つなぎの英語 ~NY NY 10016~

旅するように生活したニューヨーク。このまちで使い慣れた英語表現を紹介しながら、「NY的なるもの」への熱い想いを綴ります。

ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 88

2007-03-25 14:47:21 | ニューヨーク
 今朝、9時42分ごろ、能登半島を中心に大きな地震が発生しました。広域で揺れたようですが、この地方の読者がいらしたら”お見舞い”(でしょうか)申し上げます。

 日本は本当にいつどこでも大地震は起こりますね。今回の地震も、あまり地震活動は活発ではないとみられた地方で起こりました。でも、日本はもともと地震(地殻)活動でつくられた島国であり、100年や200年程度の経験的時間感覚では計れない……つまり人間の時間感覚を超えた自然現象だと思えば、いつどこで大地震が起こっても不思議はないわけです。

 日本は戦後から高度経済成長期を経て90年代までの約半世紀、大きな地震を経験せずに都市化が進み、発展してきました。ところが阪神・淡路大震災で、都市化の脆弱性が露呈したと言われます。また同時に、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)あたりから、日本(とくに西日本)は再び地震の活動期に入ったとする地震学者が多いそうです。
 また、近年の日本での大地震発生分布を見ると、南関東地域がちょうど地震”未発生”の空白地帯となっており、そのいっぽうで首都直下地震の切迫性が指摘されています。

 社会心理学では、災害が起こっても「自分だけは大丈夫」と他人事のように受けとめる心理を『正常化の偏見』normalcy bias というそうです。また現代人は、本来動物が本能的に持つ「危険を感じ、遠ざける」”嗅覚”的な察知能力が衰えていると言われます。
 防災も国や行政にまかせるのではなく、私たち個人の危機管理の問題として、動物的な”嗅覚”を駆使した日ごろの防災・減災対策が大事だと思います。

 少しでも身の回りのハザード(hazard=危険要因)を取り除くことで、被害リスクを減じることができます。家庭内はもちろん、まちの危険箇所も日ごろチェックして、まちぐるみの安全対策を考えることが大切ではないでしょうか。

 ご自宅の所在地を聞かれたあなた…… My house is located so close to the epicenter of earthquakes.「私の家は、地震の震央のほど近くにあります」と応えて間違いではないはずです(epicenter=震央)。

●so close

「惜しい!」って叫びたいときってありますね。ゴルフでボールがホールのカップをなめたとか、競馬のハナ差とか、釣った魚に逃げられたとか、滑り込みタッチアウトとか、宝くじで組違いとか……はは、かすりもしないことが常ですけど。

 That was so close!「ったくぅ、惜しかったなぁ」が、so close です。close(発音はクロウス、と濁りません)はもとの意味は「接近、近い」でしたね。ちなみに、競馬の「ハナ差」は by a nose で「ハナ差で勝つ」は win by a nose です。close call は「僅差の判定」。

●narrow

 narrow も close と同じような意味で「狭い」ですが、「もう少し、もうちょっと」という意味でも使います。a narrow victory というと「僅差の勝利」というわけです。
 この narrow は副詞形でもよく使われます。I could narrowly escape the accident.「危ないところで事故を免れた」というふうに。

●nice try

 「惜しい!」の変形に、nice try! があります。これは狙いはよかったけれども結果だめ、でも「よくやった、惜しかった!」というとき。テニスでネットに詰めた相手の横を抜こうとしてパッシングショット、わずかにラインオーバーしてアウト…… Nice shot, nice try!「いいショットだった、狙いもよかったけどね!」ってな感じ。

 なお、そのショットがややそれてアウトしたら、It was a little wide.「ちょっと外へそれちゃった」。この wide は「外へそれる」という使い方です。

●another one

 バーで(突然の話題転換…… try で思いついたので)、I'll try another one. だと「趣向を変えてちょっと別な酒を試してみよう」。カクテルの利き酒かなんかで、バーテンダーに Let me try another one. と言えば「ちょっと別なカクテルを味見させて」ということ。ただ、これは状況によっては「同じものをもう一杯ちょうだい」にもなりますね。その場合、Give me another one (of this), please. が自然ですけど。

