つなぎの英語 ~NY NY 10016~

旅するように生活したニューヨーク。このまちで使い慣れた英語表現を紹介しながら、「NY的なるもの」への熱い想いを綴ります。

ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 30

2005-09-25 15:49:21 | ニューヨーク
 "English as a First Aid" 「応急処置の英語」の続編。アメリカ人は薬好き、ビタミン好きだと言われますが、この背景には医療費の高騰という社会問題があります。そのため政府が率先して Self-Medication「自己治療」運動(健康を自己管理し、軽い病気は自分で直す)を推進していて、積極的に処方薬を大衆薬に転換しています。規制緩和、自己責任の考え方はここでも貫かれているわけです。その受け皿として、医薬品販売を行うドラッグストアは、現代アメリカを象徴するように発展してきました。

 大型ドラッグストアだと、中は雑貨屋さんみたいな雰囲気で、めざす品がどの棚にあるか慣れないと混乱してしまいます。
 商品探しのコツは、まず天井から吊るしてある掲示板をゆっくり眺めて見当をつけること。また、日常的ではない英語も出てきますので、そういう単語にちょっと慣れておくことです。以下、そのサンプル。

●Oral Deodorant は「口臭除去」。
●Antacid「制酸剤(消化薬)」。
●Hygiene「衛生用品」。
●Ethnic これはアメリカならではの標示で人種固有の商品コーナー。たとえば髪質に応じたヘアケア類などです。
●Dressing ってなんだと思います? サラダドレッシング?……じゃない。ここでは「包帯」です。

 こうしたドラッグストア英語に慣れてくると、店内がすっきり見えてきます。
 次に、市販のカゼ薬の人気ブランド「Thera Flu」(Thera は therapy「治療」から、Flu は「風邪」)でラベルの読み方を見てみます。まずパッケージの読み方。パッケージの表面に印刷されている文字は……

●Non-Drowsy Formula。「眠気を催させない製法」になります。drowsy「眠気」。
formula「フォーミュラ」ということばはよく聞きますね。「公式、規格」ですが、ここでは「製法」。
●Pain Reliever-Fever Reducer とあります。「鎮痛、解熱剤」です。
●Nasal Decongestant は「鼻づまり緩和」です。鼻づまりなんて、英語で言いにくいこばですけど、こういう薬を通じて覚えていきましょうか。nasal のもとはご存知 nose ですけど、nasal はとにかく「鼻」にかかわる英語で出てきます。
●Cough Suppressant これはちょっとむずかしく見えますね。cough は「咳」、suppressant は「抑止」で「咳緩和」、suppress「反乱などを鎮圧する」ということばから来ています。
●EXP.10/2005 箔押しで印字されているこの文字は有効期限のこと。EXP. は Expire「期限が切れる」の略です。この製品は「2005年10月まで有効」ということ。

 次に、パッケージの裏面に細かい文字で印刷してある薬効、注意事項などの英語。

●Indications これは「適応症や効用など、この薬の説明」です。
●Directions for Use 「服用法」です。成人および12歳以上の子どもは6時間おきに2カプレット(2錠)服用とか書いてあります。12歳未満は医師に相談するのが普通です。
●Warnings 「注意」。ここには「この薬を子どもの手の届かないところに保管すること」とか、「めまいや不眠など副作用を感じたら服用を止め医師に相談すること」など注意事項がきめ細かく書いてあり、さすが訴訟社会アメリカを感じさせます。

 ちなみに、薬の形状は、Tablet「普通の錠剤」、Caplet「飲みやすいように錠剤にコーティングしたもの」、Capsule「飲むと溶けるコーティングのなかに薬を入れたもの」、Gelcap「カプセルのなかに吸収を補助するため半液ジェル状にした薬が入っているもの」などがあります。また、薬の強さは、Regular → Extra Strength → Plus → Maximum Strength の順で強くなります。薬でも飲んでおくか、程度でしたら Regular で十分でしょう。
 アメリカ製の薬は日本にも多く入っています。日本で知られるブランドを探せば安心ですね。




ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 29

2005-09-19 18:28:30 | ニューヨーク
 「つなぎの英語」はたぶん百回以上続けられると思っていますが、今回もちょっと道草して、特別編 "English as a First Aid" にします。First Aid は「応急処置」のことで、アメリカ(ニューヨーク)でちょっと体調が悪くなった、軽いけがをしたというときに、どう表現し、だれに相談したらいいか、「応急処置の英語」というわけです。事態が深刻な場合はもちろんしかるべき処置が必要で、生兵法(なまびょうほう)は大けがのもとですのでご注意。

●I have a stomachache.

