走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

使命の模索 その2

2018年07月30日 | 仕事
昨日の続き。

プライマリーケアの中でSexual dysfunction (SD: 性欲減退と性交不能) を研究している時に男性の死亡率の高さ、医療を避ける男性像が見えてきました。男性独特の男性像を追う姿。社会的地位や人間関係をとても気にするが故医療の中で患者となる事を避ける事象。とても興味深い内容でした。で、その卒論はどうなった?はこちらから。私が選んだ道は1だった。

そして卒業。就職先を見つけなければなりません。地元のポジションだからと軽い思いで向かった面接。精神看護や薬物依存のバックグラウンドも全くない私がメンタルヘルスと薬物依存プログラムの仕事に申し込んだのです。

幸いにも在宅医療で働いていた地域は貧困層が多く、実際の生活を目の前にすることができる在宅医療は生活と言う病気以外のファクターが与える影響力を教えてくれていました。

そして面接中に気づいたのです。メンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層にプライマリーケア(PC)を行うことは、自分が大学院で研究してきたメンズヘルスの知識が活かせることを。

全国の統計を見ると、PCに来る患者層は70%程度が女性。男性はPCを避ける現象があるのだ。しかし男性の方が寿命は短く急性期の病院の使用率が高い。男性にPCの重要さを教え、PCと繋げることが男性の健康率を上げることになる。さらにメンタルヘルス、薬物依存、ホームレスの層はだぜん男性に多い現象。そして一般人口に比べてさらに寿命が短く、病院の利用率が高い。だから男性とPCを繋げるメンズヘルスに焦点を当てたアプローチや知識が活かせるのが今の職場だと思いました。そこからユニークなアプローチ方法へ繋がったのです。

私の今のナースプラクティショナー(NP) としての使命は
1. メンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の患者にPCを行う事でPCの必要性、ベネフィットを理解してもらう
2. 健康な身体と生活へ導く
3. 病院使用率の減少

そしてこれらは特殊な人口層の平均寿命を伸ばしていくことにもなる。偶然とはいえ過去は全て繋がっているのです。

ポイントは
1a. 健康を害している人口層と今のヘルスケアモデルを考える。
1b. ギャップは何か考える

日本の診療看護師と話をしていると、ここが明確ではありません。ICUやERの感染率とか入院日数を考える人がいます。何をして何を発表するかより、どうしてそれを弾き出したいか?そこに行き着くまでの動機を考えてください。ICUの入院患者を一緒くたにするのではなく、上手くいかない人口層は?と傾向を知るところから既存のモデルが機能していない事に気づけます。


日本の診療看護師の皆さん、学生さん、そしてCNSの方々、大学で突き詰めて研究した医療事象は何ですか?

続く


松江駅の近くの立ち飲み屋。高校のミニ同窓会で2軒目でした。日本酒からワインまで種類が豊富でした。

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