●one more round

 そのバーでカップルで一緒に飲んでいて、二人が一致して「同じものをもう一杯ずつ」と追加注文をするときは、The same one (cocktail), one more round, please. と言います。one more round は「同じものをもうひと回りちょーだい」ということ。もちろんレストランなどでも、二人以上、グループで同じ料理を再オーダーするときにも使えます。One more round of gyoza, please!「餃子おかわりくださ~い!」。

●help yourself

 Help yourself and enjoy!「ご自由に食べて楽しんで」……いろいろな大皿料理をテーブルに並べたブッフェ buffet(立食)パーティでホストがゲストにこう呼びかけます。help yourself は「自分を助ける=セルフサービスで」から「どうぞご自由に」。

 似た表現に Make yourself at home.「(自分の家のように)お気楽に」がありましたね。このように yourself とか myself など英語の再帰代名詞は大変便利です。再帰代名詞などとこむずかしく覚えるのではなく、Help yourself. とそのまま覚えたほうがよほど親しめますね、うん…… So, I'm talking to myself. ……「と、ぼくはひとりごちている」。




ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 87

2007-03-18 18:49:14 | ニューヨーク
 英語の諺にこんなものがあります。May God defend me from my friends, I can defend myself from enemies.「友から私を守りたまえ。敵なら自分で守れますから」……。
 利害関係がはっきりした他人よりも、友人が扱いにくいということがありますね。友人との”しがらみ”で、言いたいことも言えない、つい不本意な同意や行動を余儀なくされる……といったケースがあります。

 ニューヨーク生活では、言葉の障壁からニューヨーカーと意見や考え方が違っても「まぁ、いいか(面倒くさいや)」と妥協することもありました。それでも人間同士ですから感情がぶつかることもあって、英語で口ゲンカができれば英語力も一人前だと、私もがんばった(?)こともありましたね。

●just in case

 寝入りばなに友だちのメアリーからあなたあてに突然の電話 …… I have to wake up early tomorrow morning. Will you give me a morning call at six, just in case?「明日朝、早起きしなきゃいけないの。念のため6時に目覚ましコールしてくれない?」。
 頼まれたあなた、寝ぼけながら OK, but just in case, will you call me just before six?「いいわよ。でも念のため、6時ちょっと前に電話してね……」。

 just in case は「万一の念のため」で、前回の just to be sure は「事実確認の念のため」の違いですね。

●How dare you ...?

 でも、寝入りばなを襲われたあなたは、How dare you ....? Why do I have to wake up before six?「よっく言うよ! なんで私が6時前に起きなきゃならないの?」って怒るかも。How dare you ...? は、How dare you say such a thing? で「よくそんなことが言えるわね」。

 How dare! だけなら「よくまぁ!(絶句)」という感じ。dare は「あえて……する」で、発音はデア(my dear ... のほうはディア)。

●go too far

 「親しき仲にも礼儀あり」。英語では The courtesies matter, even between friends. と固い表現になりますが(matter は動詞で「重要だ」)、“自己チュー”をたしなめるときは、You go too far. 「あなた、やりすぎよ」がぴったり。You went too far. だと「やってくれたわね」……リベンジがありそう。

●I can't stand it anymore!

 だんだん険悪な雰囲気に……「もうっ、こんなのイヤ!」は、I can't stand it anymore! です。この場合の it は「こんな状態、関係、環境、生活」。stand は立ってこらえることから「我慢する」になります。

●dos and don'ts

 「やっていいこと、悪いこと」つまり「べしとべからず」をまとめたマニュアルを Dos and Don'ts(do、don't の複数形)と言います。Mind your dos and don'ts!「やっていいこと悪いこと、あるでしょ!」。

●It can't be helped.

 やさしいあなたのことですから、妥協してみましょうか。It can't be helped. は文字どおりだと“救いようのない”ですが、そこまで深刻でなくても、あきらめっぽいことであれば、It can't be helped.「しようがない」「ま、いっか」とまで譲る表現になります。OK, I'll call you at six, tomorrow morning.

