セローで剣山スーパー林道へ行った。(二十数年前のことですよ)
四国山地の一方の頂点、剣山。
その周辺に展開する、全長90キロ近い日本一の林道。
路面のほとんどは固く締まった土の道だが、半ば砕石に覆われた砂利道もある。
締まった道の上に砕石が散らばり、タイヤを取られて一発転倒、みたいな刺激的すぎる所も多くある。いや、それがほとんどかもしれない。
「スーパー林道」、というぐらいだから、そこらの林道と違って道幅も広い。
そこにバイクは勿論のこと、四駆やランドクルーザーなんかが
「オレのために作られた道だぜえ~っ!」
みたいに嬉々として西日本周辺から集まってくる。
けど、そんな中には、ただ観光にやって来ただけ、みたいなごく普通の乗用車もたくさん混じっている。
乾燥した土の道だから、みんな土煙を巻き起こして走っている。
・・・言い過ぎ?じゃ、土埃を巻き上げて走っている。
バイクなら大したことはないが、前をランクルなんかが走っていると大変なことになる。土埃で前方が霞んでしまう。これはホント。誇張じゃない。
乾燥していてこれなんだから、雨の続いた時なんかはきっと後ろを走ってたらバイクはライダーもろとも、泥人形になる。(信州に行った時、泥人形になった経験がある)
土埃で前が見えなくなる、ってのは、足元も怪しくなるってことで、バイクはスピードを落とし、土埃がおさまる距離、クルマから離れなければならない。
ところが、離れると今度は後続車(勿論、クルマ)が、
「何、モタモタ走ってんだ」
とばかりに接近してくる。
「セローで来て良かった。GBだったら目も当てられないことになったかも」
そんなことを思いながら、それでもちょっとでも走り易そうなところを選んで走り続ける。
「林道だから周りは木々に囲まれて・・・」
、と思ったのと正反対。
尾根や山の中腹を走るせいで、見通しの良いことは呆れるくらい。
何だかあっけらかんとしていて、肩透かしを食らわされた感じ。こっちが勝手に思い入れで想像してただけなんだけど。
「う~ん。何だかなぁ~。こんなに四駆や乗用車が走り回って、開けた景色の道だったのかぁ~。面白くはないなぁ」
「まあ、とにかくは予定通り走れたんだから、良しとするか」
そう思って、何気なしに着ているジャケットを見て、ぎょっとした。
紺色のジャンパーだったのだが、全体に何とも気味の悪い模様が入っている。蛇がのたうち回ったような、と言えばいいか。
服を着た時にできる襞(ひだ)。その襞の形に添ってジャンパー全体に土埃が付着している。
一見、乱暴に黄土色に染めたみたいに見える。本来の紺色は染め残し。
紺色と黄土色のまだら模様のジャンパー。
遮光器土偶の身体の部分に一番気味の悪い配色で描いた縞模様。
何とも趣味の悪い、夢に出てきそうな気持の悪い色と模様。
もう、ただただびっくりして
「うわっ!何これ!」
と声を上げ、反射的に服をはたいた。
それから、これがクルマから浴びせられ続けた土埃だったんだ、と気付いた。
気付いたけど、これ、あんまりおどろおどろしい模様で、何だか夢に出てきてうなされそうだった。
でも、反射的にはたいてしまって、この気味の悪い模様をツーリングの証拠写真として残さなかったことをかなり後悔した。
「走りにくかったなあ」「気持ち悪い模様だったなあ」
これが剣山スーパー林道ツーリングの収穫。
「何でわざわざ走りにくい道を、土埃を浴び続けながら、転倒するかもしれないのに、バイクで行こう、なんてことをするのか」?
「楽して美味しい物食べて帰ってくりゃいいじゃん」?
そりゃもう答えは分かっている。
バイク乗りはガキ、いや、子供だから。
子供は「楽」よりも「楽しい」方を選ぶ。
・・・
四国山地の一方の頂点、剣山。
その周辺に展開する、全長90キロ近い日本一の林道。
路面のほとんどは固く締まった土の道だが、半ば砕石に覆われた砂利道もある。
締まった道の上に砕石が散らばり、タイヤを取られて一発転倒、みたいな刺激的すぎる所も多くある。いや、それがほとんどかもしれない。
「スーパー林道」、というぐらいだから、そこらの林道と違って道幅も広い。
そこにバイクは勿論のこと、四駆やランドクルーザーなんかが
「オレのために作られた道だぜえ~っ!」
みたいに嬉々として西日本周辺から集まってくる。
けど、そんな中には、ただ観光にやって来ただけ、みたいなごく普通の乗用車もたくさん混じっている。
乾燥した土の道だから、みんな土煙を巻き起こして走っている。
・・・言い過ぎ?じゃ、土埃を巻き上げて走っている。
バイクなら大したことはないが、前をランクルなんかが走っていると大変なことになる。土埃で前方が霞んでしまう。これはホント。誇張じゃない。
乾燥していてこれなんだから、雨の続いた時なんかはきっと後ろを走ってたらバイクはライダーもろとも、泥人形になる。(信州に行った時、泥人形になった経験がある)
土埃で前が見えなくなる、ってのは、足元も怪しくなるってことで、バイクはスピードを落とし、土埃がおさまる距離、クルマから離れなければならない。
ところが、離れると今度は後続車(勿論、クルマ)が、
「何、モタモタ走ってんだ」
とばかりに接近してくる。
「セローで来て良かった。GBだったら目も当てられないことになったかも」
そんなことを思いながら、それでもちょっとでも走り易そうなところを選んで走り続ける。
「林道だから周りは木々に囲まれて・・・」
、と思ったのと正反対。
尾根や山の中腹を走るせいで、見通しの良いことは呆れるくらい。
何だかあっけらかんとしていて、肩透かしを食らわされた感じ。こっちが勝手に思い入れで想像してただけなんだけど。
「う~ん。何だかなぁ~。こんなに四駆や乗用車が走り回って、開けた景色の道だったのかぁ~。面白くはないなぁ」
「まあ、とにかくは予定通り走れたんだから、良しとするか」
そう思って、何気なしに着ているジャケットを見て、ぎょっとした。
紺色のジャンパーだったのだが、全体に何とも気味の悪い模様が入っている。蛇がのたうち回ったような、と言えばいいか。
服を着た時にできる襞(ひだ)。その襞の形に添ってジャンパー全体に土埃が付着している。
一見、乱暴に黄土色に染めたみたいに見える。本来の紺色は染め残し。
紺色と黄土色のまだら模様のジャンパー。
遮光器土偶の身体の部分に一番気味の悪い配色で描いた縞模様。
何とも趣味の悪い、夢に出てきそうな気持の悪い色と模様。
もう、ただただびっくりして
「うわっ!何これ!」
と声を上げ、反射的に服をはたいた。
それから、これがクルマから浴びせられ続けた土埃だったんだ、と気付いた。
気付いたけど、これ、あんまりおどろおどろしい模様で、何だか夢に出てきてうなされそうだった。
でも、反射的にはたいてしまって、この気味の悪い模様をツーリングの証拠写真として残さなかったことをかなり後悔した。
「走りにくかったなあ」「気持ち悪い模様だったなあ」
これが剣山スーパー林道ツーリングの収穫。
「何でわざわざ走りにくい道を、土埃を浴び続けながら、転倒するかもしれないのに、バイクで行こう、なんてことをするのか」?
「楽して美味しい物食べて帰ってくりゃいいじゃん」?
そりゃもう答えは分かっている。
バイク乗りはガキ、いや、子供だから。
子供は「楽」よりも「楽しい」方を選ぶ。
・・・