『ジャーマン・雨』というDVDを借りてきて、家事をしながら横目で見ているうちに、どんどんはまってしまい、台所仕事をほったらかして、テレビの前に座ってしまった。
なんといっても主人公、よし子の顔。小学生の時から変わっていないおかっぱと、ずんぐりむっくりした胴体。いかにも素人が棒読みしているようなセリフ。 (驚いたことに、後からわかったことにはプロの女優さんがわざと素人っぽく演技しているのだった)
最初はよし子の演技の下手さに、これはドキュメンタリーかと思ったが、そうではなかった。
それにしても、出てくる郵便局のお兄さん、あれはその辺のカメラ助手かなんかを連れてきて、いかにも郵便局員らしい制服を着せ、帽子をかぶせてセリフを言わせたとしかいいようのない下手さ。しかしいまどき、どんな田舎でもあんな制服を着て配達している郵貯銀行の人なんかみたことない。
林よし子は、子どもの頃両親が離婚して、どちらにも引き取りを拒まれ、祖母に育てられた。その祖母もなくなり、16歳で故郷の町に一人で帰ってくるところから映画は始まる。よし子は祖母の残したわずかな年金をもっているが、昼間は庭師の手伝いと、自分で不細工にペンキで書いて表札を出した「林の笛教室」で生計を立てている。
よし子の家に遊びに来るというか、ふらりとやってくる同僚のイケメンのドイツ人や、塾の小学生たち、元同級生の美少女たちから聞いた話を聞き書きの形で、よし子が笛で作曲し、歌詞をつけて、時には一緒に笛で合奏したりもする。
その合奏がなかなかきれいでよかった。
見ている私も笛の合奏というのをしたくなってくるような楽しさがある。
主旋律をよし子が吹いて、伴奏を小学生三人が吹くとそれはきれいなメロディーになるのだ。歌詞はといえば、それぞれのトラウマのつぶやきををよし子が適当に歌詞にしたとんでもない歌詞であるが、聞いていて笑える。癒される。
そうか、嫌なことが合った場合は、歌詞にして笛で吹いてしまえばいいんだあ。
こうしてみんながゴりラー顔で、乱暴で、気ままなよし子の住む古家にやってくるところは、ちょっと長靴下のピッピのごちゃごちゃ屋敷を思い出させるが、よし子の家はそんなお屋敷ではなく、たんなるあばら家だ。トイレも水洗ではない。そのトイレを汲み取りのおじさんが汲み取りに来て、よし子のトラウマを吸い上げるかのように、ときどき吸い取っていくが、なかなか全部は吸いきれない。
そこで、よし子は最後に、おじさんが吸い取っている横で、なんとマンホールの穴にまっすぐ飛び込むところが感動物である。
ここからがまた面白かった。ヨブ記のヨブが、魚のお腹に飲み込まれたかのような、決定的な出会いがあって、最後は臭いトラウマが、暖かい日に照らされて、日の目をみて、解消されたかどうかはわからないが、ともかく数日ぶりに便秘が解消されたかのようなスッキリ感が得られる映画だった。
みんなトラウマ、もっと大事にせねばな・・・何か、そんなこと感じました。
なんといっても主人公、よし子の顔。小学生の時から変わっていないおかっぱと、ずんぐりむっくりした胴体。いかにも素人が棒読みしているようなセリフ。 (驚いたことに、後からわかったことにはプロの女優さんがわざと素人っぽく演技しているのだった)
最初はよし子の演技の下手さに、これはドキュメンタリーかと思ったが、そうではなかった。
それにしても、出てくる郵便局のお兄さん、あれはその辺のカメラ助手かなんかを連れてきて、いかにも郵便局員らしい制服を着せ、帽子をかぶせてセリフを言わせたとしかいいようのない下手さ。しかしいまどき、どんな田舎でもあんな制服を着て配達している郵貯銀行の人なんかみたことない。
林よし子は、子どもの頃両親が離婚して、どちらにも引き取りを拒まれ、祖母に育てられた。その祖母もなくなり、16歳で故郷の町に一人で帰ってくるところから映画は始まる。よし子は祖母の残したわずかな年金をもっているが、昼間は庭師の手伝いと、自分で不細工にペンキで書いて表札を出した「林の笛教室」で生計を立てている。
よし子の家に遊びに来るというか、ふらりとやってくる同僚のイケメンのドイツ人や、塾の小学生たち、元同級生の美少女たちから聞いた話を聞き書きの形で、よし子が笛で作曲し、歌詞をつけて、時には一緒に笛で合奏したりもする。
その合奏がなかなかきれいでよかった。
見ている私も笛の合奏というのをしたくなってくるような楽しさがある。
主旋律をよし子が吹いて、伴奏を小学生三人が吹くとそれはきれいなメロディーになるのだ。歌詞はといえば、それぞれのトラウマのつぶやきををよし子が適当に歌詞にしたとんでもない歌詞であるが、聞いていて笑える。癒される。
そうか、嫌なことが合った場合は、歌詞にして笛で吹いてしまえばいいんだあ。
こうしてみんながゴりラー顔で、乱暴で、気ままなよし子の住む古家にやってくるところは、ちょっと長靴下のピッピのごちゃごちゃ屋敷を思い出させるが、よし子の家はそんなお屋敷ではなく、たんなるあばら家だ。トイレも水洗ではない。そのトイレを汲み取りのおじさんが汲み取りに来て、よし子のトラウマを吸い上げるかのように、ときどき吸い取っていくが、なかなか全部は吸いきれない。
そこで、よし子は最後に、おじさんが吸い取っている横で、なんとマンホールの穴にまっすぐ飛び込むところが感動物である。
ここからがまた面白かった。ヨブ記のヨブが、魚のお腹に飲み込まれたかのような、決定的な出会いがあって、最後は臭いトラウマが、暖かい日に照らされて、日の目をみて、解消されたかどうかはわからないが、ともかく数日ぶりに便秘が解消されたかのようなスッキリ感が得られる映画だった。
みんなトラウマ、もっと大事にせねばな・・・何か、そんなこと感じました。