走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

看護の団体

2017年05月15日 | 仕事
日本の看護とカナダの看護。何が違うのか?看護に関する団体や教育機関について知っている限り書きますね。

カナダの正看護師の免許はアメリカと同様、州ごとに発行されます。試験はケベック州を除き統一されている国家試験。それぞれの州に免許を発行し看護の水準を保つ機関があり、カレッジと呼ばれています。カレッジの最大の目的は一般市民を守ること。そのための看護師の質の確保です。免許の更新は毎年。免許料は保険料も含まれています。保険とは訴訟された時などに使われます。私がカナダで看護師になった頃はまだ3年制の教育過程卒業者も正看護師になることが許されていましたが、今は完全4年制となりました。そういう事を決めるのもここの役割です。以前にも書きましたが看護だけでなくプロと呼ばれる団体には必ずカレッジがあります。NPの免許についてはこちら。

正看護師には労働組合があります。ユニオンと呼ばれる団体で、労働環境や条件の改正や賃金の改正はここの働きで改正され続けました。参考までに現在BC州の一年目の正看護師の時給は $32.94 (物価の違いを考慮して$1=100円で計算すると 時給3294円)。その後一年ごとのステップアップ式で9年目には時給 4324円となります。こういう給料のスケールをグリットと呼びますが、看護師のグリットは同じように4年制の教育を受けた他の医療者たち、例えばソーシャルワーカーや理学療法士、作業療法士、呼吸療法士より高いと言われています。その最大の理由は医療に必要な看護師の数です。ゆえユニオン参加者の数は一番で、ユニオンの機嫌を損ねては医療が動かないと言う強さが交渉の鍵を握っているからです。日本と比べてどうですか? その他職場で怪我をした時に雇用主から不当な手当てを受ければ、ユニオンの弁護士が交渉を手伝ってくれます。私も看護師時代に利用したことがあります。もちろんユニオン会費は払わなければなりません。ちなみにナースプラクティショナー(NP)は管理職レベルの仕事なのでユニオンには入れません。

NPにはアソシエーションがあります。2005年にBC州でNPが生まれた時、カレッジはレギュレーション(基準)を決めるところで、NPの事を何も知らない州民や政治家や企業にNPは何なのかを宣伝したり交渉したりするところではないとNPは気付きました。これでは新しい職業が生まれても、その声を代弁してくれる団体がない!と思い数人のNPが集まりアソシエーションの結成を決めました。入会は任意です。年会費も支払わなければなりません。しかしこの団体が政府に交渉したり、メディア活動をしたりしたおかげで、NPに対する誤解が少なくなったり、州民が正看護師とNPの違い、医師とNPの違いを理解する事に発展しました。医師のサインが必要だった公文書をNPもサインできるようになったのもこの団体のおかげです。とても重要な役割を担っています。

続く



晴れたり曇ったり雷だったり変な天気。でもほら虹が!

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