走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

距離を縮めるために

2017年12月18日 | 仕事
私の患者層は医療者だけではなく一般の人からも距離を置いている人がほとんど。

メンタルヘルス
薬物依存
ホームレス
貧困

どの言葉も世間からの偏見される言葉ばかりだ。私はそう言う患者層を相手に医療を提供している。医療は人を分け隔てなく誰にでも提供されるものだ。しかし本人自身が距離を置いていたら、平等に与えられるものも届かない。

自分は世間から嫌われている、厄介者扱いされている、自分が死んだって誰も悲しんでくれない、そんな思いからどんどん距離を置いて行っている。

そんな距離を縮める為に外回りがある。私の方から声をかけて行く。診療所に来なくても路地裏で、駐車場で診療を行う。慣れてくれば診療所に来てもらう。距離を徐々に縮めて行くのだ。外回りの時に診療以外の声かけをするのは20〜25人ぐらい。私の仕事は治療する事で評価される。「声かけ」は医療行為ではない。ナースプラクティショナーと言う免許がなくても出来ること。しかし私はこれを無駄な事とは思わない。自分が医療を提供する患者層の特徴に対応する大切な事だと思っている。

先日の新患さん。2回目の診療の時、俺の事を覚えているか?と聞かれた。残念。覚えていない。

しかし彼は言う。道端に座り込んでいる俺に大丈夫か?って声をかけてくれただろ、と。

ああああ!思い出した。あの時の!綺麗な服を着たあんたが小汚い服を着てる自分に声をかけてくれたのが妙に嬉しくてな、と話す。

小さなきっかけ、それがこの人の人生を違う方向に導いて行く。やっぱり声がけ活動は間違っていない。そう思わせてくれました。


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