、とりあえずクリスマスのご挨拶です)。




ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 74

2006-12-03 10:31:58 | ニューヨーク
 I AM BACK! ……退院しました! 私の半生での大イベント event(大事件。eventは災禍の場合にも使います)のひとつとなるほぼ6週間にわたるDL=disabled list(メジャーリーグなどで登録選手がケガ・病気などで”故障者リスト”に載ること)からのカムバックです。お蔭様で通常生活に戻り、職場復帰、テニスも再開しました。本日から「つなぎの英語」も再開させていただきます。

 ご心配いただきましたみなさまに心から深謝申し上げます。今回の一件では、改めて健康のありがたさ……というより、健康面で多少のトラブルはあっても、通常生活を送れる健康レベルであれば、それだけでありがたいことだということを身にしみて実感しました(ほかに持病もありますので)。
 実際、入院時に病院へ向かうときの私の目には、周囲の人たちはもちろん、街を行き交う見ず知らずのみなさんが輝いて見えましたし、これまでの生活の反省とともに「無事退院の暁にはよりよく生きたい」と熱望しました。いまはその5週間前の”初心”を忘れないように心がけたいと思っています。ということで、では再開……

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 クリスマス Christmas (Xmas)の時期になりました。感謝祭 Thanksgiving Day(11月の第4木曜日)の後からクリスマス・デー(12月25日)までの約1カ月は Christmas Holiday ですが、アメリカは多民族国家でキリスト教以外の宗教の人々も多いので、Holiday Season と呼ぶことが多いようです。ユダヤ教の「ハヌカー祭」Hanukkah やアフリカのお祭り「クアンザ」Kwanza もこの時期に当たります。
 グリーティングカードの交換が盛んに行なわれる時期ですが、最近はアメリカでも差出人 sender の住所氏名を封筒にきちんと書き込んだり印刷するようになっているようです。

 あ、そうなんですよ。アメリカでは私信の場合、封筒の表書に差出人名を入れないのが一般的でした。せいぜい住所を入れる程度なんですね。アメリカの郵便配達もかなりの高い精度で正確に配達されますから、封筒に差出人名を入れないのは、たぶん、プライバシーを優先させる習慣からだと思います。でも、9・11同時多発テロ(2001 Terrorist Attacks)や炭疽菌テロ事件(2001 anthrax attacks)があって、透けて見える封筒を使ったり、差出人を特定できるように表書に差出人名を入れるケースが増えました。

 そう言えば、日本では表札が普及していますが、表札はおそらく、アメリカ人から見ればカルチャーショックだと思います。誰が住む家なのかを堂々と公表しているのはプライバシーを公開しているようなものかもしれません。家族全員の名前を掲げている表札もありますよね。アメリカの住宅では、表札代わりにアドレスだけを表示しています。安全神話が崩れ、個人情報保護に関心が高まる日本でも、表札を掲げることに疑問を持つ人が多くなってきたのではないでしょうか。

●wining and dining

 日本のこの時期は忘年会シーズンですね。忘年会って命名からしていかにも日本的な発想で、日ごろの親交を暖めあい、また忙しい師走のうっぷん晴らしでストレス解消……生活の知恵ですよね。英語ですと、「気前よく飲み食いする」ことを wine and dine と言います。What about to have wining and dining on next Friday?「今度の金曜、パァーっと飲(や)るっての、どう?」。そう、パァーとやるって感じ……(What about の発音を、ホワッラバウト、としてください)。

●food & beverage (F & B)

 日本語でも「飲食」とひとまとめにします。英語ですと、food & beverage(略して F & B)です。ホテル・レストラン業界でよく使いますが、レストラン・バーの部門のことを F & B(エフ&ビー)と称します。beverage は「飲料」のこと(発音は、ビヴァレッジ。ビにアクセント)。

●to be social / social drinker / socialize

 忘年会などはよくも悪くも“おつきあい”要因も十分ありますよね。この“おつきあい”はしかし、社会生活を営むうえでの潤滑油でもあることはたしかです。わりと合理主義と思われる英語でもちゃんと“おつきあい”の表現はあります。
 You have to be social to get along with them.「皆さんとうまくやっていくには“おつきあい”も大切だよ」。get along は「うまくやる」。social は「社会的な」というお堅い意味ですが、同時に「人と人の間をとり持つ(人が二人以上集まると社会を形成しますから)」ということです。

 He is a social drinker.「彼、つきあい酒がうまいね」……はは、いろいろな意味が含まれているみたい。ニューヨークのレセプション(パーティ)で日本企業の駐在員はほとんどウイスキーの水割りを飲んでいました。彼らはたぶん social drinker なんですね。水割りならほどほど、酔わないで仕事(パーティ)をこなせますから。

 なお、動詞の socialize も使えますね。辞書には「社会主義化する、国有化する」とか出てきますが、もっとくだけた意味にもなります。What? Are you socializing with her? No way!「なぬ? 彼女とねんごろだって? やめてよ!」