宮島沼日記

ラムサール条約登録湿地「宮島沼」を応援する「宮島沼の会」のおもしろ楽しい活動日誌です。

夏鳥と植生管理

2005年06月08日 | ウシのひとりごと
ちょっと宮島沼によってきました。

ノビタキはすでに育雛に入ってるようで、しきりにエサを運んでいました。突堤の両側にはオオヨシキリが3ペアほど縄張りを構えているのですが、まだヨシが立ち始めたばっかりなので、巣作りもこれからなのでしょうか?そういえば先週、路肩の草刈りではじき飛ばされたノビタキの巣を拾いました。草むらの地面なんかで繁殖するノビタキは、早くから繁殖活動を始められる反面、こういう危険も多いのでしょうね。

草原性の小鳥に関して以前、ヨシの管理方法で鳥相が違うかどうかを調べたことがあります。具体的には、ヨシの野焼きがされていた手形沼と親子沼、そして、ヨシの管理がない宮島沼で、草原性の小鳥の個体数と分布を調べたのです。そしたら、手形沼と親子沼は植生の立ち上がりが早く、早くから繁殖が始まり、個体数も多かったのですが、宮島沼では、枯れたヨシが邪魔して植生の立ち上がりが遅く、草原性の小鳥も比較的少なかったようです。

ヨシの除去は、水質の富栄養化を防止するためにもとても重要だと言います。ヨシなどの水生植物は水中の栄養分を吸収して生長しますが、枯死したヨシを取り除かなければ、結局はその栄養分が水中に戻ってしまうからです。また、枯死したヨシが堆積することで、どんどん沼が埋め立てられてしまいます(←コレが一番重要かも)。

ラムサール条約湿地のなかには、片野の鴨池のように毎年ヨシの野焼きを行って、管理している場所もあります。なんでもヨシの野焼きは伝統行事でもあり、地元からも、保全上重要ということで受け入れられているそうです。

宮島沼は、年々小さくなっています。これは、1976年と2000年の航空写真を比較したら、明瞭に現れていました。さらに、水質も、ここ数十年で劇的に悪化しています。宮島沼を、良好な状態で将来に残すためには、今から対策を考え、少しづつでも実行していく必要があると思います。


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8 コメント

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植生管理と鳥類 (DTY)
2005-06-08 16:00:42
DTYです。

ちょっと現実逃避に来ました。うちのヒゲ先生がご乱心だったので・・・。



草原性鳥類の繁殖に関しては、大学の古い卒論にいくつかあったのを覚えています。牧草の刈り入れとオオジュリン、ホオジロ、ホオアカなどの繁殖成功の話でした。最近ではシマアオジの繁殖と牧草地の管理が問題になっていて、牧草の刈り入れ時期とシマアオジの繁殖期がかさなるので、保全のためには刈り入れ時期を遅らせるとか巣の周囲を刈り残すとかそういう対策が必要だと言われています。何か似たような話ですね。自然の草地が少なくなっていることもあり、代わりの生息地として牧草地などが注目されています。もっとも、彼らの繁殖には、草地全体が均一で単純な構造では都合が悪いらしく、ときどき手入れを放棄して、草の高さとか種類とか、構造を複雑にする必要があるようです。



野焼きというとまず思い浮かぶのは、小清水の原生花園などで行われている火入れです。枯れた植物を除去するために毎年行っているとか。他にも目的があったはずですが、細かくは忘れました。思い出したらまた書きます。



ところで、宮島沼などで、枯れたヨシなどの堆積物(デトリタス)を分解するような生き物というのは、何がいるんでしょう。エビとかがそういう役割を担っていることが多いと思いますが。



・・・そろそろ現実に戻ります。

ああヒゲおのれヒゲされどヒゲ・・・



それでは
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分解者 (ウシ)
2005-06-08 17:05:26
DTYさんお疲れさまです。たまにはヒゲを抜いてあげてください。

ヨシの刈り取りや野焼きは、繁殖期にあたらない時期に行うので直接的な繁殖妨害にはならないと思いますが、いずれにしても鳥種によって影響はさまざまでしょうから、実施においては十分議論する必要がありそうですね。

また、堆積した植物遺体の分解者ですが、確かにスジエビや水生昆虫もその役割を果たすのでしょうが、分解した栄養分は結局植物に還元されていそうですし、分解者の遺体も堆積されていきそうです。魚をアオサギが食べて、沼の外で糞をすれば、多少は栄養分を沼の外に運ぶ役割を担いそうですが、割合的にはたかがしれていそうですね。

ヨシの除去が水質浄化や埋め立ての防止につながることは間違いなさそうですが、できれば沼内の物質循環についてしっかり調べたいですね。誰かいい学生いませんか!?
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んが (DTY)
2005-06-09 10:51:46
DTYです。



沼における物質循環・・・面白そうですね。そして、結構重要ですね。私自身は全く詳しくないですが。



文献的にですが、ビクトリア湖(アフリカ)で、ナイルパーチの移入、増殖に伴って堆積物食性のフル(シクリッドの現地名)がほぼ消滅し、分解者がほとんどいなくなって植物遺体の堆積や、農地からの肥料流入による富栄養化が進んでいるとか。有機物の自然分解には酸素が必要なため、大量の酸素が消費されて無酸素の水域が広がっているとあります。

まあ、宮島沼の場合、移入魚はそこまで関係なさそうですが。



学生・・・・。近頃の若い衆は何考えているのかときどきわからないんですが、誰かいるかなあ・・・。

指導できる人がいるかどうかってのもありますね。うちの大学にはたぶんいません。そういう意味では難しいかしら。



ヒゲは今日もあまり機嫌が良くありません。

・・・その話はどうでもいい?