●I'm counting on you.

 Really? I'm really counting on you. Then, go to bed. Good night! ... (click!) 「ホント? 頼りにしてる。もう寝て。おやすみ!」……メアリー、ガチャン(click!)と電話を切る。

 これじゃ思わず shrug(肩をすくめるしぐさ)しちゃいます。count は「数える、数に入れる」で、count on「頼りにする」。
 はは……妥協も必要でしょうが、この友人関係、長くは続かないでしょうねぇ。




ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 86

2007-03-11 19:16:25 | ニューヨーク
 3月に入って逆に寒さがぶり返していますね。3月は March、日本では「弥生」(陰暦3月で、新暦ですと4月中旬)で桜の季節。ところが英語のふるさと英国では3月は意外に厳しい季節らしくて、March winds and April showers bring May flowers.「3月の風と4月の雨が5月の花をもたらす」とか、March comes in like a lion and goes out like a lamb.「3月は獅子のごとく暴れ来て、子羊のごとく過ぎ行く」という諺(ことわざ)があるそうです。

 ところで突然ですが、9月= September の "sept-" は語源的にはラテン語から来て「7」= seven を意味していたんですって。英語の辞書を見るとたしかに、septangular は「七角形」とあります。ん?…… 10月の October の oct- は……そう、octagon = octangle「八角形」、octopus「タコ(足が8本)」、octave「音程の8度、オクターブ」でこれは「8」。じゃあ、11月の November はひょっとして…… novem(ラテン語= nine)で「9」。12月の December は? これも実は dec-(ギリシア語の deka)から来ていて元は「10」を意味します。decade「10年間」、decimal「10進法の」、ボッカチオ作 The Decameron「十日物語、デカメロン」に通じるわけです。

 それ以上は私の手に負えないのですが、つまり、ローマ時代の暦は1年は10カ月でもともとは March から始まっていて、だから March 以降はいまの月数より2つずれているんですって! January「1月」と February「2月」はあとからつじつま合わせのように付け加えられたというわけなんですねぇ。

●So much for ...

 実は最近、小学生や中学生に英語を教える機会があって、子どもたちが月とか曜日を覚えるのに苦労するシーンに出くわしました。私もどうやって覚えてもらおうかと考えているうちに、あれ?……と、9月以降の月の呼び方に疑問を持ったのでした。私の多少の英語の知識から、その原義的なものと月数の呼び方の矛盾を発見したわけです。

 やれやれ…… So much for it, we'll be back to our lesson.「この話はこれくらいにして、お勉強に戻りましょう」。話題転換、so much for ... は「……の話はこれでやめ」と話を切り上げるときに使います。

●Now, ... / Well, ... / By the way, ...

 So much for ... は「切り上げて」のニュアンスが強いのですが、Now, we'll back to our lesson. の Now, ... は「んじゃ、……」という感じ。Well, ... も似てて「さてと、……」ですね。By the way, ... は、その話はいったん切り上げたものの、「ところで……」ということで、前の話の脈絡で出てくることが多いですね。

●just to be sure, ...

 しつこいようですが、Just to be sure, "January" comes from a Roman God Janus, known as a guardian of doorway with faces on his forehead and backhead.「念のために言っておきますと、January というのは、頭の前後に顔を持つ門の守護神として知られたローマ神話のヤヌス Janus から来ていましてね……」。just to be sure, は「付け加えて確認しておくと……」ということ。

●and so on / and so forth

 「じゃあ、2月 February はどうなの?」と突っ込まれると困ります。私の手元の資料ではそのへんの語源とかはよく分かりませんので(この時期に行なわれる宗教的な清めの儀式に由来するようですが)、And so on and so forth ...「そんなこんななんですねぇ~」とごまかさざるを得ませんね。and so on は「そんなこんな……」、and so forth も同じ表現です。