 具体的にどこか痛いとき、たとえば胃なら I have a stomachache. または I have an ache at my stomach. 頭なら I have a headache. 胃痛も頭痛もワンワードで(数えられる名詞で a が要ります)。
 ところで痛みの種類もいろいろ。一般的には a pain か an ache(発音は”エイク”ですね、念のため) で通じますが、参考までに、ヒリヒリする痛みは sore(発音はソア)、刺すような痛みは sting です。

●I feel sick.

 体調がすぐれないなどは、一般的には I feel ill. とか I feel bad. です。吐き気のような気分の悪さは I feel sick. と言えばいいでしょう。vomit は「吐く、吐くこと」。旅客機の シートポケットに紙袋があってそれに確か vomit という言葉が印刷されてあると思いますが、このことば自体はややお硬い言い方。ま、sick bag でいいのかな? 口語的には I had thrown up, last night.「昨夜、吐いてしまいました」とか。なお、nausea(発音はノーズィア)は「吐き気、船酔い」の意味です。
 別な言い方をすれば、I can't keep anything down.「どうしても戻してしまう」。胃に納めておけない、という言い方です。

●I feel dizzy.

 あってほしくないけど、いろいろ体調の変化ってありますよね。I feel dizzy.「ちょっとめまいが」。I've got a cold sweat.「冷や汗が出ます」。I passed out.「意識を失ってしまった」……こうなると、ちょっと変調というわけにはいきません。

●Pharmacy/Drugstore

 旅行中でしたら、ホテルの Concierge「コンシェルジェ、相談係」に連絡(もちろん、ホテルの誰でもいいからまず連絡)。自分で薬局へ行くのなら、一応、英語表現を予習しましょう。薬局 Pharmacy(発音はファーマシー)では prescription「処方箋」がないと買えない薬と一般薬を扱っています。

 よくアメリカの薬は強いから不安、と言います。確かに、体力(体重とか体格とか)が違うのでそういうこともあり得ます。変な例ですが、ニューヨークの場合、飲酒運転の基準は体重別になっているはずです。たとえばカンビールを飲んでいたとして、体重が重ければ1本はOKとか(不確かな記憶で書いていますのであくまで参考)。
 でもこれには、日本では処方箋が必要でもアメリカでは要らないとか、行政基準の違いもあります。人それぞれが薬との相性もあり、副作用の事例は基本的には日本と同じようですね。

 便利なのはドラッグストア Drugstore。日本もアメリカのドラッグストア方式が普及していますね。ドラッグとありますが、市販薬はもちろんビタミン剤から口紅、パンスト、トイレットペーパー、チョコレート、スナック類、飲料、電池、フィルム(そのプリント)まで、必要な人に必要なものをというお店ですから、旅行者にも大変便利です。

 ドラッグストアなどで薬を買うときは、ラベルの読み方に慣れておくべきでしょう。次回は、アメリカの市販薬のラベルの読み方をご案内したいと思います。



ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 28

2005-09-10 18:14:10 | ニューヨーク
 もう9月も半ばになってしまいましたね。でもまだまだ東京は暑いですね。選挙戦もこの暑さを煽っているようですが。
 私など、ニューヨークで9月の声を聞くと、はるか遠い思春期のころを思い出したもの。甘く辛(から)かった初恋……なぁんて。9月のニューヨークは朝晩はぐんと涼しく、秋の気配のなかに冬すら予感させる空気が張りつめる日も顔をのぞかせ始めたものです。

 そんな9月のある夜、こんなバラードに聴き入ることもありました。今回は、ちょっと迷いましたが、趣向を変えて、愛の「つなぎの英語」……です。

●Thank you love (Lena Horne & Michel Legrand, music by Robert M. Freedman)

This morning when I turned to look at you I had to do what I always do
I kissed your sleeping eyes gently
My way of saying thank you love

And when you woke up and you looked at me
What did you see what you always see
You took me in your arms warmly
Your way of saying thank you love

And through the day although we have our silly other world kind of things to do
In my own way I know that I can only really be when I'm with you

And now it's evening and you're here again
How wonderful it is to be near again
To know I have the right to show you
My way of saying thank you love

Day after day there is glowing of a happiness wonderful and new
And so I say I know that I can only really be when I'm with you

And now it's evening and you're here again
How wonderful it is to be near again
To know the meaning of together to share the joy of who we are
And in a little while we'll have our way of saying thank you love

 リナ・ホーンはニューヨーク生まれの混血(白人と黒人の)女性ヴォーカリストでビッグスター、ミシェル・ルグランは「シェルブールの雨傘」で知られるパリ生まれの作編曲・指揮者。この曲は1975年にニューヨークで録音されました。日本では、BMGジャパンからCDアルバムで入手できましたが(2、3年前でしたけど)。