失礼しました。

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 (ウシ)
2005-06-09 13:09:18
なるほどねえ。明治期に宮島沼に鯉を1万尾(?)ほど放流したっていう話はあります。冨栄養化どうこう以前の問題として、生態系に多大な影響を与えたのでしょうね。



群集や物質循環ってなると、道内では北大くらいでしょうか。。。機材もいるし、野外調査も大変そうだし。



ヒゲトーク、個人的には、大好きです。
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俺も見に行って見よー。 (VIVI)
2005-06-14 21:18:53
物質循環・・・。

おらには難しくてわからねぇーだ・・・(爆)

んでも、どんな生き物がいるか、水はどーなってるのか、何らかの形で定期的に見続けるのも大事だと思う。

というわけで、18日の藁の家検討会の日の午前中に沼の様子見に行ってみます。

たぶん雨降っていなければ、10時ぐらいからいると思うんで、暇な方いらっしゃいましたら、ご一緒にいかがですか?
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宮爺の循環 (lim)
2005-06-15 18:36:55
 こんにちは。宮島沼の水調べてる者です。ちょっと長くなりそうで恐縮ですが、お付き合い下さいませ。

 池の管理としてウシさんが言われたようにヨシ刈りは重要です。夏の植物の水の浄化能は目を見張るものがあります。特に、水の中に潜んでいる系。ヨシやガマのような抽水植物と言われている、体の下一部が水につかっているようなものたちは、水の中に溶け込んでいる養分を吸い上げる力よりも、水の中に浮いてる固形物を引っ掛けて微生物に分解させるという力の方が大きいという特徴があります。なので、広い面積で水に浸かっていると水質浄化効果が高いといわれます。反面、物を堆積しやすく、枯れて倒れるのも手伝って陸地化しやすいので、ヨシ刈りや野焼きをして管理してるところが多いわけです。ヨシ刈りをいつ行うと良いか?と言った研究もここんとこ進んでるようです。ただし野焼きは最近、軽々とできなくなったので少し手続きが面倒だと聞きました。そういえば、ヨシってそうそう簡単に分解されない気がするんですがどうでしょう?一方、水中にすっぽり潜む系は、一般に根だけではなく葉からも水の中に溶けている養分をとることができるため、成長するにつれ、水の中の栄養分はぐんぐん減ります。ただし、枯れると今度は水に栄養分を出すことになるのでできるだけ回収したいところです。夏、ボートのオールにもっさり乗ってきたヒシは沼に返さず旅のお供で一緒に上陸するってものいいのかもしれません。微々たるものか。カモがたちがも少し早くきて最盛期に食べるとベスト?!とかいう希望をもってるけど、あくまでも希望。宮爺(宮島沼)は、鳥からの大きな負荷がなく水草の生える夏が水質を回復する唯一の時期だと思います。一番植物たちの浄化能が働くように管理を考えたいですね。もちろん、植物帯に生きるものたちとも相談して。

 それから、北海道みたいに暖かい(暑い)時期の少ないところでは湖底の底泥の分解っつーのは、より遅くて、宮爺みたいに負荷の大きなところはみるみる堆積しているのではないだろうか?と。どんどん浅くなっちゃうのではないかと思います。そーいう点でも沼の循環を調べることが必至だと思う次第です。

 ところで、鯉ですが、これは調べてないのですが、鯉みたいな堆積物食者は、湖底の底泥を巻き上げます。ので、濁るし、巻き上げることで底泥に溶けていた栄養分が水の中に回帰して植物プランクトンが増える機会を与えたりなんかしちゃったりなんかするんじゃないかなーと、思ったりなんかするわけですよ。移入種問わず、いる魚の種でも池に与える影響って変わったりする気がします。どうなんでしょう?魚にお詳しい方コメントなぞ頂けませんか?

          ----乱文にて失礼します。
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植生の除去 (ウシ)
2005-06-16 10:15:23
limさん、コメントどうもでした!

ヨシやヒシの除去、特別保護区内は許可行為なのでしょうかねえ??ヒシを採ってもヒシ個体群に影響ない採り方をしなくちゃいけないんですよね。なんだかピンとこない。。。ヨシはやっぱり除去しなくちゃダメですね。元々ここらは泥炭地なんで、ヨシも底泥も、ほとんど分解されなさそうです。そのうち底泥の除去も考えなくちゃいけないだろうので、その有効活用なんかも調べたいですね。

コイの底泥の巻き上げはそれほど気にならないのかと思いますよ。ちょっと風が吹けば、コイがいようと居まいと巻き上げられそうなので。。。調べてみないと分からないけど、昔コイの大量死があったので、今はコイの個体数は少ないのかと思われます。フナはたくさんいそうですが。

コイのトップダウン&ボトムアップ効果を調べてる方が鷲谷研にいました。

http://littlemyy.blog6.fc2.com/
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ヨシ管理と鳥 (ウシ)
2005-06-29 17:20:48
ヨシの管理方法が草原性鳥類に与える影響を国環研の永田さんが調べていましたのでお知らせします。



http://www.jstage.jst.go.jp/article/esj/ESJ51/0/ESJ51_539/_article/-char/ja/
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