走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

熱波と火傷

2022年08月02日 | 仕事
熱波がまだ続いています。全体的に気温はじわじわ下がってはきていますが。

昨年もいたのですが、今年もいます。火傷。

昨年の方は肩から指まで、そして顔の一部も。レストランの駐車場で発見されました。寝っ転がっているところに古い揚げ油が流れ出て、その油が太陽の熱で高温になる中で眠っていたから。

え?何故目が覚めないの?と思ったことでしょう。そうです。人間の痛い、冷たい、熱い、と言う皮膚の認識は神経に伝わりその原因から逃れようとします。しかしそれには伝達神経が正常に機能してることが条件です。ずーっと昔、長い手術中に褥瘡を形成する患者が多く出ました。手術のために麻酔がかけられて、伝達神経が機能していないから、手術台の固い部分に当たっている皮膚が損傷を起こすのです。意識障害がある人に褥瘡ができるのも同じ理由。私たちは無意識に寝返りを打つことができますが、意識障害や麻酔中の人はそう言うわけにはいかないから。

で、先の火傷の患者さん。意識障害者でも麻酔中の患者でもありません。しかし彼は麻薬への依存があり、時に投与を多くし過ぎて意識障害になる、と言うわけです。

今年の彼も同じ事です。顔面に無数の水膨れがありました。直射日光の下、何時間も意識を失って寝ていたからです。

焚火やキャンドルに顔を突っ込む人、靴や服に焚火の火が燃え移っても気づかない人。薬物依存者の火傷にはこんな裏話がつきものです。

何故そこまで、、、、と思うかもしれません。これが依存のかなり進行した人なのです。

今年の彼は形成外科へ行くほどの火傷ではありませんでした。よかったね。

冒頭写真: 暑い〜と言いながらも夕方はミストを入れて涼んでいます(見えるかな?プシュ〜と吹き出ています)。こんな庭を作ってくれた相方に感謝感激。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。