走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

驚きの理由

2019年05月02日 | 仕事
久しぶりに会う彼は薬物依存症があります。以前は薬物を気化して吸い込む方法を使用していた彼。今は静脈注射を使うと言います。

ルートを変えた理由を聞いて驚いた。

ハームリダクションの物品を無料で配布するのですが、最近気化の使うパイプの配給が止まりました。財政難が1番の理由でした。しかし注射器のセットは容易に手に入ります。それが彼の理由でした。

ええええええー!これは直ぐに保健局に報告しなくては!!!!!

彼のロジックはそれなりに正しい。他の人とパイプをシェアすると感染症にかかりやすい。清潔な物品での投与を第一優先で考えると配布されるキットがあるほうが良いと言える。

しかし清潔な注射器セットを使っても手洗いや手技に問題があれば、直接細菌を血管内に注入する事になる。そうすれば敗血症、心膜炎など命に関わる状態に陥る可能性がある。これではハームリダクションになっていない。

難しいところです。



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