 この曲、夫婦(と解釈しましたが)の情愛を歌っていて、大変美しい曲です。若い人の恋や失恋、激しい愛の歌などは数多くあり、その”絶頂期”を歌っていますが、安定した日常的な男女の愛を穏やかに歌い上げた曲はあまりありませんよね。だからこそ、年配の方はもとより、若い人にもお薦めしたいのです。
 バックのオーケストラが奏でるストリングスとリナ・ホーンの情感豊かなヴォーカル。きれいではなく、まさに「美しい」ということばがふさわしいと思います。
 歌詞のおおまかな意訳を記しておきますが、曲を聴けば、すべてのフレーズが心にしみいるようです。

「朝、目覚めてあなたにそっとキスする。あなたも目覚めて私を抱きしめる。それが私たちの愛への感謝のしかた。それからその日は二人それぞれすることをして、夜になるとまた二人。ふたたび私のしかたで愛への感謝をあなたに伝えることは、私の存在の証(あかし)。こうして日々、幸せがその輝きを増していくのがわかる。いままた夜。あなたはそばにいる。私たちが共に生きる意味を知り、生きる歓びを分かち合えることがこんなにすばらしいなんて。そう、ふたたび私たちのしかたで、愛に感謝する」




ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 27

2005-09-04 18:41:34 | ニューヨーク
 前回に続きメジャーリーグの話題(野球に関心のない方、ごめんなさい。でもできるだけ日米文化の比較を織り込みたいと思ってます)。

●walk/dead ball

 和製英語に気をつけましょう。結構、落し穴が多いですから。「ナイター」(夜間試合)がみごとな和製英語であることは知られています。英語は night game。「フォアボール」(四球)も和製英語で、英語だと walk です。投手が投げたボールが打者に当たったら「デッドボール」と言っていますが、英語で dead ball は「プレイ外のボール、無効球」(ファウルになったボールとか)を言います。ですからその直訳である「死球」は本来、投手が打者にボールをぶつけた結果としてボールが dead ということ。日本語のデッドボールは英語で hit by a pitch です。

●sixth inning/six innings

 細かく言うときりがないほど、和製英語がまかり通っています。その原因は、メディアがいい加減に英語を使ってしまうからでしょう。日本のテレビのプロ野球中継を聞いていると、あれっ?て思う新(珍)英語がアナウンサーからよく出てきます。以下の例は実際に私が聞いたアナウンサーの英語表現です。
 「試合の主導権をグリップ(?!)していますね」(民放)……不自然でしょ!「握っている」じゃだめなの? 「シックスインニングスめに入りました」→「ス」を取る、または「シクススインニングに……」(いずれもBS放送=NHK)。揚げ足取りみたいですが、「スリーインニングは抑えました」→「スリーインニングスは……」。こういうの「6回めに入りました」「3回は抑えました」でいいのに。気になったときにメモしちゃいます。メディアが注意して言葉を使わないと、英語も日本語もいい加減になりそうですね。

●Enjoy boy's dream.

 ゲーム開始前の選手紹介などのときに球場のバックスクリーンに詩のような字幕が現われます。たとえば、Enjoy boy's dream. とか。「少年の夢を楽しもう」といった意味。男の子は、メジャーリーガーに憧れるもの。大人になっても、そのころの夢を楽しもうよ、ということ。メジャーのテレビ中継も、基本的にその精神で放送していますね。憧れの選手のプレイをより鮮明に印象づけることが野球放送の使命。ですから、アナウンサーも解説者も徹底的に選手をほめます。打たれた投手を責めるのではなく、打った打者をほめる。その点……言わずもがな、日本のプロ野球中継は聞いていて気が滅入ることが多い。

 そうなる理由は実は明白なのではないかと私は思います。日本のプロ野球解説者は現役を引退したばかりの人たちがほとんどです。もちろん、彼らは現役時代は大活躍していますが、そういう人たちが後輩を批評するわけで、しかも自分の名誉は守りたいわけです。構造的に辛口批評になるようになっているわけです。

 子どもたちの憧れの選手がエラーとか凡打したときの気持ちを、日本の解説者はもう少し考えるべきではないでしょうか。次代のファンを育てるためにも。いえ、子どもたちだけではなく、プロ野球でストレスを解消したいという大人たちのためにも。戦略の有無が問われます。日本のプロ野球にも構造改革が必要な理由でしょう?

●Jeter, I love you. Will you marry me?

 球場に詰めかけたファンたちがプラカードにメッセージを書いてふりかざしています。アメリカの場合、その文句が楽しい。日本だと「必勝」「怒涛」「命○○○○(選手の名)」「頼むぜ番長、兄貴」といった幟(のぼり)がほとんど。でもメジャーリークですと、Jeter, I love you. Will you marry me?「ジーター(ヤンキースの若手スーパースター)、愛してるよ、結婚して」とか、Mike for President「マイク(マイク・ピアッツア。メッツのスーパースター)を大統領に」とか、ユーモアとか時事(大統領選挙渦中のときなど)を織り込んだウィットに富んだメッセージを競い合っていましたね。これなども、野球の楽しみ方の違いを痛感させられます。