中国人女性が沖縄近海の無人島を買った、とネットで話題になっていました。
彼女はそこに別荘立ててリフレッシュに行きたい、なんてことを初めは言ってましたが、実は個人で買ったのではなく、彼女の経営する会社で買ったことになっている、と。それは最初から彼女個人の自由にはならないということです。
会社には共産党員を置かなければならないと法律で決まっています。
そして、国の方針に従わなければならないということも法律で決まっている。拒否することは出来ません。
つまり、島は書類一枚で簡単に国が接収できるわけです。
空母「ワリャーグ」が空母「遼寧」となった辺りのことをワイドショーで詳細に知ったという人がどれだけいるんでしょうか。
書評 しょひょう
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サイバー戦や認知戦への備えは十分なのか
「安保三文書」は基本のはじまりに過ぎない
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江崎道朗『日本の軍事的欠点を敢えて示そう』(かや書房)
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言われるまでもなく自明の理である。
「国家、国民の自由と独立は、与えられるものではなく、自ら勝ち取るもの」。この基本の原則を多くの日本人はわすれてLGBTQとかの戯言を言っている。
22年12月に閣議決定された「安保三文書」とは(1)国家安全保障戦略(2)国家防衛戦略(3)防衛力整備計画の三つが骨子。
一応、文書では「宇宙、サイバー、電磁波」にも言及している。しかし自衛隊のサイバー部隊は少数で、近未来の計画でも四千人程度、中国は20万人ものサイバー部隊に、五毛幇と呼ばれる第五列をもっていて、日夜フェイク、攪乱情報を流し続けている。
サイバー戦争は、近年になって欧米が重視している。
1月31日、来日したNATO事務総長のストルテンベルグと岸田首相が会談したが、とくに「サイバー分野の協力」が謳われ、共同声明にも「サイバー空間、宇宙、ハイテク、バイブリッド脅威への強靭生を高める」などが盛り込まれている。
日本政府は内閣官房に新組織を立ち上げ、法整備準備のために「能動的サイバー防御」という新概念を使い出した。
サイバー安保の一元化を目論む段取りと言える。
NATOは距離的に中国には関心が薄かったが、2022年に発表された「戦略概念」で「中国は体制上の脅威」と明記されるようになった。また岸田首相は日本の宰相として初めてNATO首脳会議にも参加した(22年6月)。
安保三文書は、防衛関係者のあいだでは評判が良いが、これは「始まり」でしかない。
たしかに「戦後史を画期する」意義があるが、「専守防衛」という頓珍漢な語彙はまだのこったままである。
思い起こしたい。
天武天皇の勅は「まつりごとの要は軍事なり」である。
第一に「反撃能力の保持」を謳い、国際標準にちかづいたこと。具体的には地対艦ミサイルを射程500キロから1000キロに延ばせる。
第二にGDP1%の枠を外して戦後の呪縛からようやく普通の国になろうとする姿勢をしめしたこと。
第三は2023年から2027年までの五カ年計画で防衛費を43兆円とする。五年かけて、ようやくGDP2%という西側の平均水準達成に漕ぎ着ける。具体的には戦争継続のための弾薬備蓄などを増やせるうえ、老朽化施設の改善も可能となる。
「たまにうつ弾がないのが玉に瑕」などと自嘲的な自衛隊内の雰囲気も改善に向かう。
そうはいうものの、日本の防衛は脆弱であり、欠点が多いと、本書で江崎氏は問題園を抉り出していく。
2018年の防衛大綱では「仮想敵」の明示さえなかった。どこの国の脅威から守るのかが曖昧とされていたのだ。中国は台湾と尖閣諸島を自国領と明記した法律を制定している。敵は明らかでないか。
中国の日本の土地の爆買いについても十年来、その危険性を指摘され、ようやくにして「重要土地利用規制法」が成立した。23年2月1日に政府は同法適用をはじめ、安全保障上重要地区として58ヶ所を「注視地区」と「特別注視区域」を指定した。自衛隊基地周辺ならびに国境近くの離島が対象である。
自民党の報告書は中国の脅威を次のように指摘した。
第一は中国の軍事費のおどろくべき増加ぶり、毎年二桁成長で、アジア屈指の軍事大国になってしまった。米国が甘やかした結果である。
第二に核兵器、ミサイルの充実ぶり、わけても超音速ミサイル開発はミラー統幕議長をして「スプートニク・ショック」と言わしめた。
第三にAI化と認知戦争というハイブリッド型の新しい戦争形態への対応が顕著であることだ。
相手の認知領域に侵入し、世論操作を中国優位に導く高等な戦術であり、実はこの分野での日本の対応がもっとも遅れている。
第四に台湾併呑をあからさまに公言している
第五に尖閣問題である。1992年二月、中国は「領海及び隣接区方」を制定し、97年には「国防法」を制定し、さらに2012年に「尖閣を中国領」とする「釣魚島白書」を公表している。
「中国とのビジネスをしている経済界、ビジネスマンは与党自民党の対中政策を重く受け止め対策を講じるべき」と江崎氏は提言する(111p)。
「富国強兵」が「富国弱兵」に陥没したのが戦後日本の実態だが、江崎氏は最後に「富民厚防」と提言している。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和五年(2023)2月6日(月曜日)
通巻第7623号より