 それぞれ単独で使えるのですが、これを重ねると「そんなこんななんですねぇ~」。はは……今回は申し訳ありませんが、曖昧表現で終了しちゃいます。




ニューヨーク・スタイル「つなぎの英語」NO. 85

2007-03-04 21:14:11 | ニューヨーク
 先週お休みしてしまいました。休載のお知らせは事前にはできにくいですね。「直前までアップするつもりでいて、できなかった」というケースがほとんどですから。そういうことがあることを事前にお断りし、お詫びしておくことにします。

 さて、突然ですが、ブッシュ大統領がだいぶ前に、the State of the Union (address) (米大統領が年頭に議会に対して行なう国政報告演説。日本のお役所訳だと「一般教書」)で、Axis of Evil「悪の枢軸」と、テロリスト支援国家を非難したことがありました。この表現は日本でもお馴染みになりましたね。その後は「ならず者国家」Rogue States という表現もありましたね(大統領の言葉とは思えませんけど)。

 axis「枢軸」は、第2次世界大戦の日独伊枢軸(同盟)the Rome-Berlin-Tokyo Axis という固有の呼称からの引用なんだそうですが、知っていましたか? この表現を聞いたとき、当時を知る日本人(そういう英語表現を知る日本人)は、ドキッとしたんでしょうね。日本のマスコミは、そういう言葉の背景をきちんと伝えたでしょうか……知ると知らないでは大違い、Axis of Evil がアメリカ国民に、条件反射的にかつての日本を連想させたかもしれなかったわけです。

 言葉の背景には深いものがありますね。ということで、英語の「知る」も厳密に言うと……

●know / learn

 I know how computers work.「コンピュータがどうやって動くかを知ってる」は知識として知っている、という意味合いですね。似た表現に learn があります。learn は「学ぶ」ですが、より広く「なにかのきっかけで知らされる」ことでもあります。
 I learned the rumor from him.「その噂は彼から聞いて知ったよ」。

●study

 learn は「勉強、指導、経験により知る=学ぶ」ということですが、study との違いはどうでしょう。日本語では learn も study も「勉強する」ですが、同じ「勉強する」でも learn は「習得する」こと。そして study は「研究する」ことです。

 その違いはなにかと言うと、learn「習得して身につける」と「研究、追究してみる」で、learn は「身につける」という結果を期待しますが、study は「成果はどうあれ、やってみる」という努力のことを言うわけで、必ずしも成果を期待していません。

 You are never old to learn.「学ぶのに歳をとりすぎることはない」(いくつになっても学ぶことはあるものだ)。Study hard! 「(結果はともかく)勉励努力せよ!」……

●look / see

 同じように、look と see も日本語では「見る」ですが、厳密には look は「目に入る、目を向ける」で、see は「見て分かる、分析してみる」というニュアンスがあります。He looked at me and saw my eyes filled with tears.「あの人、私を見て、涙がいっぱいの目に気づいたの」という違いですか……

●hear / listen

 「聞く」といっても「聞こえてくる」のと「聞く」の違いがあります。聞く、聴く……日本語もときには使い分けます。hear は、I hear a bird singing somewhere.「鳥がどこかで鳴いている」という使い方。自然に聞こえてくる感じ。
 listen は I am listening to a bird singing.「鳥が鳴いているのを聞いている」というふうに、耳を傾ける……聞く姿勢が違うわけです。listen to ... の使い方に注意しましょう。

 電話で……Do you hear me? は「(ぼくの声)聞こえてんの?」、Do you listen to me? は「(ぼくの言うこと)聴いてんの?」。では、I heard beautiful music while I was listening to his voice.「彼の声を聴いているあいだずっと、素敵な音楽が聞こえていたわ」。ワオッ!

●come / go

 「行きます」に come を使ってる! と疑問を感じたことありませんか? I will come to you soon.「すぐに参上します」。これは I will go じゃないの? ……英語では相手が“呼んでいる”ときは come を使うんです。お母さん:Dinner is ready!「(晩)ごはんよ!」、子ども:I'm coming!「いま行くよ!」